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皆様、新年明けましておめでとうございます。

今年のIPO市場はどうなるのか? 期待に胸を膨らませている方も多いのではないだろうか。

先を考える前に、まずは過去を振り返ってみよう。

まずは2000年以降のIPOの動向について見ていこう。その前に以下の表の見方であるが、初値が公募価格を上回ると「勝」、下回ると「負」同値だと「分」に分類。勝率は「勝」数を総IPO件数で割った数値。

キャピタルゲインはすべてのIPO銘柄を1単元数だけ公募価格で買って初値で売却したときに得られる金額の年間合計金額。平均初値騰落率は公募価格と初値の比較で2000年の18%は公募価格「100」に対して「118」の初値が付いたことを意味している。



年代
件数
勝率
キャピタルゲイン
平均騰落率
2000年
203件
131
56
16
64.50%
88,518千円
18%
2001年
169件
122
38
9
72.10%
38,413千円
44%
2002年
124件
91
23
10
73.30%
12,414千円
34%
2003年
121件
104
13
4
85.90%
24,374千円
52%
2004年
175件
165
7
3
94.20%
59,796千円
100%
2005年
158件
151
3
4
95.50%
84,430千円
134%
2006年
188件
159
20
9
84.57%
45,430千円
76%


2000年のIPO市場は新興株式市場である東京証券取引所のマザーズ、ナスダックジャパンの創設もあり、1999年の98件からほぼ倍増した。その後はITバブルの崩壊や銀行の不良債権処理で日本独特の株式持合い制度の見直し等もあって日経平均株価が下落していく中で2003年に株式市場が底打つまでIPOの件数は減少の一途をたどったのである。

そして2004年からは国内の景気の回復に呼応した株式市場の復活にも支えられてIPOの件数は毎年伸びてきた。2006年は188件と前年比で30件の増加となったが、前年は大阪証券取引所の取引システムのキャパシティが限界に達し、年後半はIPOの申請受付が延期されたため10社〜15社程度は翌年持ち越しとなった。その件数を考慮すると2005年から2006年はほぼ横ばいの件数であったと言える。

勝率と初値騰落率は2000年から2005年にかけて毎年上昇と一途をたどったが、その勢いも2006年には途切れてしまった。勝率と初値騰落率が急上昇した背景としては、1単元当たりの投資金額の大幅な低下が一般の個人投資家までも公募株投資に参加させる引き金になったのである。

振り返ると1999年、2000年当時は銘柄によっては公募株1単元を取得するのに1千万円以上もの投資資金が必要であった。具体的な銘柄の公募価格を挙げると、インターネット総研1170万円、楽天3,300万円、サイバーエージェント 1,500万円、クレイフィッシュ1320万円などがあった。
当時は公募価格も高額であったが、初値で売却したケースのキャピタルゲインの額も中途半端ではなかった。前述のインターネット総研は4130万円の利益を上がられたが、楽天は1310万円の損失となったのである。
つまりIPO株投資はハイリスク・ハイリターンの投資であり、リスク許容度が高い熟練の投資家のみが参加を許される市場であったといえる。

ところが、1単元50万円未満で投資ができるようにとの証券取引所の指導もあって、最近は1株10万円未満の公募価格となる銘柄も多く登場するようになった。このような形でIPO株は投資家層の裾野を広げることになると同時に金額で 見た場合にそのリスクは一般の個人投資家でも許容できるようになってきたのである。

ところが2006年は年間の資金調達額が前年比で5,000億円近く増加したことに加えて、10月上旬から11月上旬の1ヶ月間に5社で年間調達額の56%を占めるIPOが続いた。
それが初値騰落率の大幅な低下を招くとともに初値が公募価格を割り込むなど勝率を著しく下げる要因となったのである。12月に入ると件数は多かったものの需給が改善し、初値騰落率も著しく改善の傾向が見られた。

2007年の展望であるが、件数は2006年の188件には及ばず150〜160件程度に留まると市場関係者は見ている。その背景には2008年4月から導入される日本版SOX法が上場会社に適応されることが決まっており、創業間もない企業や組織が小さい企業などは内部統制面において上場審査をクリアできない企業が出てくる可能性が高いとの見方が支配しているためである。また上場直後に業績の下方修正を出す企業などが続出しており、予算と実算の管理などもより厳しく主幹事証券会社に審査されることになるだろう。

本題の2007年IPO企業のテーマであるが、「人材」「金融」「再生」関連の銘柄が多く出てくるのではないかと市場では推測されている。 団塊の世代の大量退職に伴う人材不足、それらの退職金を狙った運用ビジネスとしての金融、そして数年前に再生ファンドが投資した企業のイグジット等のIPO案件が多くなるのではないだろうか。

最後にIPO銘柄への対処法であるが、新興株式市場に積極的な買主体が見られない中では2006年の教訓を生かすべきである。今年の展開も年前半は初値も好調に推移するが、大型案件が出てくる10月〜11月は初値も厳しくなるであろう。
セカンダリーについては、昨年はほとんどの銘柄が上場日直後から1ヶ月以上下げつづけているという事実がある。公募株を取得した投資家は初値で売り、セカンダリーの買い出動は上場後の下値をきっちりと見極めてからにすべきである。そこから長期投資で望んでいただきたい。

2007年は件数よりも、より質の高いIPO企業が出てくることを期待したいものである。


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証券会社の国際部と海外現地法人に10年勤務。気象情報会社ウェザーニューズの財務部長、米国E-Commerce会社日本法人のCFO&COOを歴任後、2000年IRコンサルティング会社フィナンテックに入社。同社取締役。
日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

著書に『No.1情報サイト 東京IPO編集長が教える!IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンク クリエイティブ出版)新聞、マネー誌、TV出演他、講演多数。

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