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ファンダメンタルズ分析入門
クレイ フィンレイ プリンシパル 山本 潤
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〜投資判断と業績予想とバリュー〜

アナリストの仕事は個別企業の業績を予想した上で、投資判断を付与することです。
アナリストの職業的な目的は投資判断の付与です。
業績予想は、アナリスト活動の目的ではありません。
業績予想は、あくまで、投資判断を付与するための一助であり、手段にすぎません。

また、投資判断は、業績の善し悪しという要素のみで行うわけではありません。
PER、PBR、配当利回り、成長性を加味したPER(PEG)などのバリエーションを投資判断の参考にします。
バリエーションとは、投資判断をするツール(株価指標)です。
アナリストは、バリエーションを参考にして目標株価を決めます。

もし、バリエーション、例えば、PERの水準のみによって、株価が判断できるとしましょう。
そうであれば、アナリストの仕事は、非常に単純なものになります。

会社側の発表した予想業績数値を、多くのアナリストがそのまま自己の予想数値としてます。
そのことは、株式市場では、周知の事実です。

そして、会社予想数値に基づいたPERを教条主義的に判断したとしましょう。
たとえば、PER10倍以下は買い、PER50倍以上は売りというような単純なテーブルをつくります。
会社予想数値を元に、そのテーブルに沿って、投資判断をすれば、それはアナリストではなくて、マニュアルに過ぎません。アナリストの社会的な役割は矮小化されてしまい、その存在意義を問われてしまいます。

もちろん、多くの投資家は、マニュアル化した投資手法を確立しているでしょう。
そして、手法が原則的であればあるほど、マニュアル化しやすいのも事実です。

〜創造的な業績予想〜
アナリストの仕事はもちろん、独自に業績を予想するという創造性がとても重要です。

そして、経験を積んだ人ほど、業績予想は、非常に、人間くさいものになります。
経験を積めば、企業というものの本質を冷静に見ることができるからでしょう。
たとえば、好業績に沸く業界があれば、そのうちに、企業は投資に走り、過大な供給能力を保持してしまいます。
お金があれば、お金は浪費されてしまう。
お金を上手く使うのが非常に難しいというのは、個人も企業も変わりません。
そういう無常感というものが経験によって積まれていきます。

つまり、経験を積んだアナリストであれば、
ビジネスサイクルなどの循環的な要素に逆らうことはしません。
それが、株式投資には非常な不利になるということが身にしみているからです。

〜タイミング〜

ファンダ分析は、企業業績のモメンタムを評価することも含みます。
モメンタムとは、増益率や減益率の変化を見ることです。
たとえば、前期10%増益の企業が、引き続き増益ながらも、今期の増益率が5%であれば、10から5へモメンタムは低下します。
モメンタムが改善するか、悪化するか、それは投資家にとって重要な要素です。

モメンタムが悪化する中で投資を敢行することは不利です。

つまり、業績評価は、モメンタム評価であり、それは、投資タイミングを計るという意味を持つのです。

投資タイミング(=モメンタム)とバリエーションとを組み合わせて、投資の判断を付与する。

簡単にいってしまえば、それがアナリストの仕事です。

まとめ
●業績予想とPER・PBRのみで株価判断をすることはできない
●業績予想とは、モメンタム評価の側面がある
●モメンタムとは投資タイミングを計るツールである
●モメンタムとバリューとを比較して、投資判断を付与する

山本 潤
ゆっくり考え ゆったり投資
〜スロー・インベストメント〜

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