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編集長のジャストフィーリング 〜変化を恐れぬ企業作り〜

東京IPO編集長 西堀敬

 

先週のテレビ番組で外資系ファンドは日本企業再生に関する番組があった。

村上ファンドと同じように外資系ファンドが確かにメチャクチャ儲けた投資案件もあったはずである。

だから政治家の中には国民に誤解を与えるような発言をする人物も少なからずいる。

某代議士はタダ同然で外国人に日本企業を売ったと政府を非難しているが、小泉総理が発言しているとおり日本の企業も買おうと思えば買えたはずなのに買わなかったのだ。でも、正しくは買いたい気持ちと資金はあっても買えない事情があったのも確かではなかろうか。

外資系ファンドはハゲタカファンドとも呼ばれ、体力が弱っている企業を安く買って、短期的にリストラを行い高値で売り抜ける、との印象が強い。

事実売り抜けている例もあるが、ファンドの投資先は破綻企業、もしくは破綻に向かっていた企業である。 

それらの企業に過去に投資された資金は大幅に毀損しているか、またはまったく価値はなくなっていたはずである。 そして債権者(銀行)もさじを投げた状態の企業だったはずである。

そんな企業にお金だけではなくその他の経営資源(人材等)も投入していったのが外資系ファンドであった。

ではなぜ外資系ファンドは資金や人材をつぎ込んでいく決断が出来たのであろうか。

番組の中で外資系ファンドの経営者は「我々だけが日本の将来を信じた」と言っていた。

破綻企業の経営者や社員は自らを信じることができなくなっていたはずである。

企業価値を財務的側面から定量化して評価すれば「ゼロ」以下の「マイナス」であったかもしれないが、その企業の歴史的な存在がもっている定性的な価値は損なわれていないという判断が外資ファンドにはあったに違いない。

企業の本質的な価値が引き出されていない経営が行われているなら、引き出せる経営に変わればいいではないかとの判断がそこにはある。

企業は人なり、とよく言われるが、経営者を入れ替え、企業本来の持っている価値を創造していくプロセスへの社員のベクトル合わせが出来た会社だけが蘇るはずである。

従って、リストラとは片端からコストカットするのではなくて、事業、人、設備ともに新しい経営者が描いたベクトル線上に乗ることができないもののみ対象となると考えられる。

とは言え、描いたベクトルが必ずしも正しい方向であるとは限らない。外資系ファンドは自らの経営に間違いがあると気付くとすぐにまた新しい変化を起こす。ちなみに外資ファンドが5年前に買収した宮崎のシーガイアの経営陣は最近外国人から日本人にシフトが起こった。

経営には成功も失敗も付き物である。 外資ファンドの経営者が「忍耐」が必要だと言っていた。

それはいつまでも変わらぬ経営を続ける忍耐ではなく、成功するまで変化し続ける忍耐のことであろう。

人間は変化に弱い動物である。だが革新のあるところにのみ進化は存在すると考えるならば、とにかく変化することに適応できなければ滅びてしまうと考えるべきである。

変化を追い求めなければいけない企業は破綻企業だけではない。 IPOしたての企業もしかりである。

IPOしてくる企業は常に成功を求めて変化を続けてきたはずである。ところが上場してしまうと成長が止まる企業が多く見受けられる。 

逆説的だが変化を恐れぬ企業を作り上げることが継続的な価値創造への近道であるのではないだろうか。

 

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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