東京IPOトップインタビュー:(株)PKSHA Technology(3993・東マザ)

PDF版のダウンロードはこちらから

株式会社PKSHA Technology(2017 年9月22 日上場予定/東証マザーズ:3993)

事業内容

  • 自然言語処理、画像認識、機械学習/深層学習技術に関わるアルゴリズムをソリューションとしてライセンス提供
  • アルゴリズム開発に特化、多彩なモジュールを展開

3993

↑代表取締役社長 上野山 勝也

1982年7月18日生まれ。大阪府出身。

東京大学大学院工学系研究科修了。外資系大手コンサルティングファームに入社し、ビジネス・インテグレーションに従事。その後、大手ネット企業の米国シリコンバレーオフィス立上げに参画し、ウェブプロダクトの大規模ログ解析業務に従事。2012年に同社を創業。機械学習、言語解析技術を用いたアルゴリズム・ソリューションを、大企業向けに提供している。人工知能学会員・情報処理学会員。

座右の銘は「心で記憶し、腹で語る」で、上野山社長が尊敬する人たちの言葉を組み合わせたもの。人の記憶には忘れることと忘れないことがある。頭ではなく心で覚えたことは忘れない。論理を並べて頭で話すのと、腹を割って語るのとでは伝わり方も変わる。頭で解決しがちな時にはこの言葉で立ち戻るという。ちなみに幼少期はレゴで遊ぶのが好きだったそうだ。


ココに注目!!

  • 車、Eコマース、医療など専門領域ごとに特化した動画・画像識別エンジン「Vertical Vision」
  • 機械なのにまるで人が対応するかのようにFAQの自動・半自動化を実現する「BEDORE(ベドア)」
  • 組み合わせ自在で多彩なアルゴリズムを自社開発し、多業種展開へ

——— 事業と強みを教えてください。

自社で開発したアルゴリズムをライセンスする事業を展開しています。弊社ホームページの「Product」で紹介する領域特化型の画像認識エンジンの「Vertical Vision」と、自然言語処理技術を用いた汎用型対話エンジン「BEDORE」のサービスサイトをご覧いただくと、直感的におわかりいただけると思います。

「Vertical Vision」は、識別精度が高い画像識別ソフトウェアで、映像に映る人の表情や姿勢、移動経路を解析・定量化できるため、特定の行動を検知したり、人物の同一性を判定したりすることが可能です。この技術の応用範囲は広く、例えば、物体を認識し追跡することで物体の位置変化を調べることができるので、交通量や駐車時間の分析に活用するほか、ネットショップにおいては商品画像検索や、照合作業の自動化に使われています。また、医療分野においては、100万枚を超える正解ラベル付きレントゲン画像データを用いて構築したアルゴリズムにより、レントゲン画像の症例を確率的に判定します。各症例の発症確率も参照するため、診断を速やかに行えるだけではなく、誤診リスクの低減を図ります。

「BEDORE」は、日本語に対応した自動応答エンジンで、コールセンターやカスタマーサポートの人手による業務を自動あるいは半自動化します。従来の自然言語処理技術では、日本語の解析と生成が困難でした。そこへ弊社が保有する日本語のデータベースとアルゴリズムにより、精度の高い対話が可能となり、消費者にすれば、機械でありながらまるで人が対応しているかのような感覚で求める答えが得られるというわけです。

インターネットは世界を便利にしましたが、アルゴリズムはそれを凌駕する技術です。米国では「Software is eating the world」(ソフトウェアが世界を飲み込む)という言葉が話題になりましたが、言い換えれば「Algorithm is eating the world.」(アルゴリズムが世界を飲み込む)という時代に私たちは生きています。

弊社の強みとして、モジュールを組み合わせることであらゆる業界への展開を可能にするアルゴリズムのライブラリを保有しています。「テキストデータの意味理解」「自然言語処理技術での対話・応答の制御」「画像・映像データ内の物体認識」「レコメンデーションによる情報出しわけ」「時系列情報に対する未来予測」「異常値の検知」「行動履歴から学習」といった領域を網羅しています。AIや機械学習を事業成長の一つとして取り入れる企業はありますが、アルゴリズム専業で事業展開する企業は、私の知る限り殆どいないと思います。

——— アルゴリズムとは具体的に何をするのか?

従来のソフトウェアは、エンジニアが論理の規則に基づきプログラムを書いてきました。そこへ、2012年以降、集積したデータから共通する性質や関係性を抽出し、ソフトウェアが一般的あるいは共通した法則を導き出す深層学習技術が使われるようになりました。ソフトウェアが帰納的推理力を備える時代になったというわけです。

こうした知的処理を可能にする技術は問題解決に活かされ、身近なところでは、コミュニケーションアプリを使った企業のカスタマーサポートの自動応答に私たちの開発したアルゴリズムが使われています。消費者からの問い合わせの中には、自動で対応できる単純なものもあれば、カスタマーサポート担当者が対応すべき複雑なものもあります。どちらが適切かを、蓄積されたデータから学習したアルゴリズムが判断するので、自動あるいは半自動で消費者への対応をスムーズに行えるのです。 機械学習、深層学習、自然言語処理といった技術は、これから徐々に身近なものになっていきます。

——— 個人投資家様へのメッセージをお願いします。

アルゴリズムの進化は止まりません。私たちが描くデジタルの方向性に対して中長期的にご支援いただきたいと考えております。アルゴリズムは、多くの業界に変革をもたらしますので、短期的に一喜一憂するよりも、3年後、5年後の世界を見据えるような目線で見守っていただければありがたいです。

私たちは、「未来のソフトウェアを形にする」をミッションに掲げています。今後、ますます急速に発展するデジタル情報社会において、知的処理をするアルゴリズムのニーズは高まります。人に優しい未来づくりに役立つよう、事業活動に邁進してまいりますので、こうした未来感にご共感いただければ幸いです。


(掲載日 2017年9月21日)

その他のインタビュー記事はこちら>>