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Tokyo IPO
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「損切りルールの確立」
東京IPO編集長 西堀敬
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読者の皆さんが株式投資をするときは、目標する株価を念頭におかれていることと思う。ほとんどの投資がロングポジションであろうから、株価の先高期待があって買値よりも高い水準での売り目標株価のみではないだろうか。しかしながら、世の中では、株価が三分の一、四分の一になってしまった、証券会社に騙された、という声を聞くことが多い。政府が個人投資家を市場に呼び込む為の政策をいくら出しても、肝心のキャピタルゲインが得られずに、塩付けになったり、投資額の半分以上を失うような投資をしていたのではいつまでたっても個人投資家層の厚みは増さない。目先の動きに飛びつく個人投資家は、どうしても株価が上がっていく過程で買ってしまう傾向にある。右肩上がりにチャートを見ていると、青天井で株価が上昇してしまうような気分になり、目標株価も損切り目安の下値も頭の中から完全に抜け落ちてしまっているのではないだろうか。

先週、土曜日、東京IPO主催で開催したIR会社説明会で基調講演していただいた米国投資運用会社クレイフィンレイ社の山本氏は、損切りルールから話を始められた。まず、その内容をご紹介しておこう。基本は、リスクとリターンの比率にある。山本氏は、リターンで3割を狙うのであれば、リスクを1割に限定すべきだという。例えば、1,000円で買った株が、1割下げた水準の900円になれば自動的に損切りするのである。損切りルールを設けないと、3割、4割やられるケースがあり、過去3年間の下げ相場にあっては、同じ過ちを3回、4回と繰り返すことがある。そうすると当初の投資資金は10分の1になってしまい、もう株はやらない、という結論に達するのである。

損切りというと、なんだか損を確定させることばかりを念頭においているような気がするが、利益確定の場合にも使える。山本氏は、1,000円で買った株の目標株価が1,300円とした場合、たとえば1,200円まで上がったら、1,200円の1割下の1,080円を損切り(売却)の目安にすれば、利益を確定することができるという。つまり、いったんポジションを持ったら、日々反対売買する目安の株価を再度設定することが必要ということだ。売却する目標株価に到達するまでじっと待っていたのでは、相場に負けることのほうが多いだろう。

特にIPO銘柄への投資は、相場の流れが一方通行になりやすい。相場環境がいいので、どこまでも持ちつづけるということではなく、自分なりのリターンとリスクを決めて相場に参戦することをお勧めしたい。また、東京IPOの読者の皆さんに限っては、もう株はやらない、という言葉が出てこないように期待する。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com