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パソコンや通信回線のせいにしていませんか?
    〜メディアエクスチェンジ(3746 マザ)吉村社長に聞く〜
    東京IPO編集長 西堀敬

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ネットサーフィン中にいらいらすることがありませんか?なんていう言葉では じめると、ADSLやFTTHの宣伝かと勘違いされる人も多いのではないだろうか。また、インターネットがサクサク動く快適な通信環境を求めてどこの ADSL/FTTHサービスがいいだろうかとパンフレットを比べた経験をお 持ちの方も多いだろう。そのうえ更なる快適さを求めて、パソコンのスペックを上位のものに替えられた人もいるだろう。ところが自らのインターネット環境をいくら整備してみてもサイトを開くのに時間がかかる場合がある。そのよ うな場合は、ほとんどのケースがユーザの問題ではなく、サイトのあるサーバ 側に問題がありそうだ。

このようなネットワークの元締め的な存在としてインターネットデータセンターを運営するメディアエクスチェンジの吉村社長にお話をお伺いした。まず、 最初にお断りしておきたいのは、ネットワークの技術に不案内な筆者がお話を お伺いしたので、技術に造詣の深い方々は上辺だけの話で頼りないようにお感 じになるかもしれない。

当社の事業は、「インターネットデータセンター(iDC)サービス」、「インタ ーネット接続サービス」、「その他」の3つに分けることができる。事業の内容を説明すると、売上の8割を占める「インターネットデータセンター(iDC)サービス」とは、インターネット事業者(たとえば楽天など)に対して、インタ ーネットへの接続環境、専用ラック、電源、セキュリティ管理等最適なサーバ 環境の提供を行う「ハウジングサービス」並びにハウジングされる専用のサーバを提供する「レンタルサーバサービス」がある。残りの売上の2割近くを占 める「インターネット接続サービス」とは、主にインターネットサービスプロ バイダー等の事業者に対して、当社のネットワークを利用した広帯域のインターネット接続環境を提供するサービスである。

目論見書を読むと事業内容は上述のように書かれている。筆者なりに読者の皆様にわかり易く説明させていただきたい。 インターネットとは、サーバ上に 置かれたデータを通信網で結んで誰でも利用できるようにした仕組みのことで あると理解すると、そのサーバをおく環境をハードも含めて提供するのが「iDCサービス」、そのサーバを通信網に接続させるのが「インターネット接続サービス」だと考えられる。「iDCサービス」のほうは、オフィスビルの賃貸事業のようなもので、さしずめインテリジェントビルを建ててニーズのあるところに貸し出すようなものである。当社のインフラはハイエンドであるために、アクセス数が極端に多いサーバを保有している事業者ほどその価値は高くなる。一方のサーバを通信網につなぐところに当社の強みが存在している。日本の通信環境インフラ構築にマッチした国内メーカーのルータを使ってパフォーマンスアップを図ったり、インターネット事業者のユーザの特性を見て国内の回線網だけを提供したりしてコストパフォーマンスを上げ競争力を維持している。

では、このビジネスの成長性はどうだろうか。IDCの稼働率は平均35%と言われている。つまり提供されるインフラの余力からすると完全な供給過剰となっており、現状の設備でしばらくは十分といえるだろう。吉村社長は、iDCの現状の設備は何年経っても埋まることはない、と見ている。その理由は、CPUの進化によりサーバの性能は高度化するが、物理的なサーバの大きさは小さくなることはあっても大きくなることはない。従って、巨大資本が繰り広げてきたiDCのスペースを競う面積競争は意味が無くなることになりそうだ。ところが、CPUが小型化すればするほど熱の発生が大きくなり、iDCの運営では空調設備とそれを支える電力供給がより重要になってくるそうだ。

このような環境の中にあって、当社の設備の稼働率は60%と業界標準を大きく上回っている。しかしながら投資家の視点で見ると、当社の利益成長性は稼働率の向上にあるのではない。売上構成の中のインターネット接続サービスおよびiDCサービスに含まれるCSPへのインターネット接続部分の売上の伸びである。こちらは売上が伸びた分だけほぼ同額が粗利になる構造になっており、読者は売上構成に注意を払うべきであろう。

さて、最後に累損を抱える当社の株主還元に関する方針であるが、吉村社長の考えは、早期に累損を解消して配当でもって還元していきたいそうである。インターネットは世の中のインフラであり当社も電力やガスの供給会社のような位置付けになるのではないだろうか。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

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