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けっしてアバウトではなく、かなりこだわってます!
〜オールアバウト(2454 JQ / 9月13日上場)江幡社長に聞く
東京IPO編集長 西堀敬


株式会社オールアバウト 代表取締役社長 江幡 哲也 氏

パソコンとインターネットが会社の机上や自宅の書斎・居間にあるのが当たり前になってきたが、皆さんのインターネットの利用目的はなんだろうか?

筆者の場合は、仕事柄もっぱら情報検索が目的のメインになっている。とは言え、ブラウザにはブックマークしてあるサイトがいくつかあって、コンテンツによっては毎日閲覧するサイトもある。筆者の場合は、株価チェックためのネット証券、経済ニュースサイト、出張のための時刻表、宿泊サイトなどがブックマークされている。これらは仕事で必要というよりも、筆者の生活に密着した情報を求める結果である。

インターネット上に多く存在するサイトの中でも、最近注目を浴びているのは、個人サイトである。ブログなどが流行していることもあるが、ネットユーザは固有名詞で語りかけられるほうが、親近感をもつそうだ。先日訪問したネット証券の話では、有料コンテンツでも個人名で発信している情報が売れているとのことだ。つまり、個人名で発する情報には、生活密着感があって、同じ目線の個人に訴求しやすいということだろう。

今日は、9月13日にJASDAQに上場した、オールアバウト(以下All About)の江幡社長に、インターネットの情報提供のあり方やユーザのニーズの変化などをベースにどのような事業を展開されているのかをお伺いした。

まず、All Aboutについて、簡単に説明して行こう。

同社のHPには、サイトコンセプトを以下のように紹介している。『「人生を愉しむ大人のための、情報発見サイト」。17分野、約300のテーマごとに、専門の知識や経験を持った「その道のプロ」である「人=ガイド」が、インターネット上にある膨大な情報の中から、ユーザを信頼できるホンモノの情報へとナビゲートする総合情報サイトです。』

筆者なりに江幡社長のお話をまとめて紹介し直してみよう。インターネットが日本で普及し始めて、おおよそ10年が過ぎようとしている。最初は、ネット上に存在する多くの情報を検索することを可能にするサーチエンジンを保有するサイトのみにアクセスが集中していた。ところが、ネットユーザの情報リテラシー度が高まるにつれて、情報そのものに付加価値がないと一度訪れたユーザを取り込むことが出来なくなってきた。そこで当社のサイトでは、ユーザが定期的にアクセスするような生活密着型のコンテンツを、「ガイド」と呼ばれるテーマ別の専門家が自らのプロフィールをオープンにして情報提供やナビゲートを行うように作り上げたわけだ。

Yahoo!などで検索する情報は、どちらかと言えばテレビのように「見る」感覚で作られているが、All Aboutのコンテンツは「見る」ではなく、じっくりと「読む」感覚で書かれている。つまり、雑誌のように読者に訴求できるコンテンツが掲載されていると言えよう。

その意味において、「ガイド」が当サイトの顧客(ユーザ)価値創造の命であるとも言える。そのガイドの選出は、自ら手を上げて来る人に対しては3ヶ月間仮サイトでコンテンツを製作していただいてからの本採用となるそうだ。採用となると、サイトに掲載されるコンテンツを月3本、メルマガを月2本作成する。採用されたからと言って安泰とはならず、業務が滞ったり、アクセス数が少ない場合などは入れ替えや報酬(平均月額5〜6万円)の見直しを行うなどガイドの評価はシビアに行われている。

そのようなAll Aboutのビジネスモデルであるが基本は広告モデルである。特徴としては、ペーパーメディアの閲覧コストに、アクションとアンケートを付加したエディトリアル広告が売上に占める割合の36.8%と前期は一番大きかった。ライフスタイルに密着したコンテンツに企業の商品・サービスをうまく絡み合わせたうえで、ユーザからの声も吸い上げる仕組みはまさにインタラクティブな広告と言える。

ページビュー数を利用して、サイトへのナビゲーションを行うバナー広告よりもAll Aboutのエディトリアル広告のほうが、特定ユーザへの訴求力が高いことをYahoo! Japanもよく認識しており、その現れとしてすでに三分の一超の株式を保有しているくらいである。

当社は、すでにライフスタイルEC市場への参入も始めており、江幡社長は「こだわり消費でNo.1」の企業を目指すという。セレクトショップやデパートなどで品質にこだわる層の消費者を取り込み、広告+ECで事業を成長させていく計画である。

江幡社長からの個人投資家である読者の皆さんへのメッセージとしては、「まずは売上規模で100億円を目指したい。とは言え、当社はまだまだ投資ステージであり、配当は当面は見送り、企業価値の向上で報いたい」とのことである。

インターネットメディアの特性である「インタラクティブとマッチング」を追求した新しいメディアとして生まれてきたAll About。 効果が計測できないと言われ続けてきたメディア広告のあり方を大きく変えていく予感がするのは筆者だけであろうか。

株式会社オールアバウトホームページ: http://www.allabout.co.jp/

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