東京IPOトップインタビュー:(株)うるる(3979・東マザ)

株式会社うるる(2017年3月1日上場/東証マザーズ:3979)

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事業概要

  • 名刺入力など補助的業務を受託するアウトソーシング事業
  • 主婦中心、在宅ワーカー向けお仕事マッチングサイト「シュフティ」運営
  • クラウド上に集積する労働力により多彩な新規サービスを展開

3979

↑代表取締役社長 星 和也

社長の素顔

1976年10月1日生まれ。札幌市出身。

趣味はDIY。畑を作って野菜を育てたり、犬小屋を作ったり。

トマト、ナス、ピーマンなど家庭菜園で10種類以上栽培したという。いちごは半分虫に食べられた苦い思い出もある。大量に収穫できたときは社員に配る。

同社は社員の心得として毎年テーマを決めている。上場した今期は「のめりこめ」。

「目の前の仕事一つ一つにのめり込んできた結果、今がある。その過程で組織を育てることにも力を入れてきました。この2つがあったからこそ上場できる会社に成長できたと考えています」と星社長は強調する。

社員数も創業時の4人から100人近くに増え、うるるのスピリットを浸透させるため、社員同士の交流機会づくりにも余念がない。“飲みニケーション”とコミュニティを意味する“コミューン”を掛け合わせた「のみゅーん」制度で、いつもと違うメンバーで食事にでかけたり、月2回水曜日就業後に開催する「うる水」では、社員が持ち回りで5分から10分の自己紹介プレゼンをしたりなど、社員同士の距離感が自然と近くなる文化ができているそうだ。


ココに注目!!

  • 「働き方改革」促進が、在宅ワーカー向け仕事マッチングサービス「シュフティ」の追い風に
  • 入札情報速報サービス「NJSS」の既存顧客約2,500社に対し、潜在顧客数は33万社という市場性
  • クラウド上の労働力を活用するため新事業創造に初期・設備投資が不要なビジネスモデル

同社のモットーは、「会社はホーム、社員はファミリー」と星社長。オフィスの内装は、暖かみある昔ながらの欧米スタイルの邸宅を思わせる。各応接室の扉には表札がついており、東京IPO編集部はブラウンさん宅で星社長に話を聞いた。

——— 事業と強みを教えてください。

「在宅ワークをスタンダードな社会にしよう」というビジョンのもと、事業を展開しております。

1つ目は、データ入力やアンケート集計などの日常的なパソコン作業を、顧客企業からアウトソースいただいて、私どもとご契約いただいている国内外の委託企業やシュフティに登録している在宅ワーカーが代行する、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスです。中国、ベトナム、フィリピン、ウクライナ、ブラジルなどに委託するパートナー企業がおります。

2つ目に、仕事と在宅ワーカーをマッチングするプラットフォーム「シュフティ」を運営しています。現在、主婦を中心に約36万人が登録しております。育児や介護のため、外で働くのが難しい、あるいは、障がいを抱える方にとって、自宅でできる仕事というと、封入作業など時給換算で100円、200円ほどの“内職”に限られていました。

パソコンやインターネットの普及に伴い、時間や場所にとらわれず自宅でも仕事をしやすくなりました。専門知識を習得しなくてもいいデータ入力などの単純作業をアウトソースする流れも生まれ、外で働きにくい層とのニーズに合致したわけです。

幸い「働き方改革」が推進されているので、私たちにとっては追い風になっている事業と言えます。

3つ目がCGS(クラウド・ジェネレーテッド・サービス)事業です。在宅ワーカーにデータ収集や入力をしていただき、出来上がったものをサービスとして一般向け、あるいは、企業向けに提供しています。具体的には、全国の官公庁、自治体、外郭団体の入札情報を一括検索および管理できる「入札情報速報サービスNJSS(エヌジェス)」や、空き家所有者と空き家所有者にサービスを提供する事業者のマッチングサイトなどがあります。

在宅ワーカーを活用する利点に、数百人、数千人規模の力を使えるということと、オフィスに場所を用意する必要がなく、採用コストもかからないなどが挙げられます。こうしたサービスを支える土台を活かし、新規CGS事業をどんどん増やしていきます。

