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2008. 1. 23 No.569



『 政財界人は先手を打て! 』 

 

昨日の夜にテレビを観ていて「バカ野郎!」と叫んでしまった。

株安に対する政財界人の意識の低さには恐れ入る。

今回の株安の発端となったサブプライムローンの問題は遠い国の出来事でわが国には関係のない話だとでも思っているような口ぶりの発言が目につく。

株安が日本国民にどれだけ大きな影響を与えているのかをもっとよく理解していただきたいものである。

2005年10月から始まった郵貯(銀行)での投資信託の販売残高は2007年末の純資産残高で前年末比86%増の1兆439億円になったようだ。

だが郵便局の職員が今日の混乱した金融市場の動きなど郵便局の窓口で投資信託を買った国民に説明できるとは到底考えられない。

また金融商品取引法の前に販売した投資信託がほとんどであろうから、価格リスクに対する十分な説明もないままに購入した地方の老齢者の方々も多いはずである。

ところが郵貯で取り扱っている投資信託の1月22日現在の基準価格を見ると以下のようになっている。

ファンド名                    運用会社    基準価額     前日比      日付
野村世界6資産分散投信(安定コース)  野村アセット   10,135 円   -128 円      01/22
野村世界6資産分散投信(分配コース)  野村アセット    9,980 円    -201 円       01/22
野村世界6資産分散投信(成長コース)  野村アセット    9,375 円    -384 円      01/22
野村資産設計ファンド2015          野村アセット     8,711 円    -196 円      01/22
野村資産設計ファンド2020         野村アセット    8,381 円    -235 円       01/22
野村資産設計ファンド2025         野村アセット   8,157 円     -261 円       01/22
野村資産設計ファンド2030        野村アセット   8,039 円     -281 円      01/22
野村資産設計ファンド2035         野村アセット   7,923 円      -297 円       01/22
野村資産設計ファンド2040         野村アセット    7,793 円    -312 円       01/22
大和ストックインデックス225ファンド    大和投資信託   9,277 円    -557 円     01/22
GS日本株式インデックス・プラス       ゴールドマン    7,596 円    -443 円      01/22
住信日本株式SRIファンド          住信アセット    7,192 円     -478 円      01/22
日興五大陸債券ファンド           日興アセット    9,903 円     -139 円      01/22
日興五大陸株式ファンド           日興アセット    9,607 円     -456 円      01/22
DIAM世界リートインデックスファンド    DIAM       8,010 円    -244 円      01/22
フィデリティ・日本配当成長株投信     フィデリティ投信 7,366 円     -403 円      01/22

基準価格をざっと見たところでは、ひとつを除いては基準価格が10,000円割れとなっている。すでに運用成績がマイナス20%超の銘柄もいくつか見受けられる。

昨年末からの日本の株価下落率は約20%とすれば、郵貯の投資信託の価値は1,000億円〜2,000億円が吹き飛んだ計算になる。

郵貯銀行はどのような手段で預かり資産の状況を投資家に知らせるのかは私の知るところではないが、100万円で買った投資信託が70万円の価値しかないと知ったら驚くことを通り越して郵貯銀行の窓口に押しかける人もいるのではないだろうか。また一方では基準価格の意味さえも理解できない人も多いと考えられる。

老後の年金は行方不明になり、郵便局で信じて買った投資信託が短期間に目減りしているとなればこれは高齢者にとって由々しき問題であるはずだ。

定期預金は金利がほとんど付かない、高利回りであるはずの外貨預金や外債も為替が円高で損をする、おまけに株式が組み入れられた投資信託までこの有様では年金受給者は踏んだり蹴ったりである。

なのに政治家が他人事では国民は怒り心頭に発するのではないだろうか。

財界人も同じである。

買収防衛策を導入して乗っ取り阻止をしているつもりかもしれないが、ここまで株安になればどう考えても大バーゲンセール状態である。どうぞ買ってくださいと言っている様なものである。株安になっても買収防衛策があるから大丈夫と考えているようでは、もう一生誰も株を買ってくれなくなるかもしれないとは考えないのだろうか。

米国の政策発表を高みの見物している場合ではなく、株安のリスクを国内の問題と捉えて政財界の重鎮が真剣に考えていただくことが肝要な時期が到来していることは間違いない。

国民から「バカ野郎」よばわりされる前に打てる手を先に打っていただきたいものである。

 

 

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東京IPO編集長 西堀敬  column@tokyoipo.com