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編集長のジャストフィーリング 〜経営者の投資家との心理戦が始まる〜

東京IPO編集長 西堀敬

ここのところ毎日のように3月決算企業の業績修正と決算そのものが発表されている。

そのような中にあって、今日は企業サイドの立場で少し物事を考えたい。

昨日のブログでも書いたように、投資家にとっては決算内容そのものが重要だが終わった事よりも将来の予想のほうがもっと大切である。

日経新聞等の株価欄では予想利益ベースのPERが表示されており、前期利益ベースのPERなど誰も見ていないというのが事実である。

ならば決算短信の1枚目の上段に表示される決算数値よりも下段に表示される業績予想と予想ベースの1株当り利益に投資家が目を奪われるのは当然の成り行きであろう。

ここ数年間の動向を見ると、企業は業績予想を非常に保守的に出す傾向にあるようだ。昨年5月末に日経新聞社が集計した東証上場企業の増益率は確か2.5%程度であった。それが1年過ぎて結果は二桁増益に迫る可能性も出てきているのである。

昨年の4月末に日経平均株価はPER25倍の水準まで買い上げられた。この背景には利益の二桁成長への期待の高まりがあったはずである。

利益が10%成長するならば決算発表前のPER25倍は決算が出揃えば22.7倍まで低下するはずである。

欧米の株式市場の平均PERと比べてもPER22.7倍は高いかもしれないが、利益の二桁成長という期待感があったからこそPER25倍という株価が付いたのである。

逆に市場が利益成長を織り込まないとするならば、株価は上昇しないということである。

ここのところ多発している業績の下方修正リスクを、株価が織り込みにいっているのが新興株式市場の動きと見ていい。そのことが如実に現れているのが東証マザーズ指数、大証ヘラクレス指数で本日再び年初来安値を更新してしまった。

決算数値は第三者である監査法人がチェックするために公表数値を意図的に動かすことはできないが、業績予想は経営者が任意に決めることができる数値である。

公表した業績予想を将来において達成できなければ株価の暴落は必至、だが、保守的に業績予想を出しても株価は反応薄もしくは売られるとなれば経営者はどのような選択をするべきなのだろうか。

業績予想のズルイ出し方としては、ネットビジネス事業者等のように幅を持たせる方法もある。だが、それでは投資家は増益率を計算することができない。
つまり増益率が測れないようでは株価に訴求することができないということである。

今日の私のコラムには結論がなくて読んでおられる方はフラストレーションが溜まるだろうが、ひとつだけヒントを提供したい。

どの程度の増益ならどのように市場は反応するのか?

それは今年に入って決算発表した12月、1月、2月決算企業の決算短信をみて、発表後の株価の動向を考察することである。

一時的な株価を優先するか、経営者として有言実行を優先するか。

3月決算企業の決算発表に向けた経営者の投資家との心理戦が始まった。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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