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新規公開株式情報の東京IPO
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ホリエモンに感謝すべきことは
  日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)

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東証がライブドア株式の上場廃止を決めた。新聞の報道は「事件の終息」。だが、誰も利益を得なかったこの「事件」は市場にとっては新たな始まりでしかない。

この「事件」では、金融庁と証券取引監視委員会が金融商品取引法の罰則強化と人員増強で権益を拡大した。彼らには益だが、検察庁に事件化を横取りされた点では権威失墜の損失も抱えた。この組織が保証した「合法」が、口先だけの、あてにならないものでしかない事が分かってしまったからだ。

監査法人は内部統制と監査強化のコスト負担が増した。コストと時間は事業会社へ転嫁されるので株式公開の門が一層厳しくなった。国会は偽メール問題で話題を提供したが、民主党が野合集団である事実をさらけ出して損を出し、自民党が攻撃に回って波に乗った。

東証は、システムを含む態勢の整備に迫られ、場違い筋出身の社長を戴いての上場仕切り直しへ後退した。システム増強の必要性を漸く認識した点では利益だったが、時代遅れの取引所であるとの評価を確立した点では損失を出した。

証券界と銀行界、運用事業者はライブドアと無関係である事を装う作業費用を負担し、会社によっては収益機会を減らした。株主は株価下落で損失を出した。

評価損失を実損として出すフジテレビが株価下落での最大損失者だろう。他方、これを引き取るUSEN社長が、これを利益にできるか否かはこれからの課題。つまり、事業可能性はリスクでもある。損益の程は不明だ。

ただ、それ以外の投資家は新たな酒の肴を手にし、投資先企業選別の検討点を増やすことができたし、今後、売買執行速度を早めるインフラを利用できることになった。これは利益だろう。

中心人物たるホリエモンは、資産の多くが元自社株で、社会的地位も元自社役員。それも解任されたので、個人的損失は彼が最大だろう。彼が裁判の席で職業を訊かれて「今の本職は被告」とトム・ウルフ流に言うだろうか。

大多数が損を被った「事件」で、数少ない利益を得たのはIPO投資家かも知れない。新規公開銘柄は一層選別される事になり、まともな銘柄をどのように選別すべきかの考え方が一つ増えたのだから。 

日系投資会社在籍 P.N.候鳥(わたりどり)

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