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Tokyo IPO
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「がんばれベンチャー企業、銀行資本主義に負けるな!!」
東京IPO編集長 西堀敬
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3月19日からメディアは英米軍によるイラク攻撃の話題で持ち切りとなっている。株式市場もこの前後から急速に値を戻す銘柄が多くなってきた。日経平均・米国のダウ平均・英国のFT100などは、シナリオ通りの回復相場を演じている。この相場展開を背景としてエコノミスト達は、いろんな前提条件を基に、今後の景気の動向にコメントをしているが、足元の3月危機は過ぎ去ったのであろうか?

株価が全体的に戻り歩調にある現状において、3月危機の議論は新聞紙上から姿を消してしまったかのようであるが、依然としてメガバンクの株価は、昨年9月末の水準を大きく割り込み、戻り歩調はスローなままである。たぶん、持ち合い株式として多くの上場企業に保有されているメガバンクの株式は、上場企業の特別損益の部へ大きく影響を与えることになるであろう。つまり、歴史のある著名な大企業であるほど最終利益の確定がずれ込み特別損益の確定は3月31日の15時を待つことになる。

では、当の銀行は、自らが保有する上場株式の評価損のリスクを忘れているだろうか?その答えは、「NO」であるべきだ。銀行は最悪のケースを想定した対策を着々と打っているにちがいない。銀行は、自らの延命の為に自己資本充実を目的として、期末に向けて資産圧縮の真っ最中であろう。

一方の企業のほうは、自己防衛できる大企業はすでにリストラを実行し、筋肉質の経営体質に改善しているところもある。そのため、一時的な人員削減・資産売却・株式の評価および売却によって途方もなく大きな損失を出している。
ところが、ベンチャー企業や中小企業は、事業規模がそれ程に大きくない為に、リストラするまでもなく景気悪化の影響を受けて事業上の赤字を計上せざるをえない企業もある。さりとて、中小企業は永遠に赤字経営が続くわけは無い。
業績回復にはしばらく時間がかかることは必定であることは周知の事実である。

同じ赤字企業であるにも係わらず、今回の銀行の増資に応じた企業へは融資残高はそのままどころか、期末の不測の事態に備えてコミットメントラインまで用意されている。では、中小企業やベンチャー企業への与信はどうであろうか。答えは言うまでも無いだろう。この影響は、新興市場に上場している企業へも波及しているようである。

メガバンクを軸にした日本の資本主義は、今回の増資に応じた企業とは「握り」の世界で融資継続、増資に応じられない企業へは自らの世界には邪魔者扱いで貸し渋る構図が見える。まるで、米国が自らのロジックにもとづくグローバル経済維持の為に、有無を言わせずイラク攻撃を実行し、暗黙の間に自らの行動を正当化する戦略に近いものがある。両者に似ているのは、ベンチャー企業・中小企業とイラクは、銀行や米国とは同じ土俵で戦わせてもらえないということと、生き残りを賭けた勝負の結果は最初から決まっているということである。

がんばれベンチャー企業、銀行資本主義に負けるな!!と叫びたい。


東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com