———「NJSS」を利用する企業はどのように活用しているのでしょうか。

入札で事業機会を創出できることを知らない会社は多いですが、あらゆる民間企業が参加できる仕組みです。入札案件は年間約100万件。金額でいうと約20兆円。公共事業ですので、経済刺激的な目的もあります。景気が悪いときほど入札数が増えることもあり、不景気に強いサービスとも言えます。

「NJSS」は、入札情報だけではなく、落札情報も提供しています。入札機会の喪失を防げるほか、競合分析や業界ウォッチができるのです。会社名で検索すると、これまでの落札案件が金額を含めて調べられる。

例えば、おにぎり用の海苔を販売する会社は、おにぎりを提供する案件を落札している会社に営業をかけたい。「おにぎり」というキーワードで検索すると、落札をしている会社名がずらっと出てきます。その会社に自社が扱う海苔の営業を仕掛けていく。こういう使い方をしている会社もあります。落札している金額がわかるので、見積もりも出しやすい。顧客企業の1割がこうした営業ルート開拓に役立てています。

官公庁や各機関、団体が開示する入札情報は、それぞれのホームページにばらばらのフォーマットで公開されます。「NJSS」は国内で全7,000機関もの情報を網羅してサービスとして提供しています。一企業がこれら全てを見ることは不可能に近い。ほとんどの企業が、機会損失をしているのです。

「NJSS」は在宅ワーカーが人力で入力しています。ネット上の情報をクローリングする技術を使って自動で収集することもできるのですが、全てを収集することはできません。入札情報が画像化されていたり、PDFだったりという自治体も少なくないためです。また、掲載場所が変わることもあり、日々プログラムを修正するより人力で入力した方が網羅率は確実です。

「NJSS」では料金プランを複数用意しておりますが、平均すると顧客企業一社当たり月額4万円程度でご利用いただいています。現在約2,500社から契約をいただいておりますが、入札資格がある会社は、当社調べで33万社ありますので、まだまだ成長が見込めるサービスです。

———新規CGSで他にはどんなサービスがありますか。

在宅コールサービスの「フレックスコール」です。コールセンターの市場は数千億円規模と非常に大きい。大手はスタッフを何千人も採用し、設備を整備するなど大型の投資をしているため、小型案件はほとんど受けません。そうした今までアウトソースできなかった市場を狙っています。

具体的には、飲食店の予約確認、人事面接の確認、ファックスDMの着信確認など、100件電話をするかしないかの案件です。こうした確認の電話は訓練しなくてもできるため、在宅ワーカーにとってもハードルが低いのです。

1億円規模の小さな市場で100種類のCGSサービスを創出できれば100億円。大きな市場だけではなく、こうした規模の小さい市場を視野に入れサービスの数を増やしていくことが、今の私たちの成長戦略です。

——— 個人投資家様へのメッセージをお願いします。

私たちの収益の柱であるCGS事業には3つの成長戦略があります。①新しいCGSを次々に創出し、②既存のCGSの成長を加速させる。そして、③CGSを進化させて新しい価値を創造する。

在宅ワーカーを活かせば、場所を用意する必要もなく、初期コストもかかりません。約36万人というクラウドに集積する労働力から、今までにない価値を持ったサービスを生み出すことができます。

例えば、「NJSS」は商売として成功しています。この「NJSS」を使うことによって企業は入札が楽になり、競合分析もできる。この「NJSS」のおかげで隙間時間を収入に変えることができる主婦がいます。私たちの企業クライアントも在宅ワーカーにも価値を提供できるモデルです。

CGSには、まだまだ開拓すべきポテンシャルがあると考えています。成功事例を「NJSS」で終わらせることなく、在宅でのコールセンター業務や空き家情報の収集など成功モデルをつくり続けていきます。

「うるるは今度はどんなCGSを作るのだろうか」と、期待と応援をしていただけるような存在に成長していきたいと思っています。


(掲載日 2017年11月15日)

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