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新規公開株式情報の東京IPO
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コーヒーブレイク 〜ディー・ブレイン証券のグリーンシート登録〜
  株式会社フィナンテック IRコンサルタント 深井浩史(CFA協会認定証券アナリスト)
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ディー・ブレイン証券(以下、DB)がグリーンシート市場(以下、GS)に登録されました。現在、新株式発行に対する募集期間中です。9月15日には東京で会社説明会が開催され、100人ほどの投資家を前に、出縄社長がプレゼンテーションを行いました。

発行済株式1,570,1470株に対して今回は150,000株の新株発行で、1株2,200円の募集価格となっています。この価格で時価総額は37億8千万円となります。現在、上場している証券会社と比較すると、最小が大洸ホールディングスで時価総額46億円、次いで丸八証券が時価総額66億円です。

GSには既にジェット証券が登録しており、こちらは現在、58億円程度です。DBは今期の予想業績は公表していませんので、前期のEPSベースではPER44.4倍、PBRで4.8倍となります(9/15終値での上場証券会社の平均はそれぞれ予想ベースで25.7倍と2.0倍)。調達額は最大3億円の予定でGSでは非常に大きな規模です。ただし5千万円以上の応募があれば、3億円に満たない場合でも実施されます。

 同社は元々、新興市場へのIPOを準備していたようです。GSは今年度1Qでは新規登録が1社しかなく、一方で登録をやめた企業がいくつかあり、やや伸び悩みの感があります。このGSを活性化させるため、一旦、GSを経由することにしたという事情もありそうです。

収益は18年3月期に最終黒字に転換しており、累損の解消も視野に入ってきているので、いずれ新興市場への上場も期待できそうです。上場が実現した場合には、公募に当選することは難しいだけに、今回の募集に応じるのも1つの投資機会でしょう。

同社については、「ディー・ブレインといえばグリーンシート」、「グリーンシートといえばディー・ブレイン」、というイメージがあります。実際、グリーンシートが現在の状況まで拡大してきたのは、出縄社長個人の熱い思いと強い意志、それを支えてきたDB証券の人々の努力であると言えます。

そのDB証券ですが、最近は福岡Qボードや札幌アンビシャスの両新興市場への上場主幹事の実績を伸ばしています。(計10社。アンビシャス4社、Qボード5社、ヘラクレス1社。今年5社、昨年3社、1昨年まで2社。)。その一方で、前述のように、看板のGSの登録企業数がやや伸び悩んでいるような感じがあります。

 そこで説明会においても、DB証券の今後の経営戦略についての質問がかなり出ていました。「GSの拡大よりは新興市場への上場主幹事業務に注力していくのか?」という質問に対しては、DBの経営の目標は、企業が資本市場を活用して成長することを継続的に支援していくことである。その第1歩としてGSの利用から始まり、新興市場・東証上場までを継続的に支援していく。GSを経由して上場する企業をどんどん増やしていきたいと考える。上場が企業の成長を促進する面が強いと考えており、その時点の会社の水準に合わせてGSや新興市場を選択して、できるだけ早く株式を公開することが望ましい(GS経由で新興市場へ上場した企業は5社、DBの主幹事は2社)。

「IPOの主幹事案件が増えているので、DBに口座に持っている顧客に公募株の販売をしてはどうか?」(現在、DBはGS登録株の扱いはしていますが、新興市場の主幹事案件の販売は、他証券(主にネット証券)へ委託しています)。これに対しては、株式市場の売買仲介はシステム投資負担が大きく、今後とも手がけない。DBは主幹事業務、公開前・公開後の経営サポートに特化していく。業界首位の野村證券の引受部隊は80人程度である。一方、社員40人のDBであるが、引受業務に従事する社員は30人いる。これに加えて当社の業務をサポートする多数の公認会計士のネットワークがある。この体制で引受主幹事NO1を目指していく。大手証券は多数の案件を抱えており、その中で引受手数料が大きく、顧客向けの販売の玉としても有力な大型銘柄優先になる。一方、販売機能を持たず、企業サイドに立って引受業務に特化するDBは、この分野では十分に戦っていける。DBはメーカーとして製品(上場する企業)の品質管理(上場審査とその前後の支援)に特化し、販売は流通専門業者(ネット証券・中堅〜小型証券)に委託していく。これは家電販売におけるメーカーと大型量販店の関係にも近いと考える。販売委託先の証券の中には、手間の掛かる引受業務をやめて販売に特化を考えている会社もあり、DBとのより密接な協業も考えられるだろう。IPOをスポーツのイベントに例えるなら、マザーズとJASDAQへのIPOはオリンピックの金メダル、ヘラクレスは銀メダル、セントレックスは銅メダル、Qボードとアンビシャスが入賞、GSは国体優勝。大手証券は金メダルが狙える力が着いたら上場しましょうとなるが、当社のスタンスはまずは入賞の力があれば出場して、4年後、8年後のメダルを目指そう!いうスタンスである。

説明を聞いて、独特の経営戦略は感じられました。上場審査については主幹事証券の審査姿勢を含めて厳しい目が向けられるようになっています。上場で終りでなく、上場後も継続的に、ディスクロージャーを含めた経営支援を行い品質管理に注力するという姿勢は評価できると思います。特にGSや地方取引所の新興市場に出る企業については、そうしたサポートが投資家に対する担保になると思います。

 

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株式会社フィナンテック IRコンサルタント 深井浩史
(CFA協会認定証券アナリスト)

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