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ブログテクノロジーは言語の壁を破るか?
〜ドリコム(東M 3793)内藤裕紀社長に聞く〜
東京IPO編集長 西堀敬


株式会社ドリコム 代表取締役社長 内藤 裕紀 氏

昨年の5月にブログを書き始めてからすでに10ヶ月近くが過ぎようとしている。

実は昨年の10月中旬からサイバーエージェントが運営するアメーバブログを利用してより多くの方々にもご覧いただけるようにした。最近は、アメーバブログの金融・マネー分野で15位前後をうろちょろするアクセス順位まで上昇し、トップ10まであと一息の域まで達してきたがこの先はとても熾烈な争いのようである。 
  西堀ブログ → http://ameblo.jp/nishibori/

さてブログとはなにか? ネット検索した辞書によると「ニュースや事件,趣味などに関し日記形式で自分の意見を書き込むインターネットのサイトやホーム-ページ」と書かれているが、筆者の場合は東京IPOの情報発信として利用している。

今回は、GMOインターネットや、オリコンDD、ゴルフダイジェストオンライン等にブログの仕組みを提供しているドリコムの内藤社長にお話をお伺いした。(同社は2月9日に東証マザーズ市場に上場)

まず、内藤社長の経歴からお伺いした。

高校生時代から日経新聞を読み、新商品の発表会に出向くなど発明に対して非常に強い興味を覚えた。東京の高校を卒業したが、発明家になるにはノーベル賞受賞者の多い京都大学に学ぶべきとの思いから同大学の経済学部に入学。

大学に入学するやすぐに事業を始める。最初はパソコンのセットアップなどを支援する事業を手掛け、何百枚とチラシを配るがまったく電話も鳴らずにあえなく失敗。学生対象のビジネスコンテストに入賞し100万円を得たこともあるが、実業に関しては2年間のアルバイトでいろんな商品・サービスの販売を手掛けて、ようやく商いがわかるようになったそうだ。

そして今日のブログシステムの事業に乗り出すのであるが、同社の経営の核となる人材の集め方が非常にユニークである。内藤社長にはビジネスのアイデアがあっても、それを実現するための技術がなかった。そこで考えたのが、京都にある大学の理工学部の学生にメールで呼びかけたのである。何人かを集めて面接するのではなく、ディスカッションを行い、良さそうな人物のみを再度集めてディスカッションを行うという方法で最後まで残ったのが現在の主要メンバーである。

さあ、次にドリコムの事業についての説明に駒を進めていこう。

当社はブログの仕組みを開発・販売している会社である。と書くと「なんだ、それだけ?」と思われる読者の方も多いだろう。

最近でこそ誰もが使い始めたブログであるが、当社がその仕組みの提供を始めた2003年当時はまだまだブログの存在は世の中に浸透していなかった。 当社は逸早く、ネット関連事業を営む企業にブログシステムを提供し、企業が個人ユーザー向けブログ利用者を増やして行くのをサポートするブログシステムプロバイダーの先駆けとなったのである。

ビジネスモデルとしては、一般個人ユーザーに利用してもらう「ドリコムブログシステム」、社員・社内向けに利用してもらう「ドリコムブログオフィス」、企業向けホームページ構築・管理運用システムの「ドリコムCMS」等のブログシステムを企業に提供している。

法人向けサービスの収益モデルはいずれも初期の導入費用プラス保守費用として年間で導入費用の25%程度をいただく仕組みになっている。 

ブログシステムの販売方法に関しては、いままでは直販でやってきたが今後は代理店を通して拡販展開に出て行くそうだ。

販売の実績については、インタビュー時点で「ドリコムブログシステム」が14社、「ドリコムブログオフィス」が100社、「ドリコムCMS」が410本とお伺いした。

さて、ここで当社がブログシステムの開発・販売だけに特化しているのであれば、たぶん上場時の初値はあれほど高く付かなかったはずであると筆者は考える。

当社が目指すビジネスモデルは、Web2.0時代を睨んだ戦略にある。

それは内藤社長が2月22日の自らのブログで紹介しているLongTail(少額広告)をとる仕組みを構築し普及させていくことに注力しているところに株式市場は当社の大きな将来性を見出していると言っても過言ではないだろう。 
  内藤社長ブログ → http://blog.drecom.jp/naito/

目論見書上では、検索エンジン事業として、検索エンジンとブログシステムを組合せた広告配信サービスを提供しているとの記載がある。筆者が毎日書いているアメーバブログでその仕組みは使われており、筆者のコンテンツにマッチする広告がいつも右上の広告スペースに表示されている。
西堀ブログ → http://ameblo.jp/nishibori/

このサービスの収益モデルは、アメーバブログを例にとると、同ブログの広告売上高に応じた技術ライセンス料収入を得ている。

筆者の私見ではあるが、ネット広告市場はなんだと言っても、内藤社長のブログの説明にあるように、

Yahoo!とGoogleがリスティング広告で幅を利かせている。この市場へ殴り込みを掛けたのがドリコムであると考えたい。

WEB 2.0時代には、ネットを使った個人の情報発信がどんどん増えてくる。とするならば、フリーで情報発信できるブログの仕組みが世の中を席巻し、そのサービスの提供を行う業者が潤うのは当然の成り行きである。

WEB2.0企業の代表であるGoogleはフリーのWEB検索サイトであるが、その広告売上の増加は想像を絶するものがある。 売上を見ると、2002年の4億3900万ドルが2005年には61億3850万ドルと14倍に成長している。一方のYahoo!(米国)の前期売上高は52億5600万ドル。 時価総額を比較すると、Googleが13.3兆円、Yahoo!(米国)が5.5兆円となっている。売上の額以上に時価総額に差がついている。

内藤社長は、ドリコムは「WEB 2.0時代の到来を前に3歩先を行くネット企業」を目指すという。

ドリコムは今期連結売上高7億円弱、経常利益2億円の予想を発表しているが、PER1,000倍の株価がついた背景には、同社が持つウェッブテクノロジーが、日本だけではなく、世界に通用する可能性を市場が見出したと言えるのではないだろうか。

筆者も日々ブログを書きながら、ドリコムが如何に成長を続けるのかを注目しつづけたい。

ドリコムホームページ http://www.drecom.co.jp/

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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