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イー・キャッシュ株式会社
(東証マザーズ・3840)
玉木社長インタビュー
『どこまで買い物ができるか、あなたもチャレンジ!!』

社会人になって間もない頃、会社の寮で生活をしていたことがある。あるとき給料日直前で財布の中が寂しいときに、寮に住んでいた仲間達と週末の晩御飯は自炊をしようということになった。食材と調味料、そしてお酒を調達するのに1枚のクレジットカードでどこまで買い物ができるか? そんな遊びまがいのことをやっていたのは今から20年前のことである。昔の話で記憶が曖昧なところがあるが、買いたいものがすべて買えなかった記憶だけが残っている。

20年が経ってクレジットカードが進化して1枚の非接触ICカードが多様なサービスを提供できるようになってきた。

テレビのCMで「おさいふケータイ」ならいろんな場所で買い物の決済ができると宣伝がなされている。交通機関の乗車券・定期券、コンビニや駅ビルでの買い物、電子社員証・学生証としての入退出の管理、映画やコンサートの電子チケット、eコマース・eトレードの決済等その機能は数えるときりがないほどである。

この便利な非接触ICカードであるが、1枚のカードが多機能になることによってセキュリティの高度化、データ容量の増加、形状の多様化が必要とされ、それが非接触で認識される環境の構築はそう簡単なものではなくなってきている。

今回は3月12日に東証マザーズ市場に上場した非接触ICカードの認識技術を使ったソフトウェアを開発しているイー・キャッシュ株式会社の玉木社長にお話をお伺いした。

事業内容

当社は、RFID分野に特化したソフトウェア開発会社。

RFIDとは、Radio Frequency IDentificationの略で、SuicaやEdyなどの電子マネーで採用されている非接触ICを使った認証技術を指す。RFIDのマーケットは、大きく分けて、ICカードとICタグの分野に分かれる。富士キメラ総研の調べによると、2006年に、ICカードは数量ベースで前年の約3割増の1億4900万枚、無線タグは、前年比で13.4%増の4589万枚流通している。今後もこの分野は拡大することが予想されており、2010年には、ICカードが2億5000万枚、ICタグにいたっては、その倍のおよそ5億枚になると試算されている。

RFIDの世界を紐解いてみよう。例えばSuicaを例にとって見ると、RFIDシステムは、ソニーのフェリカの技術が採用されている。ソニーから、白カードと呼ばれるまっさらなICカードが供給される。この白カードの加工は主に印刷会社によって行われている。具体的には、「Suica」の仕様にデータがフォーマットされ、表面にデザインがプリントされて、一枚のSuicaカードが出来上がる。次に改札機側だが、こちらには、ICカードを読み取る装置とそれを制御するコントローラーが入っている。この装置が読み込んだ情報は、コントローラーの制御によって、ネットワーク経由で、基幹システムに送られる。ここまでが、RFIDシステムの一連の流れである。

当社の技術が発揮されるのは、RFIDシステム内の情報をやり取りするソフトウェアの部分。ICカードは、現在様々な種類が乱立しているが、それぞれのICカード用のリーダ及びシステムが必要で、導入する側からすると非常に煩雑である。イー・キャッシュは、複数のICカードシステムを統合して、制御する仕組みを得意としている。

今後流通の世界で広まることが予想されているICタグの世界においても、既存のJANコードを中心としたインフラと新しいRFIDシステムを共存させるためのソフトウェアをOEMで供給している。

当社は、印刷会社のトッパンフォームズと事業提携を結んでおり、同社向けの売上が6割を占める。また、マイクロソフトとも協力関係にあり、POSレジ向け組み込みWindowsなどで、当社のソフトウェアが採用されている。

収益構造について、現在は、一括ライセンス販売を行っているが、今後は、台数に応じたフィーが生じるライセンス形態へ移行することになっている。


設立経緯

玉木社長は、獣医学部出身というユニークな経歴の持ち主。その後、医学部大学院でコンピューター断層撮影装置など医療機器のソフト研究に携わった後に、まったく畑違いのディスカウントストアに入社。画像技術では、膨大なデータをいかに効率よく抽出できるかがテーマとなるが、当時、「おむつを買った人がビールを買う傾向がある」と言ったようなデータマイニングが話題になっていて、ソフトウェア開発で養ったデータ抽出の技術を実ビジネスで試してみたいという思いからだったという。

最初の会社で、早々に管理職となり、開発とは縁遠い仕事となっていた。培ってきた技術を生かしたいという思いから、前の会社を退社し、2001年にイー・キャッシュへ入社。もともと当社は、オンライン電子決済サービス事業を中心とする会社だったが、玉木氏が入社し、当時、黎明期であったRFID事業をスタート。RFIDに関する受託開発を柱として、順調に業績を伸ばし、売上の大部分を占める事業に成長。創業社長の藤田氏から、引き継ぐ形で、玉木氏が社長に就任した。

今後について
2007年3月期の売上は前期比81%増、経常利益は31%増を見込んでいる。今後もマーケットが拡大するのに合わせて、当社も成長できると考えている。玉木社長は2010年までには、会社としてのしっかりとした土台作りをし、その頃までに、配当性向25〜30%を目指したいと話す。

業績(連結)の推移(百万円)
決算期
売上高
経常利益
当期利益
純資産
2004/3
90
4
4
12
2005/3
221
39
33
46
2006/3
436
105
69
216
2007/3(予想)
789
138
75
-

(注2)2007年3月期の数字は業績予想


■西堀編集長の視点

首都圏の地下鉄・バス共通IC乗車券「PASMO(パスモ)」の売れ行きが絶好調だ。サービス開始から3週間の4月9日で300万枚を突破したらしい。3月18日のサービス開始時に400万枚を用意したが、あまりの売れ行きに300万枚の追加発注したが納期が8月にずれ込むらしく定期券を除くカードの発行を当分の間中止することになったそうだ。

すでにJRがSuica(スイカ)を導入して久しいが、東京メトロを初めとする首都圏の電車、バスでも利用が可能になっただけで信じられないようなスピードで普及が進んでいる。

冒頭にも記述したようにその機能は多角化してきており、この1枚が持つ価値はカードホルダーにとってかなり高くなるはずに違いない。そうすれば利用できる場所や方法も多様化されるのは時間の問題と考えてもいいだろう。

一方、セキュリティ面ではカードに埋め込まれている情報を守秘したうえで瞬時に情報を読み取る仕組みは今までのクレジットカードを読み取る仕組みよりもより高度なものであり誰もが早々簡単に構築できるとは考えにくい。

その意味において、現在この仕組みを提供しているハードウェアメーカーに加えてソフトウェアとSIを提供する当社にとっても追い風の環境であることは間違いないだろう。

但し、投資家にとって重要なことは、当社のビジネスモデルであるソフトウェア導入時のライセンス一括販売から枚数や使用頻度で課金を行う従量制にスムーズに転換できるかどうかをよく見定めることだろう。ビジネスがスケーラブルになるかどうかがポイントになりそうだ。

玉木社長は、2010年までにひとつの商品または分野で世界トップシェアを目指し、それが実現できたときには最低でも年商100億円は出来ているはずと意気込む。

世界に130人、日本では唯一ただ1人しか存在しないマイクロソフト社のMicrosoft Regional Director(http://www.microsoft.com./japan/msdn/rd/)に任命されている玉木社長の実行力に期待したい。


 企業DATA    イー・キャッシュ株式会社
□証券コード 3840・マザ株価情報へ
□ホームページ http://www.ecash.co.jp/
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