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Tokyo IPO
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「IPO2002年総括」
東京IPO編集長 西堀敬
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昨日の日経金融新聞で、新興3市場に上場した99社のなかで、68社が公募・売出価格を下回ったという記事が出ていた。公募・売出価格が割高に設定されていたとすれば当然の話ではあるが、先週のメルマガでも書いたように、決して公募価格が高い訳ではない。

IPO企業の経営者はできるかぎり高い公募価格を願い、投資家は株式購入後に公募価格を上回る株価を期待する。しかしながら、今年一年を見ると、IPO企業にのみ利が有ったようだ。必ずしも、IPO企業は公募価格に満足していないかもしれないが、「上場」という社会的な信用・評価を手に入れた分だけメリットがあったはずである。特に、間接金融市場(銀行)が機能麻痺状態にあるなかで、新興の株式市場はそれをいくばくかは補ったと言える。

投資家はIPO銘柄に限らず、この一年間株式市場に投資していれば、総じて損失を被っているはずである。しかしながら、長期的な視点でみれば、個人投資家の資金が株式市場に投じられ、企業を通じて日本中を循環することは、国民経済的にその意義は高いと言える。但し、個人投資家は、自分の資金がどのように使われようが、リターン無き一年であったことは確かであり、マクロ的な株式市場の構造転換が計れるまでは、辛抱が肝要である。 

さわかみ投信の澤上社長が言われるように、投資した会社のファンになって、長期的に応援する気持ちで投資していれば、短期的な評価損にも腹が立たないのではないだろうか。それには、投資する企業のことをもっと良く知ることが重要である。企業は、個人投資家を中心にファンを作るべく努力をし、個人はもっと、じっくりと企業を研究すべきである。そこから両者の相互理解が生まれ、金融機関に替わる新しい個人株主が、新興企業のサポート役になることを期待したい。

先日のIR会社説明会で講演いただいた、三菱証券の宮田氏(テクニカルアナリスト)のチャート分析では、そろそろ株式市場は底打ちしそうで、この水準からの下値は限定的、むしろ来年の中盤までは、上昇基調が望めるというお話しがあった。来年は、IPO企業と投資家の両方に利のある一年になるように期待したい。

I wish you Merry Christmas & A Happy New Year !!

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com