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コーヒーブレイク 〜外国人投資家へのインタビュー(2)〜
  株式会社フィナンテック IRコンサルタント 深井浩史(CFA協会認定証券アナリスト)
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今回はアトランティス・インベストメント・リサーチ社の代表取締役のエド・マーナー氏へのインタビューの続編を紹介します。ファンドの投資・運営スタイルやガバナンスについて伺っています。

質問:大型銘柄にもある程度投資しているようだが?

回答:大企業でも業績のサイクルにおけるボトムで買って、トップで売る、と
    いうことで利益を得る機会がある。現在注目しているのはタイヤメーカ
    ー。原料のゴムの値上がりによるコスト高懸念で株価が過度に下がって
    いるので、今は投資チャンスと見ている。

質問:マーナー氏自身は60歳代半ばですが、自分自身のリタイアは?

回答:考えていない。株式投資が大好きでライフワークと考えている。運用の
    世界に入った当時のボスに「投資は何歳になってもできる、引退はない
    のだよ。」と言われたことがずっと頭の中にある。

質問:企業のコーポレート・ガバナンスについて

回答:最近の事件もあって、ガバナンスに関するチェック項目を若干増やして
    いる。ただ基本的には経営者のインタビューと会社のオペレーションの
    現場を見ることで、ある程度はガバナンスの状況を判断できると考えて
    いる。
質問:今年は総会の議案が注目を浴びたが定款変更などへの対応は?

回答:議決権の行使はしていない。企業とのインタビュー時に意見を伝えるこ
    とはあるが、すべての議案内容をきちんと検討して議決権の行使をする
    だけの時間的な余裕がない。

質問:新興企業の資本政策について

回答:成長のためのファイナンスは否定しないが、理解できないファイナンス
    も多々見受けられる。新興企業中心に低コストという理由でMSCBによる
    ファイナンスが多かったが、低金利での銀行借入ができる環境では納得
    できないものが多い。

   親子上場は、子会社の独立性が確保されていればよい。例えば住友チタ
    ニウムは住友金属の子会社であるが、上場後、良い経営をしており株価
    のパフォーマンスも満足している。海外で行われているスピンオフがや
    り易くなり、もっと親会社の株主にメリットがあるような形で行われれ
    ば良いのだが。

   配当については、日本企業の配当性向はまだ低いと思う。ただ成長企業
    にまで早期の配当を求めはしない。B2Cの企業は株主優待を利用する選
    択もあるだろう。

質問:クローズドエンド型のファンドのメリットは?

回答:オープン型のファンドの場合、株価が上がりきったところでさらに多く
    の資金流入があり、割高な株を買わざるを得ない。反対に下がりきって
    そろそろ買いのチャンスというところでさらに資金流出、売りたくない
    株を売って換金という悪い循環になりがちである。クローズド型の場合、
    自らの意思に関係ないお金の出入りを気にしなくていい。一定規模の投
    資家の資金を元に、ポートフォリオ内のオーバーバリューの株を売って
    資金を作り、アンダーバリューの株を買うことを繰り返す。さらに借り
    入れもある程度利用して投資を拡大する(総資産に対して10%程度の負
    債比率)。このように資金量をコントロールできる点で非常に運用がや
    り易いと感じている。一方で通常の上場企業にとっての株主のように、
    ファンドにとっての株主がいるので、彼等へのIR活動は重視している。
 
取材を終えて、マーナーさんや他のメンバーの方も、日本の中小型・新興企業の成長力に強く期待し、こうした企業を発掘し投資することをとても楽しんでいると感じました。またクローズドエンド型のファンドの長所を理解しました。個人で投資する場合にも、自分(家計)の資金計画や信用取引の利用方針を考え、意に反した売買は避けたいものです。

 

コーヒーブレークのブログ書いています。http://ameblo.jp/mplstwins/

株式会社フィナンテック IRコンサルタント 深井浩史
(CFA協会認定証券アナリスト)

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