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今日の運用会社のトレーディング体制
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)

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皆様、いよいよ冬本格化の様相です。暖房がない家に帰るのは億劫なので、会社に居付く時間が伸びている鰊です。

さて、レギュラーとしては二回目の登場となります。
今回は、編集長のリクエストにお応えする形で、いわゆる機関投資家がどのような体制でトレーディング(発注業務)を行っているのか説明したいと思います。

あまり細かく説明してしまうと、「あれ」ですので、一般論的な内容が増えてしまいますが、そこはご容赦いただければ幸いです。

では、今回は発注システムと発注方法を説明いたします。

■発注システム
一昔前のトレーディングといえば「ニュースが出れば怒声が鳴り響き、指数が大台に乗れば拍手が湧く体育会の練習風景」であり、現代では「PCをフル活用したシステムで、わずかなスプレッドを抜きにいく」というイメージがあるかもしれません。

しかし、現状はその中間といったところで、以下の3つを併用している会社が多いようです。

(1)電話
  口頭で売買、銘柄、ファンド、プライスを伝え、約定も口頭で受領する。(2)FIX(Financial Information Exchange)
  専用回線・ソフトを用いて、証券会社に発注情報を送信する。

(3)DMA(Direct Market Access)
  専用回線・ソフトを用いて直接マーケットへ注文する。約定の受領も同回線
  ・ソフトで行う。

実務的には、銘柄特性や相場観に応じて(1)〜(3)を使い分けます。
(2)は、下記「■発注について」で触れているVWAP-TやOB注文時に使うことがほとんどで、指値でバシバシ注文する時は(1)か(3)でしょうか。

ネット証券を使っていらっしゃる方にとっては、まだ(1)や(2)といった手法を使っているのかと、違和感を覚える方もいらっしゃると思います。ただ、相互のシステムの相性の問題等でなかなか全面切り替えといかないのが現状です。あと、うちのボスのように「電話発注じゃないと働いている気がしない」という時代遅れ(?)の方もいらっしゃるので・・

発注ミスという観点からも全面的に(3)に切り替えたいのが本音です。トレーダーが好き勝手に売買して良いというわけでなく、電話で過大売買や逆売買してしまうと、もう大変なので。

■発注について
TVの金融特集なんかでは、ヘッジファンドのオフィスで巨大なサーバーを指して「こいつがうちのトレーダーさ」とか言ってる場面があります。

しかし、「現代」の運用会社のトレーディングの目的は、利鞘を抜くのではなく、マーケットインパクト(例えば、自分の買い注文で株価を上げてしまうこと)を回避しながら、大量の注文(株数・銘柄とも)をこなすことです。

よって、銘柄特性(流動性やベータ)・市況を考慮しながら、人間が発注する方が多いと思います。
マクロ指標や個別企業のサプライズ、当日のトレンドを見ながら対応するには、システムでは限界があります。

アルゴリズムトレーディング(平たく言えば自動発注システム)もあることにはあるのですが、インパクト回避という面からまだまだ改良の余地があるようです。上記のように利鞘を抜きにいくという機能では、人間はとてもじゃないけど勝てませんけども。

なお、「現代」はインパクト回避を持て囃すトレンドがありますが、個人的にはタワー投資顧問のようにもっと巨額の資金を活かして「勝ちに行く」日も来るように思います。(意図はなくとも相場操縦や価格形成といった疑いを掛けられるのが厄介な点です。)これは予感というよりも、希望に近いものですが。

上記を踏まえて上で、どのように発注するかということになります。
ここから先は個人差になりますが、以下のようになるケースが多いのではないでしょうか。

(1)VWAP−T
  一日の出来高加重平均株価をターゲットとして、証券会社にお任せする注文。
  (例えば、NTTドコモ1000株を買ってください)(2)OB(or better)
  特定のプライスから上で売る、下で買うというように制限をつけた上で証券
  会社にお任せする注文。
  この場合、アグレッシブ(売買できるプライスならば全部終わる)なのか時
  間分散か指定することが多いです。
  (例えば、NTTドコモを1000株を185000円より上で買ってください)

(3)出来高しばり
  「出来高の20%をターゲット」のように、当日の出来高が増えれば約定株数
  も増やすが、出来高が減れば約定株数も減らす注文。マーケットインパクト
  を減らせるが、後手後手に回るのでプライスは悪くなる。
  (出来高増えた後に買いにいくので、初動が遅れるため。)

(4)指値
  自分で「何株、何円で」と決めて、少しでも良いプライスで約定する。

上記(1)から(3)は証券会社にこちらの玉が把握されるので、煽られたりする可能性がありますが、一日何十銘柄も扱っていると、(4)を用いてαを取りに行く注文とそうでない注文を分けざるを得ないのが現状です。

他にも、バスケット、立会外取引やブロックトレード等、まだまだ運用会社ならでは発注方法があるのですが、長くなってしまったのでここまでとなります。

本当は証券会社とのやり取りや、失敗談も交えたかったのですが、形式的な話に終始してしまいました。

次回のレギュラータイムには、本内容が如何にトレーディングで使われるのか、SQ当日のバタバタぶり交え、リアルタイム形式でお伝えしようと思います。
何か疑問等ありましたら、ご連絡いただければ幸いです。

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)

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