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ニューシティ・レジデンスが飛んだ日
某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)

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パソコンであれ、プレステ3であれ最近のゲームは自由度が極めて高いです。
しかし、「何でもありだな」と感心する一方で、自由度が高いゆえいつのまにか詰まってしまい(=攻略できなくなっている)、どんな手を使っても先に進めなくなる。

致命的なミスはないものの、少しずつ苦しくなっていき、最後には越えられない壁にぶつかる。
途中から「まずいな」と思いながら引き返せず、結局何時間も遡ってやり直す破目に陥る。

ドラクエ3とかはいきなり詰まることはあっても、時間さえかければやり直す必要まではなかったはず。自由度は少なくとも、行き詰まればその瞬間に分かります。

そういう意味で、ニューシティ・レジデンス投資法人の民事再生法申請は、最近のゲームで味わうことが多い行き詰まり方だったと思います。

割安を信じて購入した方には申し訳ありませんが、沈みゆく泥舟であり、マーケット関係者としては沈むのを見守ることしかできない状態でした。

そもそも、日本のREITというのは徹底して個人投資家のためのビークルであり、諸外国のREITと比べると営業の自由度が極めて低いものです。

世を騒がせたアーバンコーポレーション等の今はなき新興不動産は土地転がしを前提としたビジネスでしたが、REITに出来ることは原則として不動産賃貸業のみです。

購入した物件を売却するという選択肢は選べても、自ら土地を仕込んで物件を開発するというリスクは取れない。このことが良くも悪くも日本のREITがウリでした。

毎月家賃は発生するのでキャッシュフローは生まれるし、借入比率はそこまで高くないし、少々金利が高くなっても配当を減らせば潰れることはない。物件の稼働率もしっかりしている。

これがマーケット関係者の認識であり、最近行われた某証券会社の不動産セミナーでも某大きな銀行の関係者が「REITマーケットが軟調なのは市場関係者の勉強不足のせい」と言いきっていたほどです。

日経新聞でも、新興不動産会社が破綻、REITも安いと書かれていても実際に破綻する懸念までは突っ込んでなかったと思います。10/9の日経産業新聞でも「どうなるニューシティ?」といった雰囲気の記事であり、そこまで危機感はありませんでした。
まあ、日経新聞が的外れな記事を書くのはいつものことですが…。

それが、まさかの民事再生法の申請。
資金繰りの目処は10月末だったのに早々に諦めてしました。
投資家を馬鹿にしたようなその場しのぎのフィデリティの増資。
50億円を調達したところで何になる?しかもフィデリティの狙いを聞いてない?
ついでに、その後フィデリティは安い価格で買い増ししていたので、はっきりとしたビジョンを持っていなかったのはお互い様でしょう。

そして破綻の引き金となった池袋の物件に対するコミット。
資金調達が可能なことを前提に300億円弱の物件購入を宣言。
シンボリックな物件取得によってREITの知名度を挙げることを狙ったようですが、実は当初から「ドンブリ勘定は避けるべき」「解約はできないのか」と厳しい声も多かったようです。もっとも解約違約金は50億円にも上るとのことで引き返せないところまできていました。

ニューシティ・レジデンスは物件レベルで見れば色々と工夫を凝らしており好感を持てたものの、営業力が強くないのに高い賃料を設定しておりました。またREITが高い価格で物件を買っていたので徐々に利益率や含み損が増えていく苦しい状況でした。

無理をしなければ(潰れるという意味で)危機的状況に陥ることはないはずなのに、よくここまで不味い運営を繰り返してきたなというのが正直なところです。

最初は何とかなるかと思っていたのに、次第に締め切りが近付いてきて、最終手段を使おうと思ったらそれすらも選べない状況に陥ってしまった。
「もうどうしようもないようなあ」というのがここ数週間の考えでした。
     
個人的には、REITが赤字に陥っても何とかやっていける(東証は一定期間なら分配金を出せなくても上場を維持できる、はず)ことを示してほしかった、マイアトリア池袋を解約して多額の違約金を払ってでも、何とかレンダーと交渉してコベナンツを乗り越えて、復活してほしかったというところです。
     
しかし、どのREITも株価としては急落してますが、さすがにこの利回りは異常なレベルです。
加重平均利回りが9%以上とは…。分配金が3割減っても十分な水準です。
潰れないという意味では、財閥系のREITは普通の個人では買えないほどの物件を有り得ない利回りで提供しているとは思いますが…



某運用会社日本株トレーダー 鰊(にしん)
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