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2007.5.28 No.501



『〜円安で株価は動くかもしれないが・・・梯子を外されないように!〜』 

 

先週の土曜日は大阪でIRセミナーを開催した。

ご出演頂いた会社様が良かったのかもしれないが、お申込み頂いた方々の出席率が良くて、途中で資料がなくなるほどだった。

ご来場いただいた個人投資家の皆さんには多少窮屈であったことをお詫びすると共にこの場を借りてお礼を申し上げます。

さて、本日の株式市場は、日経平均株価、JASDAQ指数、東証マザーズ、大証ヘラクレス指数と揃い踏みで上昇となった。

その背景には日経平均株価の1株当り利益(EPS)が4月上旬の850円台から920円まで上昇してきた事を少しずつ市場が織り込んできているのかもしれない。それも非常に保守的と言われる業績予想をベースにしながらである。

輸出関連企業の業績予想の前提となっている為替レートは115円程度が多く、外為市場関係者の予想通り円安基調が変わらないとするならば第一四半期が終わる頃には日経平均株価のEPSの上昇も十分ありうる話となってくる。

ここで先走りして考えなければならないことは、第一四半期が発表される7月下旬〜8月上旬と言えば、第一四半期が終わって1ヶ月以上過ぎているということである。

為替予約などを考えればこの時期に120円台であれば、第一四半期は為替だけで5円以上の業績上ブレ要因が存在していることになる。

そうなると上半期の業績予想達成率は第一四半期発表で50%超になる輸出関連企業が多くなるはずだ。

そして7月中旬になると、たとえ企業サイドは慎重な業績予想を出していても、円安を背景に業績の上方修正期待を囃し立てるメディアの記事なども出てくるはずである。

そんな中で外国人投資家にしてみれば今は大きなチャンスが芽生えてきていると言えるのではないだろうか。

それは円安そのものが日本株を買い易い環境を作りだしているということだ。

1ドルで115円の買い物しかできなかったのが、円安になれば1ドルで120円、125円分の買い物ができるチャンスが出てくる。

株価が変わらなければ、それだけ多くの株を買えるということである。

そして買ったものはどこかでイグジットをしなければならないとすると、この時期に日本株を買う外国人投資家の次なる期待は参議院選挙明けの日銀の利上げを市場が気にかける頃ではないだろうか。

昨年5月の株価の急落を振り返ると、株価が下落始めた5月第2週に先駆けること3週間前の4月第3週から円高が始まっている。

3月決算の業績が出揃う前に為替が動き、その後に株価が動いているのである。つまり為替が110円を割り込んで円高になった週から本格的に日経平均株価は崩れたのである。

この3週間のタイムラグが外国人投資家のイグジットの場を提供していたと考えられる。

とするならば、ここから株価が上昇した後に円安を更なる材料として日経平均株価の上昇を囃し立てる日本のメディア報道が出てくる頃に為替の反転が起こる可能性が出てくるのではないだろうか。

いみじくもその時期が3月決算企業の第一四半期発表と重なりまさに材料出尽くしとなり、円安トレンドの終焉が追い討ちをかけて株価が下がるのでないかと読むことはできないだろうか。

先読み、早読み、の一助となればいいのだが・・・

 

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東京IPO編集長 西堀敬  column@tokyoipo.com