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イーコマースの仕組みはどうなっているの?
    〜GMOペイメントゲートウェイ(東証M 3769 / 4月4日上場)相浦社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀敬


GMOペイメントゲートウェイ株式会社 代表取締役社長 相浦一成氏

筆者のコラムを読んでいただいている皆様はインターネットを使って通販を体験されたことがある方がほとんどだと推察する。最近は個人情報保護法の施行などもあって、個人情報に関する意識が高まり、通販の決済で代引きや振込みを使われる方もいると思うが、依然としてクレジットカード決済をされている方が圧倒的に多いはずである。そんなインターネット通販(EC)事業者に対して、クレジットカード決済のインフラを提供されているGMOペイメントゲートウェイ社の相浦社長に今回はお話を伺った。

いつもインタビューにお伺いすると、先ずはこちらの自己紹介から始め、いろんな視点で質問を投げ掛けるのであるが、今回の相浦社長は私の訪問をお待ち頂いていたようで、こちらが労せずともかなり細にわたってお話をお伺いすることができた。

事業の内容は後に回すとして、まず驚いたことは、仮条件を決めるための機関投資家訪問(プレヒアリング)の話である。2週間弱で55件という訪問数もさることながら、かなりの重量のプロジェクターを持参し、すべての機関投資家の前で立ってプレゼンテーションしたそうだ。学生時代はラグビーの選手だったとは言え、42歳の年齢でここまでエネルギッシュな社長はそうそう居ないというのが実感したことである。ほとんどの社長は1日4件のペースで1週間も廻ると飽きてしまうのと同時に疲れてしまうものである。市場に答えがあると言って顧客訪問を絶やさない営業マンシップはここでも表れていて軟弱で頭でっかちな機関投資家諸氏を驚かせたことは間違いないだろう。

さて、本題の事業の説明に移ろう。当社は、ECサイトをはじめとした非対面販売を行う事業者を対象としたクレジットカード決済処理の仕組みを提供する会社である。具体的に提供される仕組みは、

(1)事業者が消費者に商品を販売する際に必要なクレジットカード会社に対して行う与信処理等のオンライン決済データ処理サービス

(2)事業者に代わってクレジットカード会社に対して行う売上請求処理サービス、事業者の顧客のクレジットカード情報を最新のものに更新する洗替処理サービスなどのオフライン決済データ処理サービス

(3)クレジットカード会社と加盟店契約を結んでいない事業者に対して複数の加盟店契約をまとめて締結し売上代金の入金を一括して請負う代表加盟サービス

および(1)〜(3)に関連する事務作業の代行サービス

となっている。

次に当社のビジネスモデルであるが、当社の提供するサービスに対価をお支払いいただくのは非対面販売を行う事業者である。では、どのサービスに対していくら支払うのかということが読者の興味の的になると思われる。サービスはおおまかに三つに分かれている。

1) イニシャル:サービス導入時の際に得る、当社のシステムを利用するためのソフトウェアのライセンス、初期設定、接続試験、サポート等の初期導入費用

対価:〜50万円

2) ストックコミッション:事業者サポート費用および管理費用の定額月次固定費

対価:1,500円〜50,000円

3) トランザクションベース:データの処理件数や決済金額に応じた従量制費用

対価:データ処理件数あたり10〜25円、もしくは決済金額に応じた従量制

目論見書においては、1)はイニシャル売上、2)、3)がランニング売上として計上されている。

ビジネスの現状としては、当社のサービス利用者数が7,500店、年間の流通総額(決済金額)が約1,400億円。楽天の出店数が11,300店、年間流通総額4,000億円であることからすると、相当数の非対面販売事業者を顧客にしていると推測される。一方で、利用者数の伸びはここのところ毎月300店以上のペースで増加しているそうだ。このペースだと1年間で4,000〜5,000店の増加となり、3年後には3万店に迫る勢いである。

日本でのEC市場の成長に関して、少なくとも今後3年間はほぼ現状のペースで成長すると会社は見ている。その中でも、@オンラインゲーム A音楽 B映像 Cコミュニティーの分野に成長性があると相浦社長は見ている。また今後については、EC事業者だけを相手にするのではなく、対面決済の非対面決済化(例:ゴルフ場の精算)や生活密着の月額固定支払い決済市場(例:携帯電話、ISP、公共料金等の毎月支払い)にも力を入れていきたいそうだ。

最後に相浦社長のメッセージを読者の皆様にお伝えしておきたい。当社はどのような事業者にもサービスを提供するといった儲け至上主義企業ではないということ。我々は組織の中でビジネスの流儀を身に付けたベンチャー企業であり、決して公序良俗に反したサービスなどの課金決済は請負わないという精神で事業推進していることをご理解いただきたい。従って、タイムリーディスクロジャー、コンプライアンスなどのやって当たり前の事はもちろんのこと、それ以上に人一倍の努力を行い、日本をリードするようなベンチャー企業を目指していきたいそうだ。

福岡出身で社内では博多弁を話し、大学時代はラグビーに熱中した元IBMの凄腕営業マンが創りあげた大人のベンチャー企業がどこまで成長するのか。初値は公開価格の5.6倍と非常に高く評価されたが、かならずやポストIPOでも本領を発揮してくれることを期待したい。

GMOペイメントゲートウェイホームページ:http://www.gmo-pg.com/

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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