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Tokyo IPO
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「個人投資家が得たキャピタルゲインはどこへ向かうのか?」
東京IPO編集長 西堀敬
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先週の株式市場は、世界的に軟調に推移した。米国市場では、インテルIBM、マイクロソフトなどが好決算を発表したにもかかわらず、月曜日の欧米株式市場はポジティブな反応はなかった。日本でも、ぼちぼちと第1四半期の決算発表が出てきている。その中でもひときわ目立つのがオンライン証券会社を筆頭にした証券会社の第一四半期決算である。この3ヶ月間で昨年1年分を稼いだところもでてきたようだ。市場では7月に入ってから10億株以上の出来高が続いており、7月単月で第一四半期分を稼いだ証券会社も出てきても不思議ではないほどの活況を呈している。

では、IPOのほうはどうだろうか。3月26日にIPOしたドクターシーラボ以降、先週のクリムゾン、ドワンゴまでの26銘柄すべての初値が公募価格を上回っている。この26銘柄を幸運にも公募・売出しで取得した投資家が、すべて初値で売却したとしたら約770億円のキャピタルゲインを享受した計算になる。
また、上場日以降もこの26銘柄を保有している投資家がいたとしても、株価 は半数以上の銘柄が初値から下方に動いているとはいえ、まだまだ公募価格以上でありロスを実現した投資家はいない。一方で、日本の株式市場が閉塞感に覆われていた3月にIPOした銘柄の動きを見てみよう。3月は合計で16銘柄がIPOした。初値を見ると、9銘柄が公募価格割れとなり、6銘柄はかろうじて公募価格を維持したにとどまった。しかし、その後の動きを見ると、3銘柄を除いては非常に高いパフォーマンスを見せている。 

このように上半期のIPO市場をみると、新規上場銘柄を取得した個人投資家が保有する株式で塩漬けになっている銘柄はほとんどなく、キャピタルゲインもしくは含み益が増大したと考えられる。この追い風を背景に、セカンダリーマーケットにおいても、個人投資家は非常に善戦していることがうかがえる。今朝のテレビに登場した証券会社のストラテジストの分析によると、外人投資家の買いで日経平均が1万円台乗せした時に、多くの個人投資家が売り抜けているらしい。ここで得たキャピタルゲインを個人投資家がどのような銘柄に再投資してくるかが今後のポイントとなろう。今週から大手企業の第1四半期決算の発表が活発化してくる。今年の相場は、ここまでは誰でも儲かった。これからが投資家の腕の見せ所である。業績相場の到来を見据えて、決算を吟味してファンダメンタルズベースの投資を実践していただきたい。臆病な国内の機関投資家は言うまでもなく、外国人投資家をも先回りできるのは、自己責任で100%のリスクを負える個人投資家だけなのだから。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com