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2007. 10.22 No.543




『 長期投資と分散投資は有効だが・・・ 』 

 

長期投資と分散投資は有効だが・・・

昨日は東京IPOのスタッフでマネージャパンの新装刊記念の資産運用セミナーのお手伝いをさせていただいた。

秋の行楽シーズンにはもってこいの秋晴れの日和だったが、会場は満席の賑わいとなった。

第1部はさわかみ投信の澤上社長とセゾン投信の中野社長のパネルディスカッション。第2部ではマネックス・ユニバーシティの内藤社長の講演であった。

昨日のセミナーはIPO株で手っ取り早く儲けることに資金と自らの時間を精力的に使っている人には耳の痛い話であったかもしれない。そういう私自身も相当考えさせられる内容のセミナーであった。

まずは長期投資について。

澤上さんの考え方。
株価が下がっても我々の毎日の生活は変わらない。朝起きて、御飯を食べて、出勤していつもと同じように仕事をする。企業も同じで為替や金利が変われば業績に影響はあるかもしれないが、同じようにモノを作り、サービスを提供する。5−10年単位でそのモノやサービスが世の中で必要とされているものであれば、その会社を応援するつもりで株を買う。そのような強い想いをもって企業の株式に投資するスタンスが必要。1年に何度もあるような暴落や上昇相場など一切気にしないで軽やかに投資をする。

次に分散投資について。

中野さんの考え方。
世界経済は毎年5−6%成長している。その成長率に等しいリターンを複利で運用すれば、そのパフォーマンスはすばらしい。また、新興国経済が急成長しているが、その市場規模は日本や欧米の資本市場ほど厚みがないため、ちょっとしたきっかけで総崩れになることがある。その意味では、分散投資は流動性の高い市場に分散しておくことが重要である。
また先進国の成長の背景には先進国の技術と市場が大きく貢献していることも忘れてはいけない。

澤上さんの考え方。
世界で活躍する日本企業への投資は世界各国の経済成長も企業の成長に織り込まれる。従って、国内のグローバル企業への投資が分散投資の役割も演じることになる。

実際に運用されている方々のお話をお伺いすると、長期投資も分散投資も「なるほど!」と思ってしまう。

その後にお話をされた、マネックス・ユニバーシティの内藤さんのキーポイント(私の解釈での)は、「早く始める長期投資がお金持ちへの近道」だそうだ。毎月6万円の積立を35年間続けて7%で運用すると1億800万円になるそうだ。30年だと7,362万円、25年だと4,888万円、20年だと3,143万円にしかならないそうだ。このように数字で解説されるとまた妙に納得してしまうものである。

長期投資と分散投資がとっても有効な運用の考え方だということが大変よくわかったセミナーであった。思わずさわかみ投信を買ってみようかと思ってしまった来場者が多かったのではないだろうか。 事実さわかみ投信の純資産は2,600億円超であり、澤上さんの思想に強く惹かれている人が多いということは間違いない。

さて、長期と分散、考え方は良くわかるが、実際は毎月同金額を35年間も続けて投資するわけにはいかないのが人生である。

生命保険のプランなどを見るとよくわかるが、人生にはイベントが沢山あって、その度お金が出て行く。結婚、出産、自宅購入、子供の進学などなど・・・数えたらきりが無い。

一攫千金は無理でも、ある期間にある目標の金額まで増やしたいという人の気持ちもわからないではない。

ならばどうするのか? 

たぶん、昨日の講師の皆さんとは逆の考え方をするしかないだろう。講師の皆さんは、一般の人は日頃は仕事があって、相場など見ていることは不可能だ!という前提を置いている。

相場にどっぷり浸かってもインデックスにも勝てないアクティブ運用のファンドも多いようだが、プロは相場を張りつづけるから負けることがあるのだと筆者は考える。

澤上さんは長期投資の有効性をずっと説かれていたが、冒頭に話された「臨戦体制」の意味合いについて深くは話されていなかった。

臨戦体制、つまり相場で勝つための大切な事は下がったら買え!ということだ。

メディアが「暴落!」「今後はどうなる!」「追証続出」と騒ぎ出したら、そこが絶好の買い場であるということだ。

だから我々個人投資家はどっぷりと相場に浸かる必要はないのである。

1年に何度か出動する、そして適度のリターンでイグジットする、それだけを繰り返せばいいだけのことである。 

銘柄は業績が好調なものを10銘柄くらい追いかけておけばいいだろう。

長期も分散も有効だか、自分で増やしたい人には別のルールがありそうだ。

 

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東京IPO編集長 西堀敬  column@tokyoipo.com