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株価のモデリングについて
クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤
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株価の売買は、単純なモデルとして扱うことができます。
もっとも簡単なモデルの中にも真実が含まれている場合があります。

■売買モデル■

下がったら買い、上がったら売り。
この単純なルールをそれぞれの市場参加者が行ったらどうなるでしょうか。
買いと売りの2つの場合を考えるだけでよいので、ベルヌーイ試行※というモデルを当てはめます。

「上がれば売り、下がれば買い」です。

U: 株価上昇 U
D: 株価下落 D
とします。

(ケース1) 上昇してから下落した場合。 U(t=1)→D(t=2)
(ケース2) 下落してから上昇した場合。 D(t=1)→U(t=2)
t=1を明日
t=2を明後日とします。

株価は上がれば売り(=S)、下がれば買い(=B)でしたから、
(ケース1) S(t=1)→B(t=2)
(ケース2) B(t=1)→S(t=2)

となります。

明日の株価、明後日の株価はわかりません。
しかし、この2つのケースでは、明後日の株価は同じです。
上がって下がる、下がって上がる。結局は、変わらずですね。
同じ株価水準であるにも関わらず、このモデルは、片方は「売り」、もう片方は「買い」を指図します。

同じ株価であるのに、なぜ、売りと買いが同時に介在するのでしょうか。

実は、どんな売買モデルも同じ株価で違う判断をすることがあります。
相場に売り手と書い手がいるのも、それぞれの売り手や買い手のそれまでの歴史や売買コストが関わっているのです。

株価の売買モデルの多くは、短期と中期と長期で違う売買判断になります。
そして、短期で売買する人や中長期で売買する人にとっては、同じ株価が違うものに見えたりするのです。

「下がれば買い」というモデルは、逆張りのモデルです。
株価が下がることが、買いの条件となるモデルで、多くの投資家の支持を受けているモデルです。

「下がれば売り」というモデルもあります。逆指値など、損切りが必要であると考える場合などに有効です。
リスク管理の観点からは、「下がれば売り」というモデルも有効となります。
「下がれば売り、上がれば買い」ということを繰り返していけば、手持ちの資金はどんどん減ってしまいます。
資金を増やしていくためには、「下がれば買い、上がれば売り」ということを繰り返すのがもっとも有効だといえるでしょう。

※ベルヌーイ試行
ベルヌーイ試行とは、2つの選択肢しかないモデルです。
株価の動きは、ベルヌーイ試行を続ける「2項モデル」として扱うことができます。

単純な売買モデルを複雑にすることによって、勝率やモデルの信頼度を上げることは可能だと思います。
ただし、どんなテクニカル的な売買モデルも、株価の過去の動きから現在判断しようとしているわけです。
そして、過去の動きから、判断できる現在の株価は、前述のように「売り」だったり「買い」だったりするのです。
そのように考えると、多くのテクニカルなシステムは、一歩間違えば、逆の結論を導くことになりかねません。
わたしが、テクニカルな分析を信じない理由は、今回の単純なモデルが十分に説明してくれていることなのです。

■戦略的なIRと株価■

企業のファンの数は、何で決まるでしょうか。
仮に、

ファンの数 = [企業の質、業績、IR、その他]

とします。

ファンの数は、企業の質や業績やIRなどの様々な要素によって決定されるという意味です。

IRの役割は、ファンの数を増やすことだと思います。
企業そのものの資質が基本でしょうが、業績がよくなればなるほど、ファンは増えていくわけです。

悪い企業は、業績がよくなると、社長が「IR強化」だといいだします。業績が悪くなると、途端に、社長の姿が見えなくなります。
IRの人に言わせると、「業績に自信がないときに、IRをやっても、説得力がなくなるから」といいます。

こういうIRは最悪です。

つまり、

ファンの数=[企業の質、業績、IR、その他]

という要素の中で、IRが業績そのものになってしまうからです。

こうです。ファンの数=[企業の質、業績、IR→業績、その他]=[企業の質、業績、業績、その他]=[企業の悪質性、業績、業績、その他]
となり、株価は業績に大きく左右されてしまうようになります。

逆に、戦略的なIRがわかっているところは、
出来すぎた場合、「こんなよい時期はそんなには続きませんよ」とか、「株価は行き過ぎてますよ」という口先介入をしたりして、過熱感を抑えます。
また、業績が悪いときは、自社株買いをしたり、配当を増やしたり、市場へのメッセージを送り、株価の緩衝材として働きます。

ファンの数を激減させるようなことを未然の防ぐのはIRの役割ではないでしょうか。
戦略的なIRを行うことで、株価はややディフェンシブ色が強くなることが予想されます。

たとえば、「外人持ち株比率の高い銘柄は上がらない」というジングスが市場にはありますが、正確ではありません。
正しくは、「外人持ち株比率が高い銘柄は株価の動きが安定的になる」というのが正しい表現だと思います。

山本 潤
ゆっくり考え ゆったり投資
〜スロー・インベストメント〜

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