東京IPOトップインタビュー:(株)SOU(9270・マザーズ)

株式会社SOU(2018年3月22日上場/東証マザーズ:9270)

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 高級腕時計や宝石の買取実績は国内トップクラス。チェーン展開でリユース売上とブランド宝飾品売上も設立からわずか6年でトップクラスに。買取品は自社オークションで競合他社に供給、在庫落札率約96%(2017年8月期実績)と驚異的な数字を弾き出す。宝石などクローゼットに眠る高価な実物資産の価格相場がリアルタイムでわかるスマホアプリを無料で提供。このアプリは新たな展開への起爆剤になりそうだ。前例がないからこそ挑戦する同社の強さの秘訣は“接客力”で、商談を楽しむ関西スタイルが全国でウケている。業界では初めてのコンシェルジュ(鑑定士)の接客コンテストを社内で実施するなど、商人のDNAを全社に浸透させて“当たり前”を打ち砕きながらリユース業界を牽引する。
9270

↑代表取締役社長 嵜本 晋輔

「現状満足は衰退のみ」−− 嵜本さんがいつも心に留めている言葉だ。変化は脅威ではなく成長の機会であり、変化を意図的に創り出し、プレッシャーや脅威をチャンスと捉えてきたという。出来たことは出来て当たり前で、出来なかったことに対していかにフォーカスするかが成長につながる。全国のコンシェルジュに「今日買取りが成立しなかったお客様に対して改善がなければ永遠に成立することはない」という意識が浸透しているからこそ急成長があると嵜本さんは話す。


「東証マザーズで最もハンサムな経営者100人」というランキングがあればきっとトップに躍り出るだろう嵜本さんが話す言葉は関西弁。「リユースで流通する品モノには、新品にはないストーリーがあります。売る人の人生を彩ってきたストーリー。同じ品でも持ち込む人によってそのモノに対する思い入れは異なります。」と、金銭勘定に頼らず売り手と買い手の心をつかむ生粋の商人に、成長の軌跡と接客の醍醐味を聞いた。

 

—-  サッカーをすっぱりやめて起業家の道を選んだ背景を教えてください。

高校卒業と同時にガンバ大阪に入団して3年間プレーをしたのですが、思うようにはいかず佐川急便に移籍して、また1年ほどプレーをしました。22歳の時です。これまでの自分の成績に鑑みるとJ1に這い上がって一流のプレイヤーを目指すのは極めて難しい。未練に生きるよりもスパッと潔く諦めた方が自分の未来に繋がるのではないかと思ったんです。僕が引退を決意できたのは、幸い家業でリサイクル事業を営んでいたからです。

兄二人が家業を継ぎ、リユースというビジネスの面白さを、毎日食卓を囲みながら家族と話をしていたので、自然とサッカーを手放す道が開けたわけです。

三兄弟でブランド品のリユース事業を本格的に開始したのは2007年。大阪で覚えてもらいやすいよう「なんぼや」という買取専門店をオープンしました。ただ、買取専門店はモノを売りに来ていただくお客様があってこその受身の事業でもあったため、次第に「製造業のように自分たちが作ったものを世の中に出していきたい」という思いが芽生えました。2009年に兵庫県の西宮である物件をおさえることができたので、西宮という洋菓子の激戦区で、パティシエの経験のないド素人なりの発想で「地域に愛されるお店を作ろう」と、洋菓子店を始めました。思いのほか流行って1年以内に百貨店に進出できました。大阪をはじめ、東京の百貨店でも売れるようになった頃、2011年に大阪の梅田でまた新たな物件が出てきたんです。「今度は焼きたての何かで勝負をしよう」ということに。チーズタルト専門店で、今では洋菓子業界では知らない人がいないほどのブランドに成長しました。焼き加減をミディアムかレアか選ぶというのはド素人だからこその発想でした。

やがてリユース事業も洋菓子事業も共に成長し、三兄弟それぞれが独立するフェーズが訪れ、兄二人が洋菓子事業を、僕は家業であるリユース事業を2011年12月に引き継いで株式会社SOUを設立、代表に就任して今に至ります。

—-  現在展開している複数のブランドについて教えてください。

2007年に関西で買取専門店「なんぼや」をスタートし、関東に進出。今では弊社の旗艦ブランドとして40店舗以上を全国展開しています。その姉妹ブランドが買取専門の「BRAND CONCIER(ブランド コンシェル)」です。比較的カジュアルな「なんぼや」に対し、富裕層を対象にした業界としては初めての来店予約ができる店舗です。

