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Tokyo IPO
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「2003年IPO総括 〜今年の新規公開株は儲かったか?〜」
東京IPO編集長 西堀敬

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今年の新規公開株は儲かったか?と聞かれたら、どう答えるか。それは人それぞれである。公募・売出株に当選した人は確かにおいしい思いをしたはずだ。
一方初値で買っても数倍になった銘柄もあり、IPO市場はすべての市場参加者に公平に富を分配したのではないだろうか。

それでは、どれくらいの儲けがあったのであろうか。幸運にもすべての新規公開株を公開価格で1単元購入できたとしよう。2000年以降の暦年ベースでそのパフォーマンスを計算してみた。以下は、年度別のIPO件数と上述の条件で売買した場合のキャピタルゲインの総額である。
2000年 203件 88,518千円 (平均 436千円)
2001年 169件 38,413千円 (平均 227千円
2002年 124件 14,414千円 (平均 100千円)
2003年 118件 24,114千円 (平均 204千円、12月19日上場銘柄まで)

今年は非常にパフォーマンスがよかったように思うが、ネットバブルの2000年の足元にも及ばない。2000年と比べると、そもそもIPOの件数が異なるが、それにもまして1単元の売買金額に大きな差がある。2000年といえば、クレイフィッシュ、鷹山、メッツなどの銘柄は公開価格で入手し初値で売れば1000万円以上のキャピタルゲインを得らたような時代であった。それに引き換え、今年の最高パフォーマンスのキャピタルゲイン額はカカクコムの300万円、次点はドワンゴの171万円である。

次に、公開価格と初値を比較した場合の勝率であるが、2000年以降今年が最高のパフォーマンスであった。
    件数  勝   負   分け  勝率
2000年 203件  131 56 16 64.5%
2001年 169件  121 38 9 71.6%
2002年 124件  91 23 10 73.3%
2003年 118件  101 13 4 85.6%(12月19日まで)
つまり、公開価格で株式を購入した人で気を悪くした人は少なかったわけだ。

ここまで読んでくると、だんだん気分を害している人もいるのではないだろうか。公募・売出株なんて当たったことが無い!!とおっしゃる方がほとんどだろう。抽選の倍率が高い上に、既存のリテール証券会社では、上得意顧客へのプレゼント的な存在で一般の投資家には回ってこないのは確かだ。
では、今年の新規公開株をすべて初値で買って先週の12月19日の引け値で売却していたらどのような結果になっただろうか。ここのところ株式市場は冴えないとはいえ、それでも228万円の利益が出る計算となる。ここでも新規公開株神話はまだ存在している。
日経平均株価が年初の最安値から現在は35%高い水準にあることから、どんな投資家でもIPO銘柄に取り組んでいれば儲かる1年であったと言える。

今年1年間で、私は損をしたと言う方も中にはいるかもしれないが、総じて個人投資家の皆さんは、良いクリスマスと正月を迎えられると思う。その一方で、キャピタルゲイン税の額は昨年にくらべ大幅に増加していると思われる。日本の政府にとっても、個人投資家からビックなお年玉になるのではないだろうか。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

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