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編集長のジャストフィーリング 〜4月IPO市場総括と5月の展望〜

東京IPO編集長 西堀敬

4月のIPOは13社。上場市場別内訳で見ると、JASDAQ7社、東証マザーズ3社、大証ヘラクレス、東証1部、東証2部がそれぞれ1社ずつであった。件数ベースでは昨年の20社に比べると大幅減となった。また資金調達額で見ると、4月は392億円となっているが、八千代銀行1社で総調達額の40%にあたる157億円の調達を行っており、その他の12社の平均調達額は約20億円程度にとどまっている。

初値は、13社の平均騰落率が36.63%と今年の平均値である39.42%よりも低い水準となった。例年4月は翌月の5月にIPOの件数が極端に少なくなるため、需給が良く初値が高騰する傾向にある。過去を振り返ると2005年4月は17社で218%、2006年4月は20社で196%と1年の中で初値が高騰する月であった。今年の初値騰落率は例年に比べると相当低い状況にあり、新興株式市場で流通する資金量が大幅に減ってきていることを物語っていると言っていいだろう。

そんな中にあって、4月IPO銘柄のセカンダリーマーケットを見ると、2極化の動きが見られる。13社を初値騰落率で分けると、初値が公募価格を割り込んだ2銘柄、ほぼ公募価格水準となった5銘柄、騰落率が50%超となった6銘柄に分けることができる。初値が公募価格を割り込んだ2銘柄は月末の終値においても公募価格割れ状態で浮上の兆しは見えない。一方、初値が公募価格比で50%超となった6銘柄は上場後の株価も比較的堅調である。この6銘柄に共通しているのは、IT関連銘柄であるということだ。環境の悪い中においても個人投資家が志向する銘柄は成長性が期待できるIT関連だと言えるだろう。

そして、4月のIPO銘柄で注目は4月26日に上場したアジア・メディアである。同社は中国国内におけるテレビ番組情報ガイドチャンネルの運営及びその他のテレビ広告代理事業を営んでいる。初値騰落率こそ5%と低い水準であったが、その後買われて上昇を続けている。過去の外国株式のパフォーマンスを見ると、個人投資家が口座を開設しているネット証券での売買が出来ないことから、上場日は公募株を取得した個人投資家の売りが殺到して値を崩すケースが多かった。ところがアジア・メディアに関しては、ネット証券の対応が改善されたことに加えて、今人気の中国銘柄ということで個人投資家の買いを集めたようである。

さて、5月のIPOであるが、昨年、一昨年ともに5月のIPOの件数は3社であったが、今年も3社となりそうだ。IPOの件数が少なく初値騰落率は高騰しやすい。ここ数年を振り返ると初値騰落率が年間で一番高くなる季節である。それだけに公募株を幸運にも取得できた投資家は初値売りで臨むべきであり、間違っても初値騰落率が200%を超すようなIPO株の初値買いは控えるべきである。

最後に新興株式市場の動向であるが、5月のゴールデンウィーク明けから3月決算企業の決算発表が本格化してくる。昨年IPOした188社のうち、新興市場に上場した企業の3割が業績の下方修正を発表し、新興企業の業績予想に対する不信感が高まり昨年のIPO企業の株価は下げ止まらなかったのである。

たが、3月決算発表と同時に2008年3月期の業績予想が発表されて、その内容は非常に保守的な数値になることが予想される。新興企業といえども同じ過ちを繰り返す企業は少なくなると考えたい。そこから本格的に買われる銘柄とさらに売られる銘柄が明確になってくるであろう。玉石混合の新興市場での銘柄の選別が進む日は近いはずである。

東京IPO編集長 西堀敬 column@tokyoipo.com

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