販売は、国内最大級の自社オークション「STAR BUYERS AUCTION(スターバイヤーズオークション)」がメイン販路です。買取商品は中1日で本社に届き、検品をして翌月のオークション終了までにはほぼ全て販売。在庫回転率も全体で約60日と他社の半分の期間で現金化しています。

このほか、ヴィンテージセレクトショップ「ALLU(アリュー)」、訪日旅行客を対象にしたブランドリユースショップ「ZIPANG(ジパング)」を展開しています。また、2017年2月には骨董品・古美術品の買取・販売を行う「古美術八光堂」を子会社化し、当該ジャンルの取り扱いも強化しています。

買取専門店の店舗数は2018年度末にグループで63店舗で着地予定、来期は70店舗超を目指しています。

現在進めているのが百貨店やアトレやマルイなどの商業施設への店舗展開です。商業施設や百貨店の価値観も変わりつつあり、リユースの必要性が理解されてきたということです。富裕層や年配のお客様との接点も広がりました。

海外展開としては、香港でオークション事業をしています。ダイヤモンドなど、国内で 買い取った商品を香港で販売するというもの。国内より香港で売った方が高く売れるという実績ができたので、海外事業をテコ入れしていきます。

—-  フリーマーケットのアプリとの差別化ポイントを教えてください。

よく投資家様から「フリマアプリは競合か?」という質問をいただきますが、全く競合しないと私は考えています。フリマアプリ内で売買される商品の平均商品単価は数千円台と言われており、それに対して弊社が扱う商品は高級腕時計や宝石が主。販売単価は平均5万円以上です。お客様の資金ニーズが少額か高額かの違いです。弊社においては、お客様が価値を理解されていることが多く「鑑定してもらって納得した上で手放したい」というニーズがある。かつスピーディーに売りたい。

また、単価が高い商品にはフリマアプリのような“非対面”は向いていないと感じています。高額商品を売りたくても、買い手が本物か偽物かの判断ができず購入を渋るというような“信頼”が課題ではないでしょうか。

ただ、フリマアプリのおかげでマーケット自体は活況ですし、リユースへの抵抗感も和らいできている。消費者の価値観は良い意味で変化しています。その恩恵を我々も受け、追い風のマーケットで勝負することが出来ています。

—-  個人投資家様にお伝えしたいことは?

急成長に甘んじることなく、どの企業よりもリユースに向き合い、お客様に向き合ってきましたし、これからもその姿勢は変わりません。

既存ビジネスをしっかりと伸ばしながら、新たな事業として2017年末に、ビッグデータを活用するスマホアプリのサービス始めました。クローゼットに眠る実物資産を管理する「miney(マイニー)」というアプリです。

宝石や高級腕時計の写真を撮って登録するだけで、10分ほどで現在の価値がわかります。所有する実物資産の価格相場の変動を株価のように過去から現在までリアルタイムに見ることができる。こうした今までにないサービスを我々が提供できるのは、自社オークションの売買データを蓄積し、独自のロジックで一般消費者向けにアレンジすることができるからです。

「miney」を提供する目的は潜在顧客の掘り起こしです。国内のブランド品類のリユース率は十数パーセントと言われており、毎年数千億単位の資産がクローゼットに眠っている状態です。一度購入した商品は毎日、資産価値が目減りしており、例えるならばクローゼットという銀行口座が見るたびに数千円落ちていっている。これに気づいている人が意外と少ない。

「商品価値が5パーセント上がりました」「価値が2万円下がりました」といった通知機能を実装する予定ですので、お客様は売り時がわかるようになります。アプリが手放すタイミングを判断する材料をくれる。店頭と宅配の買取を選べ、すぐに現金に換えられます。

取り扱う実物資産も、現在の腕時計、ブランドバッグや宝石から、骨董品、不動産、車へと拡大していければと考えています。

投資家様には、このサービスが切り拓く世界と、私たちが目指す未来に想像を膨らませていただけると、今が投資の時期だとわかっていただけるのではと思っています。

リユースの世界に向き合い、お客様の価値創造に努め、今後も更なる企業価値向上に繋げてまいります。


(掲載日 2018年5月28日)

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