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マガシーク株式会社(東証マザーズ・3060)
井上直也社長インタビュー
『 アパレルファッション業界のデル(DELL)モデルを作る 』

自宅に帰ると通販会社のカタログがソファーに置かれていることがよくある。家内は現物を手にとって見なくても視覚で気に入れば衣服でも買い物ができるらしい。私は日曜雑貨ならまだしも、衣類となると袖に手を通してみないと買う気になれないが読者の皆さんはどうだろうか。

たぶん女性と男性では感性が違って、服やアクセサリーの類は欲しいと思った瞬間にすぐに手に入れたいという思いが先に立つのではないだろうか。

そのような女性の願望を実現する仕組みを構築した会社がある。それは、有名な女性向けファッション誌に載った衣服などをインターネットで販売するビジネスを展開するマガシーク株式会社である。

同社は2003年4月の設立からわずか3年半の2006年11月28日に東証マザーズに上場してきた。今回はこの短期間の成長物語を井上社長に伺った。

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事業内容

当社は、20代から30代前半の女性を対象に、女性向ファション誌に掲載された衣服や靴などを当社が運営するインターネットサイトのマガシーク「 http://www.magaseek.com/ 」を通じて販売する事業を行っている。

マガシークの社名は、雑誌(magazine)で探す(seek)→ マガジン+シークに由来する。

さて、ネット販売事業と一口に言っても無数に同業者が存在しているが、当社の最大の特徴は、有力な大手女性向けファッション雑誌と提携した独自のビジネスモデルを構築している点である。

雑誌が販売される前に掲載される商品情報を入手し、雑誌発売と同時に当社のサイト上で販売を始めることが大きなメリットとなっている。

提携している雑誌は、小学館のCanCam、姉Can、Oggi、集英社のnon-no、MORE、LEE、SPUR、マキア、扶桑社のLUCi、主婦の友社のRay、mina、Scawaii講談社のwith、光文社のVERYの著名な雑誌14誌となっている。

一方の仕入体制のほうは、国内有力アパレルメーカーから350ブランド(06年12月末)の比較的値下げ圧力の少ない商品を取り扱っている。

当社ではマガシーク「 http://www.magaseek.com/ 」に加えて、アウトレットピーク「 http://www.outletpeak.com/ 」というアウトレット商品専用のサイトを運営している。

在庫を早く一掃したいメーカーの要望とプライスオフの商品をネットで買いたいという顧客の要望を受けて2004年2月にサービスを開始した。

この二つのサイトでの共通会員数は2006年12月末で49万4千人となっている。当社がアクティブユーザーと呼んでいる1年に1回以上購入履歴のある会員は10万4千人で登録会員の21.1%となっている。このアクティブユーザー比率は毎年徐々に高まっており、会員数の増加に加えて売上増加の大きな要因となっている。

設立経緯

井上社長は大学を卒業後伊藤忠商事に入社。もともとファッション関係の仕事に興味があったこともありアパレル関連部門を希望した。

しかし、配属は特需部で、ファッションとは程遠い役所の制服を扱う部門だった。顧客はJR、郵便局、防衛庁、都バス、地下鉄などがメインで、ロットは大きいが非常に地味なビジネスであった。

30歳で伊藤忠の香港子会社に勤務することになった。日本の有名アパレル会社から中国での製造を請負う仕事に携わったがクリエイティブな側面がなく、ファッションに触れることに強い憧れが増長したまま2年後に帰国し再びユニフォームの部隊に戻ることになった。

1990年代後半のネットバブルの時期で、部内でネットを使った新しいビジネスを検討するタスクフォースが立ち上がった。かねてよりレディースファッションに関わる仕事がしたいと考えていたので、そこで当社のビジネスの原型となるアイデアを提案することになった。

事業のアイデアは、日頃の家族の行動からヒントを得た。女性向けファッション誌を購読する女性は、雑誌の中で気に入ったものがあると直接ショップに問い合わせて、商品の有無を確認し、店に足を運んで購入していることを知った。ところが、いざショップに電話をするとすでに売り切れてなかったということが多いという事実も知りえた。

そこで雑誌に出たものをすべてデータベースにして、それをインタ−ネットで販売する仕組みはどうかと考え、企画書にまとめて提案することになった。

伊藤忠の上司の伝手で、イトキン、ワールド、フランドル、三陽商会、サンエーインターンショナル等のトップに相談に行ったら、伊藤忠がやるならやってもいいとの返事をもらいデータベース化が始まった。

2000年8月に小学館の「CanCam」の秋物ファッション号に掲載された商品を販売すべくNTTドコモの公式サイトとPCサイトを同時に立上げた。特にNTTドコモのファッション公式サイトとしては第1号となった。

そして雑誌のコンテンツに絡めてネットで販売するビジネスが軌道に乗ることを確認して2003年4月に伊藤忠商事と雑誌社の出資により当社を設立する運びとなった。

今後の展開について

市場規模は6兆円と言われる婦人服市場の10%にあたる6,000億円がECで販売可能と見ている。創業以来売上は年率5割アップのペースで伸びているが、当社はEC販売市場の1割にあたる500〜600億円まで成長していきたいと考えている。

販売する商品について当社は自社ブランドを作ることは考えていない。流行り廃りが激しいアパレルの世界でブランドを持つことはチャンスが広がるのではなくリスクが高まると見ている。むしろブランドと雑誌のマトリクスで売上を成長させることを考えていきたい。そして婦人服のネット流通のNo.1の地位を極めていきたい。

次なる展開としては、紳士向けのファッション雑誌との提携によるメンズを扱うサイトの立上げや、雑誌とネットを融合した新しいネット広告モデルの構築も検討していきたい。

井上社長の個人的な目標としては、5年後の年商200億円を念頭に事業を推進していきたいそうだ。

株主還元について
配当の実施時期は未定。 無配でいいとは思っていないので、いずれは検討していきたい。

当社の扱う商品を優待で買えるという制度も考えたが、メリットは女性だけになり、縁のない人もいるので株主還元は配当がベストと考えている。

業績の推移(百万円)
決算期
売上高
経常利益
当期利益
純資産
2004/3
1,169
100
54
104
2005/3
1,859
155
89
275
2006/3
3,397
269
162
707
2007/3(予想)
5,800
370
215
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■西堀編集長の視点

当社の顧客層は、いわゆるF1層の世代をターゲットにしたビジネスであるが、ユーザーの属性は仕事を持っている人や子供がいてショッピングに出かけられない主婦層が多いようだ。

過去に買ったことのあるブランドでお気に入りとなればその時々のデザインを選択するだけで十分と考える女性が多くなってきたことが当社のビジネスモデルを支えている要因であろう。

その背景には少子高齢化もあって、女性の社会進出などで仕事をもつ女性が増えて、買い物に行く時間すら取れなくて時間をうまく使いたいという女性のニーズを当社のサービスは満たしていると言えよう。

当社への投資を考える上での収益構造であるが、商品の粗利率は40%、物流コストを入れた売上総利益率は30%、そして販売管理費を差し引いた経常利益率は7〜8%で推移している。イーコマースの特性であるが、スケールメリットが出てくれば販売管理費の比率が下がり営業利益率が上がってくるはずである。

井上社長が当面の目標とする年商200億円の水準まで達したときには経常利益率は間違いなく二桁に乗ってくるはずである。

登録会員数はいまだに50万人未満である。働く女性がどんどん増えることを考えれば、会員数の増加とアクティブユーザーの増加は自然の成り行きではなかろうか。


 企業DATA    マガシーク株式会社
□証券コード 3060・マザ株価情報へ
□ホームページ http://www.magaseek.co.jp/
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