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Tokyo IPO
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ネットビジネスの隠れたリスク
東京IPO編集長 西堀 敬

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今日の東京株式市場はセリングクライマックス的な下げとなり、為替、株式、債券のトリプル安の状況となった。日本国内は政局不安、米国の利上げ観測の台頭、中国の金融引締めなど株式市場のセンチメントを悪化させる条件は揃いすぎたと言っても過言ではない。しかしながら、日本経済の足元を揺さぶるほどの大きな出来事はあったのだろうか?企業の3月決算は毎日のように発表されているが、どの企業も外部環境の変化に対応できるだけの慎重な業績予想を出しているように思われる。株価が行き過ぎていたのか、行き過ぎた株価の反動が起こったのか、どちらにせよ今日の調整はネガティブにとらえる必要はなく、長期的に見ればいつか通る道を歩いているに過ぎないのではないだろうか。

今日の株価の急落があったので前置きが長くなったが本題に入りたい。先週までのゴールデンウィーク中に時間があるのでいろいろと調べ物をしようと思い、口座を持つオンライン証券会社とインターネット専業銀行のサイトにアクセスをしてみると、両サイトともにシステムメンテナンス中となっていた。日頃は時間のないビジネスマンがちょっとゆとりを持って自分の金融資産をチェックしようとしても、このような有様では対面営業の証券会社や銀行と同じである。  普通の銀行のATMが連休中に機能しないのはしかたないとしても、時間や場所を問わずにアクセスできるのがインターネットのメリットであるのにそれが完全に否定されてしまったのである。

金融ビジネスがインターネットビジネスには最適であると言われ続けてきたが、普及が進んでくるとユーザー数が増え、データ量とアクセス数も増えてシステムの増強が必要となってくる。システムメンテナンス中の表示が毎週末のように頻繁に起こってくると、いったん便利であると信じていたものが、非常に不便であることを改めて感じてしまうものである。

情報を収集するということにおいて、世の中はインターネットの普及により飛躍的に便利になったが、便利さの裏に隠れたリスクも否定できない。イーコマースの世界においても先般YAHOOのショッピングサイトで販売したパソコンの価格が桁落ちして掲載され、受け付けた注文をすべてキャンセルするという事件があったのは皆様も記憶に新しいのではないだろうか。今日のような株価の急落の中で、オンライン証券会社のシステムがダウンしたらと考えると背筋が寒くなる思いがする。株式取引はインターネットの登場で取引コストが飛躍的に低くなり、投資家の利便性も高まったが、取引ができなくなるというリスクが存在することも忘れるべきではないだろう。


東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

 


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