Vol.72「公開株数が多くなる3月IPO市場」

今日からロコンド(3558)を皮切りに3月のIPOがスタートしました。1-2月のIPOは6銘柄でしたが、比較的公開株数や公開額が限定されていたこともあり、いずれも順調なスタートとなりました。公開価格に対して初値が約2倍となった銘柄は5銘柄。6銘柄の1社当たりの平均公開額は5.2億円に留まったこともあってスムーズに消化されたようで需給が良かったことの裏腹です。6銘柄のうち住宅・リフォーム事業を展開する安江工務店(1439)1銘柄だけが穏健な初値形成となりましたが、その後の株価は短期に倍化しており、初値買いないしはその直後の安値を買った投資家は高い成果が得られたことになります。これは再生可能エネルギー事業を展開するレノバ(9519)にも当てはまります。同社株は初値が公開価格の5割アップ。その初値から直近の高値まで2倍以上となりました。つまり初値が比較的穏健なスタートとなった銘柄のその後の株価は上昇率が高いという結果となっていますので3月IPO相場でも参考にして頂きたいと思います。

これに対して3月IPOは公開される銘柄数が22と多い上に、比較的規模の大きな再上場銘柄が3銘柄含まれていますので初値は穏健な銘柄が多くなるかも知れません。これに加え、各銘柄とも公開株数が1-2月に比べ多いようですのでやや需給が悪化する可能性がありますので注意しておきたいと思います。

さて本日マザーズ市場にIPOしたロコンド(3558)が公開価格1850円に対して41.9%高い2625円で初値がつきました。VCの持ち株があって公開株数181万株(公開金額33億円)と1-2月の公開6銘柄の平均よりも多めでしたので、この程度の寄付きになったものと推察されます。ロコンドという企業のことを余り知らない投資家も多いでしょうが、靴やバッグなどを通販サイトで販売するビジネスを展開しています。マッキンゼー出身の36歳という若い経営者が展開するビジネスへの期待が高まっています。同社の旧社名はジェイド、垂直立ち上げを狙って設立されましたが失敗し、それを建て直し、赤字から黒字転換に成功して今回の上場に至りました。2021年までの中期計画で今後の成長戦略を描いていますが、まずは世界的に成長している様々なブランドの靴を自宅で試着するビジネスをコアに、今後はファッションなどの総合プラットフォームを目指している点が注目されます。初値の時価総額は136億円、今期の経常利益が2億円足らずの企業に対しての評価としてはややプレミアムがついた格好ですが、今後の成長性への期待が株価を押し上げていると考えられます。

9日のピーバンドットコム(3559・M)は公開株数が86万株、公開価格1650円で計算した放出額は14.2億円と少ないほか、15日のファイズ(9325・M)も公開株数は63.25万株(公開価格1250円)で放出額は7.9億円となっており、需給は良いと見られます。16日にJASDAQ上場予定の糸井重里氏経営のほぼ日(3560)も公開株数は46万株(公開価格2350円)と少なく投資家が買える対象金額は10.8億円に留まるため知名度の高さも加わり人気を集める可能性があります。

ここまでは比較的公開される株数が少ないために需給面では良好ですが、16日にマザーズ上場予定のうるる(3979)は公開株数が146.7万株と多く、金額も44億円となることからやや需給面では懸念されます。その後に登場する3月IPO銘柄についても公開株数が多い銘柄は目につきます。ロコンドが順調なスタートを切ったことでそうした懸念は薄らぐのかも知れませんが注意深く見守ることにしたいと思います。

2017年3月8日 東京IPOコラムニスト 松尾範久