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編集長のジャストフィーリング 〜相場の流れを読む(第4回)〜
東京IPO編集長 西堀敬

とうとう今日で1月も終わりである。今世紀に入って1月にIPOが無いのは今年が始めてのことである。 東京IPOの編集長としては少し寂しくもあり、また来週から始まるIPOラッシュが楽しみでもある。

さて、今日は、先週の続きで女性の社会進出だけではなく少子・高齢化が進む日本の社会においてライフスタイルが少しずつ変わってきている点について触れてみたい。

日常の生活を立ち止まって20年前と比較してみるとサラリーマン諸氏の時間の使い方が違ってきている点についてはすでに述べたとおりである。サラリーマンの男性が日々忙しくなり、多くの女性が仕事をもつ時代になってくると、いわゆる「家事」に割く時間がどんどん短くなってきているのではないだろうか。ましてや高齢者が増えてくるとなると、両親の介護などの時間も相当負担になってくることが考えられる。

ビジネスの世界ではアウトソースが流行っている。経営に必要な人材までもが、派遣社員でまかなわれる時代である。雇用の柔軟性があり、適材適所の人材を確保するという意味においては、派遣社員や契約社員という雇用形態が企業にとっては非常に重宝できる手法である。

では、家事はアウトソースできるのか?ということであるが、老人介護などは法的整備も進み税金を使ってリーズナブルな価格で安心しておまかせできる時代となった。日頃の掃除は別として、年末の大掃除などは専門の業者に頼む家庭も多く出てきている。このように家庭内でしかできない家事を外部に求めるアウトソースについては限界があるが、家庭内でやらなくてもいい家事、たとえば炊事に関しては、晩御飯のおかずをスーパーやデパートで買い求める主婦の方も多くなっており、独身や少人数世帯の方々はコンビニなどを利用されていることと思う。

しかしながらどうしても外に出ないといけない家事というものがある。それが「買い物」である。日常消耗品や飲み物などは、昔なら御用聞きお兄さんが来てくれて頼んでいたのであるが、世の中は大量消費と低下価格化でスーパーマーケットやディスカウントストアーが出現しいったん消え去ってしまった。ところが、今世紀に入ってから姿を変えて、御用聞きの世界が復活してきているのを皆さんはお気づきだろうか。それがイーコマース(インターネットショッピング)の出現である。

ネットバブルの時代にこぞってイーコマース業者が現れたが、その多くが姿を消したことを読者の皆さんはよくご存知のはずだ。イーコマース事業の経営者は「敗軍の将、兵を語る」の弁明において、インフラが追いつかなかった(ブロードバンドの時代が未到来)、日本は買い物が便利でネットショッピングをする必要が無い、クレジットカード番号を打ち込むのに日本人は抵抗がある、等々の言い訳が並んだものである。ちなみに、いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの楽天の時価総額が2000年5月のIPOから2004年央まで低迷を続けたことをみれば明らかである。

振り返ると、イーコマースを消費者が利用するモチベーションについて、@ブランドが確立されている商品であれば、別にどこで買っても同じであり、品質が同じであればより安いものを買いたい、A地方の特産品などを現地にいかなくても買える、などが挙げられていた。それに反して、コンビニや24時間営業に近い小売店の出現で、せっかちな日本人にはイーコマースは向いていないのではないかという議論がさんざん繰り広げられた。しかしながら、当時の議論から抜け落ちていたのは、日本人の時間の使い方が変わってくるということである。

24時間営業で、店員がいなくてもいつでも注文できて、決められた時間に決められた場所に届けてくれる。商品やサービスの品質が保証されるのであれば、こんな便利な仕組みはないはずだ。ましてや買い物などで重いものを運ばないといけないような場合、高齢化してくる時代にはもってこいのサービスであることは間違いない。

イーコマースと聞くと上場銘柄では楽天が有名だが、昨年はイーコマース専業で以下のような企業が上場を果たしている。

(1) イーネット・ジャパン:3334大証H(家電・DVD・ゲームソフト販売)
(2) ケンコーコム:3325東証M(健康関連商品の販売)
(3) ゴルフダイジェストオンライン:3319東証M(ゴルフ用品の販売・買取、ゴルフ場予約、情報配信)
(4) ネットプライス:3328東証M(共同購入方式による通信販売)

価格競争の激化により、ボトムラインでは苦戦を強いられている企業もあるが、いずれの企業も売上が伸びている点に注目したい。小売業が全般に前年同月比で売上を落としているなかにおいて、楽天の流通額や上記の企業は売上を伸ばしているのである。

まさに、形を変えた御用聞き復活と言っても過言ではなかろう。来週は、インターネット関連ビジネスだけではなく、少子高齢化の流れでライフスタイルの変わる日本人に関連したビジネスを見ていきたい。(次回に続く)

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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