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Tokyo IPO
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「IPO企業社長インタビュー」
アソシエント・テクノロジー株式会社 代表取締役社長 成重健二氏
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2003年6月30日に東証マザーズの上場したアソシエント・テクノロジー株式会社の成重社長にお話をお伺いした。同社の公募価格は19万5千円、初値30万円、本日の引値は26万2千円。

1.成重社長が事業を大分県で始められたキッカケは?

社長は、日本デジタルイクイップメント(現在、日本ヒューレットパッカード)にて受発注管理システムの構築に携わり、その後、新日鉄のシステム開発を行なう新日鉄情報通信システム(現在、新日鉄ソリューションズ)に移った。
当時、仕事は自治省の電子政府関係のシステムコンサルティングで東京ベースであった。そのとき考えついたのが、生活のベースは大分県に置きながら、仕事は大分以外の東京でもいいのではないかということであった。

2.事業内容と当社の強みは?

システム・インテグレーターとして、Java、CRMをベースにしたシステムの受託開発を核として、ネットワークセキュリティー構築、IT教育にも取り組んでいる。
当社の事業構造の面白いところは、社長自身が実践しているように、社員は地方に住まいの拠点を構え、仕事は東京を中心としたクライアント企業に入り込んでオンサイト(現場常駐)にてシステム開発を行なうことである。

まずは、人材であるが、地方は求人不足に喘いでいる。大学は出たけれど、就職するところはなく、コンビニでアルバイトをしているフリーターも多いようだ。そのような環境において、当社が九州で人材募集を行なったところ、前回は600名の応募があった。その中から選別を行い、技術研修、OJTを経て契約社員になり、約1年後に正社員として残る人材は、30分の1の20名となる。ほとんど実務経験の無い人材を1年越しでSEとして付加価値のある人材に変身させて行くことが当社の第一の強みである。

次に、社員がシステム開発を行なう場所であるが、ほとんどが客先のオンサイト(現場常駐)にて開発を行なう為、オフィススペースがほとんど必要がない。
つまり本社機能は、管理部門と営業部門のみで、社員の大半を占めるSEを勤務させる場所が必要ないのである。これにより、固定費に占める不動産費を大幅に圧縮させることが可能となる。在京のSIerがオフサイトで開発を行なうために事務所が必要であることを考えれば、そのコストの優位性は相当なものになる。

最後は、マーケティングであるが、顧客は大手のシステム・インテグレーターであり、エンドユーザー向けの営業活動はほとんど行なっていない。つまり、社員の技術力をある水準に保ち、常に大手SIerが必要とする技術者を供給できる体制を構築することでマーケティングコストの削減を図っている。また、受託する開発も、上流のコンサルではなく、実装の部分であり、当社の人材育成とマネージメントノウハウを活かし高い粗利の稼げるところに集中している。

3.上場の目的は?
そもそも当社のビジネスを成長させるには、人材が居ないと市場を取れないと考えている。当社は本社が大分にあることもあり、人材確保の面で、そのハンディキャップを埋め合わせる必要があった。そのために、資本力、信用力、知名度を上げて、人材の採用をしやすくすることに加えて、顧客の信頼を得て市場を開拓するために一日も早く上場を実現したかった。

4.今後の事業展開は?
売上の成長よりも利益重視の堅実経営を目指している。ここ2年間は、売上が倍倍と伸びてきたが、利益を出せるバランスのとれた売上の増加を計画している。質の高い人材を確保して、利益を生み出せる体質になることを重視している。

5.株価について
公募価格が19万5千円から始まり、初値は外部環境にも恵まれたこともあるが、当社のビジネスモデルについて高い評価を頂いたと考えている。今後はさらに当社の成長性を投資家の方々に理解していただけるようにIR活動を積極的に行い、今後の成長力に見合った株価がつくように努力していきたい。

東京IPO編集長のコメント
このモデルは在京のシステム・インテグレーターとは全く逆転の発想である。
まず、高学歴の優秀な人材の確保から入るのではなく、人材は自ら作り上げるところに最大のポイントがある。地方で職にあぶれている人材に対して門戸を開き、激しい競争に勝ち抜いた者だけが仕事にありつける仕組みを構築している。技術レベルの高い人材を東京で確保しようと思えば、相当のコストがかかるが、当社の人材にかかるコストは地方プライスであるため、受託する開発が東京プライスであれば粗利率は相当高くなる。最近は、技術者確保を中国やインドに求める企業も出てきたが、日本にも中国やインドはあったということの実証である。また、数十年前は「出稼ぎ」という言葉があったが、社会の生活習慣が東京と地方の格差がなくなったうえに、物理的な距離も移動時間の短縮により縮まり、社員の年齢が若くて独身者が多い当社にとって、東京の客先に常駐することにも抵抗が無いようだ。地方から日本を変えると、大きな声を出している知事が多いが、当社のビジネスモデルは地方に住む日本人の新しい仕事のあり方を模索しているように見える。