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株式会社エイチアイ
(JASDAQ・3846)
川端社長インタビュー
『複雑なことを人に優(易)しくを追求する会社』

コンピュータの進化が便利さをもたらすが故に、ユーザーである我々はあまりにも使い勝手がわるくなっていることに気づかないでいるのかもしれない。

その意味において、人がコンピュータを使うのではなくて、コンピュータを使える人だけが使っているという本末転倒の世界になってしまっているのではないだろうか。

携帯電話でも最近は「らくらくホン」なるものが団塊の世代向けに登場してきた。でも、よく考えると簡単に使えるものほど便利なものはない。技術の進化とは複雑で難しくするのではなく、難しいことを簡単にできる、そんな仕組みを世の中は求めているはずである。

我々の日々の生活において必需品となってきた携帯電話において、誰もが自然で楽しく「技術」の難しさを感じないコンピューティングにスポットライトを当てるビジネスを展開しているのが4月12日にJASDAQに新規上場したエイチアイである。 

本日は、携帯電話向けソフトウェア開発を手がけるエイチアイの川端社長にお話を伺った。

事業内容

エイチアイは、携帯電話向けソフトウェアの開発を手がけ、3D(三次元)表示を実現するためのソフトウェアを主力としている。携帯電話でゲームをやったことのある方ならご存知かと思うが、最近では、携帯電話のゲームにおいても、テトリスなどの2D(平面)のゲームだけでなく、ゴルフやレースといった3Dのゲームもできるようになっている。

コンピュータに詳しい方であれば、パソコン上で3Dを表現しようとすると、かなり高度な処理となり、通常、高機能なパソコンでないとスムーズに処理出来ないことはご存知のことだろう。

これをPCよりも低スペックな携帯電話で動かすにはどうしたらよいか?それは、3Dの表現をより軽い処理で行えるかが課題となる。当社は、リアルタイム3D描画エンジンの「マスコットカプセル」という製品でそれを実現した。

現在では、国内の主要キャリアはもとより、LG、モトローラ、サムソン、ソニーエリクソンといった海外の主要携帯端末メーカーの多くの機種で同ソフトウェアが採用され、今日に至っている。当ソフトウェアが搭載された携帯電話は、2006年12月末現在で、2億台となっている。

当社の収益構造は、ライセンス、受託開発、サポートの3つの形態があり、出荷台数に応じて、フィーを受け取る携帯電話向けのライセンス販売が売上の大半を占める。

海外向け売上の全体に占める割合は、2006年の16.9%から2007年は25.5%と年々増加している。2006年の携帯電話の出荷台数はワールドワイドでおよそ10億台となっており、当社が採用されている機種は、そのうちの一部であると考えるとまだまだ開拓の余地がありそうだ。2008年3月期の売上は、前年比26%増の28億1,300万円、経常利益は48%増の5億1,300万円を見込んでいる。

現在までの経緯

川端社長は、83年にNECの関連会社へ入社。入社した年にNEC本社へ出向し、パソコンのUI(ユーザーインターフェース)のプログラマーを担当。当時は、まだマイコンの時代で、パソコンは、手軽に使える代物ではなかった。そんな中、このパソコンをより身近で使いやすいものにできないかという研究が盛んに行われていた。この時代に川端社長の技術者としてのバックボーンが築かれた。

90年にエイチアイへ入社。当初から取り組んでいたユーザーインターフェースの延長として、95年に、パソコンの画面上で3Dキャラクターが自由に動き回るソフトを開発。それがマスコットカプセルの原型となった。当時のPCはIntel486が主流だった時代で、現在のパソコンと比べるとかなり低いスペックでそれを実現していたことになる。

当社は当初ゲームの受託開発を中心としていたが、2001年に、初めて、携帯電話向けとして、Jフォン(現ソフトバンク)にマスコットカプセルが採用されて以降、次々と採用が決まり、同ソフトウェアが当社の売上の柱に成長した。

今後について

先日、新製品「マスコットカプセルナノ」をリリースした。同製品は、蛍光表示板のような2色しかない液晶パネルにおいて、色の濃淡で3Dを表現するソフトだ。当製品は、かなり低いスペックのコンピュータでもスムーズに動作できることが特徴となっている。パソコン上でデモを見せていただいたが、2色でここまでの表現ができるのかと驚きを隠せなかった。

日本では、携帯のメイン画面はカラー液晶であることが多いが、サブディスプレイは、2色の液晶が採用されている。また、中国をはじめとしたアジアでは、2色の液晶を採用している機種はまだ多く、当製品のマーケットは大きいと考えている。

携帯以外の分野においても、カーナビや家電など、同製品の用途は広いと考えている。

カラー版のマスコットカプセルと併せて、北米、ヨーロッパ、中国、韓国などのアジア地区への拡販を行っていきたい。

また今後の事業展開として、ソフトウェアのライセンス販売のみではなく、自らがゲームコンテンツ等を開発し、エンドユーザーにご利用いただけるようなサービス事業にも注力していきたい。

株主還元

自分自身も株主であり、配当を楽しみにできるようにしたい。株主になっていただいた方へ報いる意味でも早い時期に行いたいと考えている。企業規模がある程度大きくなってくれば、上場市場の鞍替えも考えていかなければならない。

業績(連結)の推移(百万円)
決算期
売上高
経常利益
当期利益
純資産
2005/3
1,860
-259
-279
711
2006/3
2,012
157
117
840
2007/3
2,225
345
166
1,026
2008/3(予想)
2,813
513
305
-

(注2)2008年3月期の数字は業績予想


■西堀編集長の視点

エンジニア出身の川端社長は、ビジネスマンというより根っからの技術者であるが、生まれた地が近江ということもあってか商売人気質も持ち合わせている。 

世の中でパソコンや携帯電話が生活必需品となって、それらが身近になればなるほど便利ではあるものの操作が複雑になってきている。その便利なものにストレスを感じることはおかしい、と川端社長は考える。 まさに人に使ってもらってなんぼのものと考える近江商人気質が名付けたエイチアイ(HI)の社名は「ヒューマンインターフェース」の頭文字からとっている。(そういう筆者も近江出身であるがモノが違うようだ・・・)

当社のような日本だけではなくグローバルに通用する技術を持つ会社はIPO企業の中でも非常に珍しい。国内の需要だけが頼りのドメスティックビジネスを展開するのではなく、今後グローバルに更なる進化を遂げる携帯電話のソフトウェアの技術を持つ会社は世界の機関投資家も注目することになりそうだ。

またビジネス的な視点で見ると、携帯電話の進化は非常に早く、そのぶん買い替えの頻度も高くなる。ソフトウェアのライセンスは1台につき○○円となると、より便利な機能を進化させていく携帯電話が人間の生活に深く入り込めば込むほどエイチアイのビジネス機会は拡大することになりそうだ。


 企業DATA    株式会社エイチアイ
□証券コード 3846・JASDAQ株価情報へ
□ホームページ http://www.hicorp.co.jp/
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