東京IPOレポート特別編:業界スナップショット「ドローンビジネスの展望」

業界スナップショット

< ドローンビジネスの展望 >

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2020年のドローンの経済規模は世界で204兆円、国内では91.3兆円と推定され*1、2015年の時点では、全世界でドローンが商業利用された場合の潜在市場は15.2兆円におよぶ産業貢献という試算もある*2 。その市場ポテンシャルに、はたして日系企業が勝てる領域はあるのか−。国内のドローン産業利活用においては冷ややかな空気が流れる。その一方で、通信、IT、建設、農業、物流などあらゆる産業が日々新たな挑戦に挑んでいる。建設周りのインスペクションや農薬散布などは市場が確立しつつあり、これからも精度を向上させながら普及は進むと見込む。

drone 出典:DJI社ホームページより

 

加速するドローンソリューション

我々がドローンに求める破壊的ブレークスルーは、今までにない「空から集めるビッグデータ」にヒントが隠されている。わずか20分の飛行で集められる15ギガバイトのデータは我々に何を語るのか。必然的にAIやIoTの出番となる。ドローンの目視外自律自動運転の世界が開けば、一人で数十台を同時に操縦することも可能になるだろうし、センサーの技術で日夜問わず空から捉える映像や、それを解析する技術で新たなソリューションが生まれる。当然のことながら、必要な情報をはじき出すAIのアルゴリズムは急速に発展するはずだ。例えば、ドローンは映像とともに飛行情報を記録することができる。地上を歩く我々の道しるべになる地図のように、空にも空間的位置情報が存在する。GPSの進化で同じ時刻に同じ座標、同じ高度を自動飛行するようになれば、事件が起きやすい地域の無人パトロールや、レスキュー隊と交代で山間部での遭難者を24時間体制で捜索できる未来も訪れよう。

高速かつ大量のデータ伝送を可能にする「5G」。今年6月にKDDIが東京大学とドローンベンチャー2社と共同で、国内で初めて「5G」ドローンを用いた4K映像のリアルタイム伝送に成功したことが報じられた。将来的に、建物や橋梁などの検査や農作物の育成状況の確認などさまざまな分野で、ネットワークにつながるドローンからの鮮明な映像を活用したソリューションの提供が期待される。クラウドデータセンターサービスを提供するアイネットは、すでにドローンソリューション向けのクラウドサービスを提供しており、ドローンから空撮した動画や画像、フライトログを自社のプラットフォームで解析・編集し、動画閲覧のほか、3D CADや3Dプリンタ、3Dモデルに活用できる。

drone

農場でもドローンに搭載されたカメラで農作物を撮影し、害虫がいる場所を特定するサービスをオプティムが提供している。人が自分の目で害虫を探して回る手間を省き、作業効率改善に寄与している。また、建物内にいる人の様子を映し出す赤外線カメラを搭載したり、供述に基づき死体遺棄事件を追うといった訓練をするなど、警視庁も鑑識活動でドローンの活用を進める。

空のデータを産業に利活用しようというプレーヤーが様々な分野でサービスやソリューションを提供し、試験的な側面がありながらも着実に社会に実装しつつある。空からのデータ収集し、それを解析するIT技術、解析結果をパッケージとして提供するソリューションの提案。それぞれに勝負どころがある。空から情報を得るために必要なセンシングやカメラ、クラウドの技術と、ソリューションを創造するAIやIoT。ドローンが切り開く未来は実に未知あふれる。建設や農業分野で人の手ではできなかったことを可能にするという補完的なソリューションの次は、空のビッグデータが生み出す各産業のエボリューションに注目したい。


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注)
1Ciscoシステムズホワイトペーパー(2013年)
2プライスウォーターハウスクーパース発表(2016年5月)

 

(掲載日 2018年10月23日)

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