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Tokyo IPO
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「IPO銘柄の初値に見る株式市場の先行き」
東京IPO編集長 西堀敬
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日経新聞によると、先週末の株価指数は歴史ずくめだったようだ。6月6日に記録的な水準をつけた主な指数の中でも驚くべきことは、2000年のITバブル時の記録を通り越して1990年代まで遡ったことである。東証の売買高14億9252万株は1993年4月2日、東証株価指数の8日続伸は1994年2月18日〜3月1日まで遡る。
それにもまして、今日の東証株価指数の終値は874.36(+4.75)、出来高は16億387万株となり、またもや記録更新となった。おおよそ10年ぶりの出来事に株式市場は全体的に非常に強気になってきている。

IPO市場のほうは、この2ヶ月間はセカンダリーマーケットも好調で、市場環境が良好な中で資金回転を促しマーケットを活性化させている。
年初からの新規上場企業数は6月末までに55社が予定されており、昨年の64社からは9社の減となる。(週末の日経新聞の報道は、新興市場に限定した数字を取り上げているので誤解の無きように)資金調達額のほうは、今年は55社で2373億円(予定)、昨年は64社で2625億円となり、9社減の割には、1社平均の調達額は昨年に劣っていない。また、IPO銘柄の初値の推移を見ると、3月26日にIPOしたドクターシーラボ以降の13銘柄すべての初値が公募価格を上回っており、IPO市場は2ヶ月超にわたり好調を維持している。今年の5月はIPOが2件しかなかったこともあるが、直近のIPO銘柄で5月30日にIPOした情報企画は公募価格の3倍で初値を付けた。

東京IPOでは、IPO5銘柄初値騰落率移動平均のチャートを作成しているが、先週末に80%を越して、この1年間の最高値となった。このチャートを分析すると10〜15銘柄前後の初値が好調だとその後騰落率は落ち込んでいる傾向がある。
市場の過熱感が公募価格にも影響を与えていることは否めない事実で、初値の好調が続くと、その直後の銘柄の公募価格は高めに設定されているようである。その反動で初値騰落率が悪化してくると推測される。6月24日にIPOが予定されているセイコーエプソンの上場は、1社で1200億円以上の調達額が予定されており、需給の悪化が懸念される。すでに同社のブックビルディングが始まっており、来週には申込日を迎え資金も固定される。IPOのマーケットが市場の株価指数にまで影響を及ぼすとは考えたくないが、過去のトレンドを振り返ると、そろそろ変調の兆しが出てくる可能性がある。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com