「成功報酬」という言葉はインターネット広告などのアフィリエイト型広告などでだんだん認知されるようになってきた。しかしながら、アフィリエイト広告を掲載するHPやメルマガなどの媒体にはほとんどコスト負担がなく結果がでればフィーが入ると言うおいしいビジネスモデルである。　では、商品・サービスの企画・販売の先行コストを負担して、結果が出たときのみ成果をいただくビジネスなんてやる人はいるのだろうか？　仕事を依頼するほうは先行した費用発生が実費以外起こらず、結果が出なければ支払いが生じない、実はそんな仕事を受けてくれる会社がある。6月7日に名証セントレックスに上場したNowLoading社の中川社長にその仕組みをお伺いした。

中川社長の経歴は、大学を卒業後、リクルートフロム・エーに入社。その後リクルート本体に出向し、電子メディア事業部でインタ−ネットサイトのイサイズ事業に従事した。様々な事業の立ち上げなどを経験する中で取引業者との受発注取引で納得いかないことが多々ありそこに商機ありとみて、10年間のリクルート生活を経て現在のNowLoading社を設立した。

まず、当社の顧客価値創造であるが、これは非常にわかり易い。顧客企業の有する経営資源を活用し、顧客企業に代わって総合的に戦略および戦術を立案・実行することで顧客企業の事業および収益の拡大を支援する一連のサービス活動をセールスプロデュース事業と称しこれを主たる事業としている。

収益構造については、セールスプロデュースを行い売り上げ利益の拡大を提供する対価として報酬を受け取る仕組みとなっている。報酬の算出方法については、固定料金の場合もあるが、当社の大きな特徴として「プロフィットシェアモデル（成功報酬型収益モデル）」で行うのが中心である。この「プロフィットシェアモデル」は、顧客企業が提供するサービスの原価（初期費用やサービス料）を当社が全部もしくは一部を負担する代わりにプロジェクトから得られる収益または利益をシェアする収益モデルとなっている。

具体的なセールスプロデュースのサービス内容であるが、�@コンテンツプロデュース事業と�Aビジネスプロデュース事業がある。わかり易いと書いたが、目論見書どおりに書くとあまり理解が深まらないので、少し噛み砕いて書いてみよう。

コンテンツプロデュース事業においては、携帯電話キャリア公式コンテンツの提供を行っており、コンテンツプロバイダーより受託発注を得てキャリアへの企画提案から外部制作スタッフ・システム開発会社を活用した制作・開発の進行管理、提供コンテンツの管理・更新・運用を行っている。現在は「着信メロディー」「着信ボイス」などの分野の１６コンテンツを提供している。収益モデルは完全なプロフィットシェアモデルとなっている。

ビジネスプロデュース事業においては、顧客企業のパートナーとして、販売促進など企画一式を請負って当社独自のマーケティングノウハウやネットワークを活かして顧客企業の製品・サービスの需要創出、販路開拓まで一貫してワンストッププロデュースとしてすべてを受け持っている。収益モデルはこちらもほとんど売上連動型のプロフィットシェアなどとなっている。

顧客数は前期で120社、手持ちの潜在顧客はその倍の240社あるそうだ。当社のビジネスモデルは成功報酬なので、ある意味においては売上・利益請負人のような存在であり、結果を適切に出していけば顧客が顧客を紹介するという好循環が当社の成長を支えていると言えよう。

とは言え、属人的な人材ネットワークとマーケティングノウハウだけに頼っていては成長の限界が見えてくる。「顧客の悩みが当社の仕入れ」と語る中川社長の成長の鍵となる経営のコンセプトは「ノウハウの横展開」と「顧客のコンビネーション」。このコンセプトの実現に向けて、この4月には、新卒を採用すると同時に営業チームの設立を行って人員を拡大し、ノウハウの共有を行って営業活動を活発に始めている。

最後に、株主価値創造における当社の計画は、売上で年率20％、利益で年率30％の成長を最低のラインと考えて成長を続けていくと考えている

東京ＩＰＯ編集長　西堀敬　column@tokyoipo.com