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本当に某ファンドが売ったのか?
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)

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久々にヒヤッとした展開でした。

GSの「グローバルアルファ」という1兆円ファンドに解約が集中という噂が流れ、ざわついた雰囲気。

というのもこのファンドは年率15%の好パフォーマンスを記録しており、ヘッジファンド型戦略(色々な解釈が出来てしまいますが…)では超有名な存在。

いわゆる金融工学を用いて、絶対リターン(マーケットの変動に左右されることなく獲得するリターン)を狙う典型的なヘッジファンドという印象です。(あまり細かく書くと色々ややこしいので勘弁してください…)

そんなファンドが7月最終週の週次パフォーマンスが-7.7%で解約が集まり、1日で日本株に400億円ほどの売却圧力がかかるとの何とも不穏な噂が駆け巡ってました。

実際、8日にグローバルアルファ自体ではないものの、ゴールドマンサックスアセットマネジメントのHPで緊急リリースが掲載されております。

それによると、米国株式マーケットニュートラルファンドが1日で-2%の下落を記録したとのこと。売り持ち銘柄が上昇し、買い持ち銘柄が下落するというまさに「両裂き」の状態。特に売り持ちの銘柄は問題点を抱えているものの、業績改善期待が先行して上昇しているというのが緊急リリースのコメント。

マーケットニュートラルと聞くと、マーケットリスクを排除しているイメージが強いです。確かに現物買い、先物(TOPIX先物等)売りのロングショートにおいてはアルファが取れるか否かは別として、マーケットの下落リスクは完全に排除できます。なので、自分の思惑と外れても、予想外の損失はマーケットに負けた分ということになります。

しかし、現物売り、現物買いのロングショートの場合は、マーケットリスクを排除できるか、アルファが取れるか否かはそれぞれの銘柄のファクターを適切に抽出できるか否かにかかってます。

よって過去のデータや他の銘柄との相関を確認して、特定のセクターに属する銘柄Aを売って銘柄Bを買えば、マーケットの動きに関わらずリターンを挙げられると確信しても、必ずしもそうならないのです。そう、SCN、DeNA、SonetM3のように・・

極端な話、銘柄Aが新製品を発明して、まったく違うセクターの会社として生まれ変わる可能性も0ではないわけですから。

電力セクターのAとBのロングショートを狙ったのに、いきなりAが新製品を発明して建機セクターの雄になって大幅上昇!となってしまったり(極端すぎる…)。

要するにこういったタイプのファンドは適切にリスクコントロールを続けられるか否かが問題であり、大規模で優秀なアセットマネジメントは社外秘の「独自の運用モデル」というものを持っているのです。

ここまで書けば不穏な空気の原因がお分かりでしょうか?

そう、モデルを用いたファンドは根源のところでは同じタイプのモデルを使っていることが多いのです。根底は同じで、市場の特性やファンドのリスクによって少しずつ調整を加えるのです。

マーケットニュートラルとグローバルアルファも名前からすると、ゴールドマンのモデルを共有化している可能性は絶対にない、開示された情報と同じタイプの損失が出てないとは言い切れないのです。

さらに、ゴールドマンサックスのファンドの一つが大きな損失を記録したということは開示を強制されないファンドでも同様の損失を抱えている可能性が否定できないのです。

もちろん、だからといって解約が実際に生じたかどうかなんてのは分かりませんし、そこら辺は当事者しか知りえないのですけども。

しかし、前場は大変でした。文句付け様のない決算だった銘柄が急落したり、同じセクターなのにまったくちぐはくな動きをしたり。明らかに普通の地合ではありませんでした。

何となくの印象ですが、空売りしやすい銀行・証券を大きくショートセルして、中型でバリューに近く、直近決算が強い銘柄をロングしていたと考えてます。

東証のシステムも非常に重かったし、後場から海外ヘッジファンドが買いまくっていたようですし、為替が急速に円高になっているし、荒れ模様。

こういう展開はほんと痺れます。

 

某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
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