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編集長のジャストフィーリング 〜相場の流れを読む(第1回)〜
東京IPO編集長 西堀敬

2005年もすでに10日間が過ぎた。証券市場の営業日数では今日で5日目だが、市場関係者の声は非常に強気に聞こえてくる。もちろん市場関係者は、日々の株式売買高が商売であるから万年強気は当然であるにしても、年初の大手企業の経営者及び市場専門家の相場見通しとは隔世の感がある。

たぶん年初の新聞に掲載されている各種の相場見通しは昨年12月の20日前後にヒアリングされたデータではないかと推察する。企業経営者、市場専門家ともに1月〜2月に日経平均が安値を付け、年央から年末にかけて高値を付けるとする意見が大勢を占めている。

その背景には、昨年秋の原油高や円高トレンドの影響が2005年3月期に影響を与えることの懸念や、IT業界における在庫調整が下期の生産活動を鈍くするとの推測から景況感が益々悪化するのではないかと見られているようだ。一方では、そのような悪循環も長続きはせずに年央からマクロ統計数値も回復基調になるのではないかとの見方をしているようだ。

毎年のことであるが年初の相場見通し通りに市場が動いたことはほとんどないことは読者の皆さんが一番良く承知していることだ。では今年はどのような動きになるのだろうか?

筆者が皆さんに与えられるヒントは、企業経営者や市場関係者は企業業績や景気動向といったファンダメンタルズを軸にして株価動向を占っている、ということである。つまりファンダメンタルズ以外の要素についてはあまり考慮していないとも言える。

株式市場を動かす要素として「需給」という側面があることは言うまでもないが、企業経営者に関して言えば、ここの部分はまったく頭にないといっても過言ではない。

では、今年の需給状況の予想であるが、まずポジティブな側面について述べておこう。

(1)テクニカル的には、相場は5月以降続いていた三角持合いからは完全に脱し、4月高値の信用買残高の整理もほぼ終結したと考えられる。

(2)株式市場への資金流入源として個人マネー1400兆円がペイオフの解禁によって動き出す可能性が高い。銀行にて窓販される投資信託経由が大きな存在になる可能性が高い。

(3)団塊の世代が徐々に退職し、個人の資産運用において株式の比率が高まると考えられる。

次にネガティブな側面であるが、株高はすなわち企業のエクイティ・ファイナンスを助長することとになる。今年のIPOは件数では昨年同様と考えられるが、大型のIPO件数は少なくなり、20億円未満のファイナンスが中心となってくると考えられる。IPOにおける市場への影響はほとんどないと考えられるが、問題は年末年始に新聞報道されたNTTやJR株式の売出しや既上場企業の公募増資などであろう。過去の経験則からすれば、政府が保有株式を売出すと相場は崩れているのも事実である。

ポジティブな側面の(1)に関しては、時間が過ぎれば逆の状況が起こってくるので、一時的なものであると言えるが、(2)、(3)に関しては構造的な変化でありここ数年その持続は期待してもよかろう。短期的にネガティブ要因を吸収できるまで個人マネーが流入するかどうかはわからないが、中長期的には個人マネーのシフトはそう簡単には終わらないと考えたほうがよかろう。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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