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新規公開株式情報の東京IPO
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株式市場に動き出した個人マネー
東京IPO編集長 西堀 敬

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今日から八月に入ったが、相場のほうはあまりぱっとしない。今週は何を書こうかと考えてはみたもののあまりいい知恵が浮かんでこないのが本音のところだ。とは言え、個人投資家の皆さんの投資に対する意欲はまだまだ衰えていない。毎回、東京IPOの個人投資家説明会を開催するにあたって、今回は何名くらい参加していただけるだろうかという数字を読むのであるが、正直言って、先週の大阪開催は夏休みに加えて台風の影響もあり、満席になるのは無理かな?と考えた。ところが蓋を開けてみると、予定した席数では足りずに、会場の外まで椅子を並べて聞いていただくことになった。無理な姿勢で説明会をお聞きいただいた方々にはこの場を借りてお詫び申し上げたい。相場が軟調になると、株式講演会などの参加者数が減ってしまうのが株式投資の世界であるが、今回の説明会の参加者状況を見ていると、ちょっと状況が変わってきた可能性が高い。今日の日経金融新聞の記事によると、銀行の公募株式投信の残高が増えてきていると同時に銀行窓販のシェアが40%に上昇してきている。日本の個人金融資産は1400兆円と言われており、この一部でも株式市場に流れ込んでくれば、相当な株価押し上げ効果があると言われつづけて久しいが、資金のシフトは未確認のままで期待はあれども実態が見られなかった。


それはごく当然の成り行きで、株式投資をしようにも身近なところに証券会社の支店がなかったのである。証券会社は敷居が高いとか、営業マンがしつこいほど電話してくるのが嫌だとか、薦められる銘柄で損をしてばかりだとか言う人が多いが、いったいどれだけの人が証券会社に口座を持っているというのだろうか。重複を除いた絶対口座数は誰もわからないだろうが、せいぜい数百万人ではないだろうか。ところが、銀行に口座を持っている人の数はどれだけいるかと考えれば、たぶん日本の人口の数だけあると言っても過言ではないだろう。世帯数でみても約6,000万世帯が銀行もしくは郵貯に余裕資金を置いているわけである。銀行の証券関連ビジネスは投資信託の窓販に始まり、証券取次ぎ制度を利用して、株式市場関連でもビジネスをすることが可能になってきたわけである。


外国人投資家動向、持ち合い解消、年金の代行返上に絡む需給悪化等々は総額としては兆円単位で市場に大きな影響を与えることは間違いない。しかしながら、個人の金融資産もマクロでみれば相当額であり、これが少しずつでも動き出せば日頃メディアが取り上げている投資家主体を飲み込むほどの金額となることは間違いない事実である。このような流れをみていると、長年にわたり証券界だけで株式市場の参加者の裾野が広げようとしていた時代が終わり、銀行や郵貯も一体となって株式関連商品を扱う時代のお膳立てはできあがったと考えてもいいだろう。個人の株式投資家の裾野広がりは、ネット証券の台頭、売買単位の低下、そして銀行の本格的な参入によって大きく変化していく予感を感じている。最近は企業業績の先行き懸念で市場に弱気が台頭してきているが、需給の側面から市場動向を考えればなにも弱気になる必要はないのではないだろうか。


東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

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