┏ ――――――――――――――――――――――――――――― ┓
新規公開株式情報の東京IPO
http://www.tokyoipo.com/
┗ ――――――――――――――――――――――――――――― ┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
飲食業界の企業再生屋現る
  店舗流通ネット(3351名証)江藤社長に聞く
  東京IPO編集長 西堀敬

1年前に行った居酒屋に行こうとしたら、すでに看板が変わっていたなんてこ とは日常茶飯事ではないだろうか。でも、そこには似通った別の名前のお店が しっかりと営業しており、別の店を探すのも面倒だから、まあいいか、と言っ て入ることも多いのも事実だ。では、お店の運営者は同じかと言うと、ほとんどの場合は別の事業者に代わっているらしい。

つまり同じ看板のお店は飽きられてしまい、同じ業態は長続きしないというこ とだ。11月19日に名古屋証券取引所セントレックス市場に上場した店舗流通ネ ットの江藤社長は、どんな業態のお店でも必ず飽きられてしまうものだと言い切る。

江藤社長が、当社の事業モデルに目をつけたのは、飲食業、不動産業、リース事業がそれぞれ持ち合わせるの非合理性を排除すれば、飲食事業は非常に投資効率の高い事業に転換できると考えたところにあった。では、その非合理性とは何かを聞いてみた。

まず、飲食業における問題とは、1、開業にかかる設備投資額が大きい2、店舗展開するのに人材などの経営資源を調達するに時間がかかる3、間接コストがかかる。次に、店舗については、不動産情報が地域に特化して流通していない。
最後に、開業にあたって設備に対してリース会社がファイナンスを行うが、リースの基本となる設備の担保価値がほとんどなく実質無担保リースになっている上に低スプレッドでデフォルトリスクが高い、またリース会社は業界に特化していないので設備の再利用などが不可能となっている。

このような事業環境の中で展開される当社のビジネスモデルを簡単に説明すると、中古の飲食店舗を見つけてきて、リニューアルを行い、業務委託者を探し、店のサイズにあったライセンス提供企業を紹介して店舗運営を行うというものである。

当社の特徴は、まずは業務委託者つまりお店を運営する人にとって、開業にかかる投資額が低いことに加えて、運用費用の中でのロイヤリティがないことが大きなメリットとなる。つまり開業しやすい上に同じ売上でも利益の額が大きいということになる。但し、業務委託契約は通常5年間のクローズ期間が設定されているので、その間は契約解除できないことになっている。しかしながら初期の投資額が当社のモデルを使うことによって、通常の5分の1程度で済むことや、設備をリースにかけた場合でも5年程度の縛りがあるため、業務委託者にとっての負担は大きくないと考えられる。

一方、このサービスを提供する当社にとってのメリットは、
1.直営店舗を新規に1店舗出店する投資額で、6店舗出店できる上に、ROIを 比較した場合おおよそ2倍の収益が得られる仕組みとなっている。

2.どのようなサイズの店舗であっても、コンテンツ(業態)に縛られないため、 30席でも100席でもその店舗にあったコンテンツを提供できる。

3.コンテンツ(業態)が劣化(飽きられる)しても、他のコンテンツ(業態) に転換して、同じ店舗の経営を続けることが可能となる。

4.同じエリアでも、コンテンツ(業態)を複数利用することによって多店舗を保有することができる。

以上のメリットにより、限られたコンテンツしか持ち合わせない飲食事業者に比べて多くの店舗展開が可能となる上に、店舗の完全なる廃業という飲食業にありがちな非合理性を排除することができる。

当社と業務委託先のメリットについてはある程度読者にもご理解を頂いたと思うが、最後に社員のメリットについて言及しておきたい。江藤社長の経歴は、社会人としてのスタートは年収300万円のリース会社の営業マン、その後ソニー生命に転じトップセールスを数年間続けた(ソニー生命のトップセールスの年収は言うに及ばないだろう)。当社が目指しているのは、ソニー生命にも劣らない生産性の高い営業マンを育てることである。その前提には、決められたルールに従って動く限りは、現場にすべての権限を委譲して、自らが考え、行動し、結果を出し、その成果に対してしっかりと報いる仕組みを構築すること
である。すでに実践中の仕組みの中で、5人の事業部長(当社ではカンパニー長と呼ぶ)が江藤社長よりも年俸が多いという。筆者の経験からすると、オーナー企業は、このような仕組みはあっても機能していない会社がほとんどだが、当社は非常に類稀な企業であると思われる。

飲食業でもない、不動産業でもない、ファイナンス(リース)業でもない、そんな店舗流通ネットであるが、3業界の旧来の非合理性を排除して、ミックスすることによって当社の新しい価値が創造されていると筆者は考える。5年後に経常利益を100億円まで伸ばしたいと豪語する江藤社長であるが、今の日本はまさに過去との決別の時代であり、合理性のないビジネスを営んでいる業界にとって、当社のチャレンジは大きな脅威となることは間違いなさそうである。

東京IPO編集長 西堀敬 nishibori@tokyoipo.com

(c) 1999-2004 Tokyo IPO. All rights Reserved.