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「円高が株式市場にとってメリットになる日が来る?!」
東京IPO編集長 西堀敬

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今まで11,000円が心理的な上値抵抗線になっていた日経平均株価が、やっと11,000円台にて引けた。先週末に東証が発表した1月第1週の投資家主体別売買動向をみると、外国人投資家が4226億円の買い越しとなり、市場を覆っていた閉塞感がかなり和らいだようだ。
11000円近辺では、日本の年金や銀行などの売り玉が待ち構えていると言われており、メディアの報道により上値抵抗線であるように感じている人が多そうだ。しかしながら、米国ドル建ての日経平均株価を見ると円高の影響もあるが年初からすでに100ドルを超えている。外国人投資家にとって、すでに日経平均株価100ドルは下値支持線になっているのではないだろうか。

かつて日本の株価を支えるトリプルメリットが存在した。それは低金利、原油安、円高だった。いまの経済状態を見ると、原油を除けば、他の二つは同じ条件である。マクロ的にどのような意味があるのかはさておき、証券市場では株価が上昇した後付けの講釈としてトリプルメリットという言葉が使われたようにも思える。
とすると、12月のIR会社説明会で三菱証券の宮田氏が言っていたように、昨年4月を底とする上昇相場の2段上げがここから本格化するとするならば、デフレに加えて円高も市場にとっては好材料とされるような見方が出てきそうだ。もちろん、相場を支える材料として、日欧共同戦線を張ってドル安阻止に動く可能性も否定できない。いずれにしろ、筆者が言いたいことは、株式相場が堅調に動くときは、いままでネガティブに取られた材料が一転して支援材料に変わる可能性を秘めていると言うことだ。

具体的に見てみると、日本の大手輸出メーカーは円高にも対抗できるように海外生産を増やしつつある。海外で生まれたドル建ての利益を円貨に置き換えようとするから円高が問題になるのである。いっそのこと財務諸表をドル建てにしてしまえばどうだろうか。ドル建はそのまま、日本国内と欧州で稼いだ分はそれぞれの通貨高でドルベースでは水増しされるのは小学生でもわかる算数の世界だ。(話はちょっと異なるが、ドル建資産のファンドマネジャーにしてみれば、円高はウェルカムな話である。円高により運用資産が水増しされ、資金の委託者に請求できる運用フィーがあがることになるからだ。)日本では、後付けの講釈にしかならない円高メリットであっても、外国人にしてみれば、株式市場がしっかりとしたシナリオで動いた結果がでただけとなる
。日本の投資家は買わないが、外国人は買う、基本的にパフォーマンスを測る通貨の違いがそこにはあることを忘れてはいけない。つまり、立場を変えると円高は株式市場にとってメリットになっている可能性があるということだ。

ただし、一つだけ注意すべきことは、この話は株式市場で成り立ち得ることかもしれないが、実際の経済においてもメリットになるとは言い切れないことだ。


東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

 

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