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Tokyo IPO
http://www.tokyoipo.com/
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「10月のIPO市場動向」
東京IPO編集長 西堀敬
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まず、今年のIPOの件数と市場調達額を見てみると、今年の新規上場は、10月までで90件と昨年の100件にくらべると少し少ない。例年は3月決算の会社が上場してくるので多くなるが今年は少し低調であった。10月の内訳を見ると、マザーズに3社上場し、その調達額が163億円。他の市場に上場した5社よりも大きな金額を調達している。年間のIPO件数は現在承認されているところまでで107社、12月は12社程度追加になり年間120社程度となろう。

次に最近のIPO銘柄の初値推移について見てみる。グラフは初値当落率の5銘柄移動平均(スライド1参照 http://www.tokyoipo.co.jp/1110data.htm )だが、6月12日、9月19日、10月16日に山になっている。
6月中旬および9月中旬は10月6日コラムにて説明したが、10月中旬は、メディネットが3.6倍、カカクコムが3.5倍、ケア21が3.4倍となり、初値は非常に高いパフォーマンスとなった。

次のグラフ(スライド2参照 http://www.tokyoipo.co.jp/1110data.htm )を見る。
初値騰落率の個別銘柄の時系列表である。10月は6月、9月と違った動きになっている。
6月、9月は、銘柄の区別なく4銘柄もしくは3銘柄が続けて騰落率が2〜3倍になっているが、10月は銘柄によってバラツキがでてきた。バイオ関連、インターネット関連、介護関連と株式市場のテーマにあった銘柄のパフォーマンスが高くなっているものの銘柄の選別がうかがえる。

次に、このように初値の動きと、マーケット全体の動きとの関連を見てみる。
(スライド3参照 http://www.tokyoipo.co.jp/1110data.htm )青線が、初値当落率の移動平均、赤線が日経平均のチャート。日経平均は4月に年初来安値を付け、その後の高値の最初は7月10日、次に9月19日、そして10月20日となっている。IPO市場のほうはそれに先駆けて、非常に加熱している。
チャートと出来高を見るとよくわかるが、日経平均が高値をつけに行く過程で大商いとなり、その勢いでIPO銘柄の初値パフォーマンスが高くなっている。

次に、上場後のセカンダリーマーケットについてみてみる。
(スライド4参照 http://www.tokyoipo.co.jp/1110data.htm )青線が初値騰落率、赤線は初値から上場日から5営業日目の株価の騰落率の5銘柄移動平均である。6月の初値が3倍になった銘柄は、その直後に初値割れを起しているのがわかる。9月も同様に初値を少し割り込んでいる。10月の銘柄についても同様に上場直後のパフォーマンスはよくない。 

次のグラフを見るともっと顕著にそれが表れている。
(スライド5参照 http://www.tokyoipo.co.jp/1110data.htm )緑の線は、上場日から1ヶ月目の株価の騰落率の5銘柄移動平均である。赤丸がついているところを見ると、初値が公募価格を割った銘柄のセカンダリーマーケットの動きは非常に堅調であることが窺い知れる。ここ1ヶ月間の動きとしては、9月中旬以降は初値騰落率50%未満の時期があったので半分以上の銘柄が1ヵ月後も初値以上の株価で推移している。昨年11月、今年3月の時期のように、初値が公募価格を割ることは非常にまれなケースとなっている。初値が公募価格よりも高くても騰落率が50%未満で推移している場合はケアフルウォッチで投資のチャンスを窺いたい。

公募・売出し株を取得できなかった方もセカンダリーマーケットでIPO銘柄投資をするチャンスはある。東京IPOでは、すべてのIPO銘柄の初値騰落率を見られるようにしているので投資判断の参考にしていただきたい。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com