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コーヒーブレイク 〜(株)フェローテック(JASDAQ 6890)の研究(第1回) 〜
東京IPOスタッフ CFA協会認定証券アナリスト 深井浩史
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これまで何度か外国人投資家に日本企業、資本市場への期待や要望をヒアリングしてレポートしました。ここで角度を換えて企業側のお話を伺ってご紹介していきます。株式市場や投資家といかに付き合っていくかという観点や、経営者の率直な経営の考え方などを多少なりともお伝えできればと思います。初回は最近、太陽電池関連事業の急進で注目を浴びている(株)フェローテック。創業から今日までに事業面・資本面で大きな変化を何度も経験しているユニークな企業です。

1.フェローテックの今
半導体製造装置やFPD(液晶などのフラットパネルディスプレイ)製造装置用の真空シール、同じく半導体の製造工程において容器などとして利用される石英製品、自動車シートに内蔵される温度調節器のコア部品として利用されるサーモモジュール、現在世界的に需要が急増している太陽電池のパネル製造に利用されるシリコンインゴットの製造装置。これらの4つの商品が現在のフェローテックの主力製品です。

半導体・FPD関連の製造装置内で、チリ・ごみを防ぐため真空状態を維持する上で欠かせない真空シールにおいては、世界シェア70%を持っており、安定した収益源となっています。このように高いシェアを獲得した要因は当社のコア技術である磁性流体関連技術の存在があります。また半導体やFPDの製造工程で消耗品の容器として利用される石英製品も当社の主力事業として成長しています。07/3期においては真空シールや石英製品などを中心に、半導体・FPD業界向けの売上高が56%を占めました。真空シールではこれ以上のシェア拡大は容易ではなく、それぞれの巨大市場のサイクルに影響される面があります。

しかし近年、これらに次ぐ主力製品が育ってきています。まずサーモモジュール。レクサス、インフィニティなど高級ブランドの自動車シートには温度調節装置が内蔵されるようになって来ています。この温度調節装置のコア、電流の流れにより周囲の空気を瞬時に暖めたり、冷やしたりする機能を持つのがサーモモジュールです。この製品についても、当社は世界的にトップクラスの技術を有しています。当初、米国メーカーが米国内市場で販売する高級ブランド車に導入され、徐々に日本や欧州メーカーも採用、日本市場でも、レクサスの登場でこのシートを体感する機会が増えています。フェローテックはサーモモジュールを製造し、自動車用温度調節機器メーカーの他、半導体関連向けなど温度調節機器メーカーに納入しています。

そして現在、急速に成長している太陽電池関連。これはシリコンインゴット引き上げ(製造)装置とそこで消耗品として使用される石英るつぼからなります。元々半導体向けシリコンウェーハー製造の前工程であるシリコンインゴット(シリコンの棒)の引き上げ(製造)事業を2002年から開始していました。このノウハウが同じシリコンから製造される太陽電池パネル向けのシリコンインゴットの引き上げ装置の製造に転用されました。また半導体製造工程と同様に、ここでも石英るつぼが大量に消費されるため、これも供給しています。

このように半導体、FPD、自動車など巨大産業の工程における重要な部品を開発、大きなシェアを獲得する要因となる有力な技術(磁性流体とサーモモジュール)を複数持っていることが当社の一番の特長、強みです。そして二番目の特長は主力製品製造のため、中国に大きな生産拠点を築いている点。当社は1992年に進出し、徹底した現地化を進め、現地人に経営幹部も多数育っているようです。第三に研究開発や営業の拠点として、中国以外にも韓国や台湾などのアジア、米国、ロシアなど東欧を含む欧州に拠点を設け、原材料の研究、開発、製品向けの技術開発などを多国籍の優秀な人員で進めていることも特長です。そしてこの多様な人材を束ねるマネジメント力も特長と言えるでしょう。(続く)

コーヒーブレークのブログ書いています。 http://ameblo.jp/mplstwins/

 

東京IPOスタッフ CFA協会認定証券アナリスト 深井浩史

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