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編集長のジャストフィーリング 〜株式投資は負けぬが勝ちか?〜

東京IPO編集長 西堀敬

 

先週の金曜日の夜、自宅に戻ると23時を過ぎているにもかかわらず野球中継がオンエアされていた。

巨人VS横浜で独走中の巨人は勝ちが無くなった12回裏を同点で迎え、抑えの切り札である豊田をセットアッパーとして投入した。結果は5時間を越す試合で引き分けであった。

首位の巨人にとっては、大変意味ある引き分けであったはずだ。この試合で負けないことがどれだけ重要であるかを理解した人も多いだろう。

プロ野球は年間146試合(セリーグ)を行う。優勝は勝率で決まるが故に一敗が後々に響いてくるということだ。

極端な例えをすれば、各チームに1勝して5勝0敗141分(交流戦は考慮しない)でも勝率は10割となり優勝することができるゲームのルールとなっているのがプロ野球だ。

見方を変えて例を考えると、勝率は1位でも得失点差でマイナスということがあっても優勝できることになる。

株式投資関連の書籍がバカ売れしている。書店に入るとまず眼に飛び込むのは1〜2年で数百万円を何億円にしたという本だが、株式投資の基本的な心得について書かれているものが静かに売れている。

静かなベストセラーは、儲ける秘訣も重要だが、儲けたい金額以上に損をしないことのほうがもっと重要であると説いている。

株式投資はプロ野球のルールと違って、勝率が良くても負け試合で失点が多ければ意味がない。

個人投資家の方々が陥る罠は「小さく勝って、大きく負ける」パターンが多いようだ。

ネット証券会社が公表している信用取引の評価損益率がライブドアショックの後にマイナス20%近くまで悪化したことがあった。

昨年末からのIPO銘柄を中心とした新興市場銘柄のラリーで懐具合が良くなったとは言え、あまりにもリスクを大きく取り過ぎたのではなかろうか。

新興市場銘柄は一方通行になり易く、上昇のスピードも速いが、下落は値が付かずに下げていくので売るに売れない状況に陥ってしまって評価損を抱えた投資家が多いはずである。

株式投資においては、売らなければ損益は確定しない。評価損を抱えても、Buy&Holdは売らなければ負けない、つまり「負けぬが勝ち」につながる手法である。

ところが負けてはいないが、いつになったら勝てるかわからないような塩漬け状態では、他の投資機会との比較で考えれば負けているのも同然である。

プロ野球の世界では「負けぬが勝ち」であっても、株式投資とは延長線に持ち込まないで、9回裏に1点を献上して負けを確定させ、次なるゲームに賭けるという「はやく負けるが勝ち」ということもあることを肝に銘じておくべきであろう。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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