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株式会社ビットアイル(大証ヘラクレス・3811)
寺田航平社長インタビュー
『あなたの携帯電話の接続先は?』

日常の生活に欠かせない文明の利器を三種の神器と言い、1950年代後半は白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫の3種類の家電のことを指した。 その三種の神器が形を変えて、最近の若者の間では、パソコン(Personal Computer)、ページャー(Pager、いわゆるポケットベルのことだが携帯電話を指す)、プレイステーション(Play Station、ソニー・コンピュータエンタテインメント社製の家庭用テレビゲーム機)の3種類が3Pと呼ばれる三種の神器となっている。

この若者達が愛用する三種の神器はいずれもインターネットへの接続が可能となっており、同じ空間を共有しない人々を繋いで情報を共有したり、メールをしたり、ゲームを楽しんだりしているわけだ。 ではユーザーが本当の価値を感じているコンテンツそのものは物理的にどこに存在しているのだろうか。ほとんどのサービス提供会社は自社にコンテンツサーバーなど置いていないのである。

今回はユーザーの情報端末が接続されるコンテンツ満載のサーバーを預かり、24時間、365日間止まることなく稼動することを実現し、情報端末のユーザーがストレスを感じないサーバー環境を提供している企業、ビットアイルの寺田社長にお話をお伺いした。

当社創業の経緯は?
2000年にiDC(インターネットデータセンター)事業の立上げが盛んになった時期があった。当時在籍していた寺田倉庫に外資系IT企業を中心に、“倉庫をiDCとして利用する事業の提案”が相次ぎ、10社程度から詳細の提案を受けた。個人的にiDC事業は非常に面白く感じ、その事業の成長性を十分に感じたが、大規模な投資を行いそのコストをユーザーに負担させることが前提となっている各社のプランに納得ができなかった。そして、最終的には自ら起業し、中小規模の企業にとっても負担できるコストで高品質なサービスを実現できる事業を目指すことにした。

当社の事業内容は?
当社の事業コンセプトは顧客企業のITニーズを一手に引き受ける″総合ITアウトソーシング事業″。具体的には、@iDCサービス、Aマネージドサービス、Bソリューションサービス、の3つの事業から成り立っている。

「iDCサービス」は企業のサーバーを預かる場所とネットワーク接続を提供するインフラである。「マネージドサービス」は預かったサーバーの運用やセキュリティサービス、サーバーそのもののレンタルなどを行う。「ソリューションサービス」はITニーズの実現のため、機器や開発を組み合わせたインテグレーション等を行っている。

社会インフラとしてのiDC事業の意義は?
当社の顧客は、いわゆるBtoC企業で携帯電話やインターネットを使ってデジタルコンテンツを提供する事業者や電子商取引を行う事業者などが多い。昨今のブロードバンド化で映像コンテンツを高速インターネット環境で見られる機会が増えたり、またゲーム端末などがネットワークにつながるようになったりと、ユーザーは環境の変化やメリットを感じている。当社はユーザーにブロードバンドインフラを使ったサービスを提供する事業者向けに、事業に必要なインフラを提供している。このことは消費者にはなかなか見えにくい部分なのですが、昨今のサービスの多様化、デバイスの進化が急速に進行する中、″社会的インフラ″としてのiDC事業に非常に大きな責任を感じながら事業を推進している。今後も、ユーザーが日常の生活で享受しているブロードバンド化に伴う多様なサービスが途切れることなく提供できるように、当社としてもより質の高いサービスを提供していきたい。

当社の強みは?
大きく2つの切り口で考えている。
  1. コスト競争力 
  2. サービス開発と事業拡張能力

前者に関しては、事業を開始した当初は倉庫という極めてiDC事業との親和性が高いインフラを独自に改良し、第一、第二センターの展開という形で、ノウハウを蓄積してきた。競合がオフィス等を改築してデータセンター化するのに比べ、圧倒的なコスト競争力を獲得できた。また、第三センターは建物から独自設計しており、こちらは第一、第二センターで蓄積したノウハウを総動員し、更にiDCに相応しい建物を追及した理想の設備といえる。

後者に関しては、顧客ニーズにひたむきに耳を傾け、より良いサービス開発を行ってきた結果、売上全体に占める″非iDC″売上(マネージドサービスとソリューションサービス)が30%を超えるところまできた。この部分は競合他社との差別化になり、今後も″非iDC″売上比率を50%程度にまで高めるべく、新たなサービスを積極的に開発・リリースしていく予定。また、インフラの拡張能力は、iDCの需要に応えるべく、自社でのインフラ拡張を行っていきたい。

業績の推移と計画

決算期
売上
(百万円)
経常利益
(百万円)
2003年7月期
741
△169
2004年7月期
1,713
1
2005年7月期
2,368
101
2006年7月期
3,530
510
2007年7月期
5,249
712(計画)
2008年7月期
7,410
1,390(中期計画)
2009年7月期
10,270
1,900(中期計画)

 

今後の展望
当社が考える成長戦略の基本的枠組みは次の二つからなる。

  1. 提供ラック数の増大
  2. ラック当たり売上の増加

前者に関しては、当社が第三センターまでに蓄積してきた設計、構築、運営ノウハウを投入して、新たなデータセンターを開設し、提供ラック数を増大させ、需要に応えていくことで実現できるとみている。

後者はマネージド、ソリューションサービスを中心に、新たなサービスを開発し、顧客に提供することで、当社としてラック当たりの売上を増加させることを目指していく。

これらに加え、当社が抱える350社以上の顧客企業が持つサービスを相互にマッチングさせ、新たな事業機会を創出することや、当社の事業とのシナジーが見込まれる企業への事業投資など、より良いサービスを提供するために更なる進化を遂げて行きたい。

■西堀編集長の視点

インターネットデータセンター(iDC)と言えば、通信事業者(NTT、KDDI等)の副業的な位置付けであったが、ここ数年でiDCを本業とするベンチャー企業の台頭が目立つようになってきた。通信事業者は回線を売ることがビジネスだが、iDCはサーバーをお預かりしてユーザーが快適にサーバーにアクセスできる環境を提供することがその本質的な価値創造となってきている。

その価値創造を行うのに必要な要素とは、建物(オフィス)、電力、回線、ネットワークやセキュリティの技術などが挙げられるが、その中でベンチャー企業が一番苦労するのは物理的な建物(オフィス)の確保である。顧客がアクセスしやすいロケーションにあることが前提とすれば、首都圏だと都心に存在することが必須条件となる。デフレが収束した今日において都心のオフィスは高騰しており、ベンチャー企業にとってその確保は非常に厳しいと言えよう。

そのような環境の中で、ビットアイルにとって寺田社長が現職の前に営んでいた寺田倉庫の一部を利用しながら事業を立上げ拡張していったことはiDC本業のベンチャー企業にとって大きな優位性を持っていたといえる。

調査機関は日本のiDC市場は年率15%で成長するとしているが、当社が発表した中期事業計画では売上が年率で40%成長すると見込んでいる。非常に強気にも見える売上成長であるが、寺田社長の経歴からもわかるように技術力だけに偏らない事業の強みがビットアイルの成長を持続させると考えられる。

当社が建物から独自設計した第3データセンターも来期中には稼働率が100%になるようだ。更なる飛躍のためには独自のiDC設備の構築を続けるのか、上場で得た財務メリットを生かしてM&Aで成長するのか、市場の潜在成長率を凌駕するようなビットアイルの寺田社長の次なる一手に期待したい。

 企業DATA    株式会社ビットアイル
□証券コード 3811・大証ヘラクレス株価情報へ
□ホームページ http://www.bit-isle.jp/
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