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新規公開株式情報の東京IPO
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編集長のジャストフィーリング 〜また始まったIPOバブルに注意せよ!!〜
東京IPO編集長 西堀敬

今年もIPO銘柄の初値が過去2年間と同様の動きとなってきた。1月は年末年始、5月はゴールデンウィーク時のプライシングにカレンダー上の難があることからIPOの件数が少なくなる。そのエネルギーが爆発したかのようにIPO市場に個人マネーが流れ込んできている。

この時期のIPOは銘柄や業種に関係なく暴騰している。初値に買い向かうのは投資家自身のリスクである限りは誰にも非難されることはなかろう。しかしながら、フェアバリューから大きく乖離した株価まで買い上がるのは相当の覚悟が必要である。今年のシンボリックな成功銘柄としては、3月9日に上場したガンホー・オンライン・エンターテイメントなどがあるが故にリスクを顧みず果敢に挑戦される個人投資家の方もいらっしゃるのであろうと推測する。

年初まで振り返ってみると先週までのIPO銘柄数は56件である。平均の初値騰落率は162%(公開価格の2.6倍)となっている。その中で初値を維持している銘柄数は16銘柄と三分の一以下である。中でも初値騰落率トップ10銘柄の上場後の成績は2勝8敗と大きく負け越しているばかりか2勝の銘柄も初値からの上昇率は数パーセントである。つまり絶対値では大きく負け越していることになる。その額を計算してみると10銘柄を初値で買うと2,776万円の投資となる。一方で6月2日の終値で評価すると1,512万円となり1,264万円の評価損となっている。長期に保有すれば株価は回復する可能性があるとは言え

すでに45%も評価損を抱えてホールドしつづけるほど忍耐力と資金力がある個人投資家はいないだろう。

飛び乗り、飛び降りでデイトレーダーをやっているから心配御無用とおっしゃる方がほとんどだとは思うが、信用取引の評価損益がプラスになることがほとんどないことからすると投資家心理としては損が出ている銘柄を切ることはなかなかできないということである。とくにIPO銘柄はいったんトレンドが変わるとあっと言う間に半値以下になってしまうことが多く、Buy&Holdの投資スタンスでいると大火傷をしてしまうことになる。

5月20日に約1ヶ月ぶりのIPOでセレブリックスが上場した。そのあとレイコフ、ザッパラス、関門海と続いたが、徐々に初値騰落率は下がってきているとはいえ依然として高水準であることは否めない。また、いずれの銘柄も上場日の翌日から株価は急降下している。土曜日の説明会で、この局面では初値は買いに行かないでただ単に見ているのがベストとお話した。その説明会の直後に説明会に参加いただいた方が先週の新規上場の銘柄を上場日に買ったのですがどうしたらいいでしょうか?と質問された。過去のトレンドから見て再浮上するまでには相当の期間を要するどころか、今後どんどん下がっていく可能性があるので、速やかに処理することをお勧めした。銘柄によっては市場のテーマにフィットしていると需給相場で理解を逸した水準まで初値以降も上昇するものがある。でも、そのような銘柄は1年間片手の数ほどもないのである。

公募株から外れた方は指をくわえて見ているだけでつまらない。ここで筆者のアドバイスであるが、過去1年間を振り返って銘柄探しをされることをお勧めしたい。

東京IPOのトップページに「IPO DATA」がある。ここをクリックすると2004年、2005年のIPO銘柄一覧がある。

http://www.tokyoipo.com/top/iposche/index.php?j_e=J

ひとつずつクリックしてもブロードバンド環境であれば1時間もかからないだろう。

まずは、初値が高くてその後大幅に下がっているものを見つけて、その後に業績チェックである。上場した後にすでに決算発表されている銘柄で増収増益になっているにもかかわらず株価は増益を反映した株価となっていない銘柄に注目してみてはどうだろうか。

筆者がざっとみたところでは、昨年にIPOした銘柄でチップワンストップ(3343東証M)、ディップ(2379東証M)、今年の年初のIPOだとHuman21(8937JQ)などが初値から大幅に下落しているが、業績の伸び率はトレンドを維持しており、会社発表数字を見る限りにおいては順調に増収増益を維持しているものである。詳しくは読者自身が各社のHPにある決算短信を熟読していただきたいが、筆者が取り上げた銘柄以外にも掘り出し物はきっとあるはずだ。

最後に宣伝になるが、東京IPOの有料サービス「IPOストラテジー」のコンテンツで一代足チャートというものがあって、このチャートをみると初値から現在値の水準が一目でわかるようになっている。過去1年間の全部の銘柄をチェックする時間のない方にはお勧めしたい。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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