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8月のIPOは12社と昨年同月の11社から1件増えただけにとどまった。上場市場別内訳で見ると、東証マザーズ3社、東証1部、大証ヘラクレス、JASDAQがそれぞれ2社、東証2部、福証、福証Qボードがそれぞれ1社となった。また1−8月のIPOの件数は昨年の112社から今年は89件へと23社の減少となった。

初値の形成を見ると8月の12社の平均初値騰落率は15.5%と年初から8月までの89社の平均値である44.1%からかなり低い水準となった。初値騰落率が高くなった銘柄は、8月2日に上場したフルスピード+63%、ディア・ライフ+71%、そして8月8日に中国銘柄として人気化したチャイナ・ボーチー・エンバイロメンタル・ソリューションズ・テクノロジー(ホールディング)カンパニー・リミテッド+73%であった。一方、初値騰落率を引き下げたのは、福岡Qボードに上場した日創プロニティ−24%および再上場のキトー−19%であった。

続いてセカンダリーマーケットの動きであるが、2006年1月以降にIPOした企業の公開価格と8月31日の終値を比較すると非常に興味深い結果が出てきた。2006年1月〜12月にIPOした銘柄の株価はほとんど公開価格を下回っているが、その下方乖離率のレンジは−60%近辺まで下がっている。ところが2007年に入ってからIPOした銘柄は、8月末の株価の公開価格からの下方への乖離率が徐々に小さくなってきており、4月以降のIPO銘柄は公開価格から−20%程度の乖離で収まっている。

この株価形成は、今年の春先からIPO企業の公開価格がかなり割安な水準になっているということを意味している。

公開価格は類似会社批准方式で決まるので、すでに上場している類似会社の株価が安くなればそれだけ公開価格のバリュエーションは低下せざるをえない。それに加えて、新規公開株を取得するのは個人投資家が中心であるため、セカンダリー市場での株価が公開価格を大きく下回っているようでは株主作りにも支障が出てくることになる。所謂、個人投資家の新規公開株離れを引き起こしかねないような状況になってしまっているのである。従って、公開価格は類似会社との比較したバリュエーションに更にIPOディスカウント幅を大きくして上場後に公開価格割れになるのを防ぐ動きが出てきているといえる。

この影響はIPO企業の資金調達にも出ており、8月31日上場予定だったインターメステックの上場延期の理由は公開価格の低さにより十分な資金調達ができなくなったのではないかと推測される。

さて9月のIPOであるが、昨年の15社から今年は4社へと激減する。2000年以降で年間のIPO社数が一番少なかった2003年ですら9月に16社がIPOしたことからすると、今年のIPOの総件数は120社〜130社程度に止まる公算が強くなってきた。この背景には、主幹事証券会社や証券取引所の上場審査の厳格化に加えてみすず監査法人の解散もあるようだ。

このように件数が少なくなってくると需給環境は例年とは異なってくると考えたほうがいいだろう。日本は3月決算企業が多いため、どうしてもスケジュール的に9月〜12月の期間にIPOが集中する傾向がある。従って、IPOの初値は供給サイドが多くなるため弱含むのが常であった。しかしながら現状のセカンダリー市場での株価形成を見る限りにおいては、公開価格のバリュエーションやIPOディスカウントは主幹事証券会社の営業政策上そうそう簡単に高く設定することはできないはずであり、件数が少なくなれば需給が改善され初値だけでなく上場後の株価も堅調に推移することが期待できそうだ。



2007年8月6日  7月IPO市場総括と8月の展望
2007年7月4日  6月IPO市場総括と7月の展望
2007年6月6日  5月IPO市場総括と6月の展望
2007年5月1日  4月IPO市場総括と5月の展望
2007年4月4日  3月IPO市場総括と4月の展望
2007年3月7日  2007年2月IPO市場総括と3月の展望
2007年1月4日  2000年以降のIPO市場総括と2007年の展望

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証券会社の国際部と海外現地法人に10年勤務。気象情報会社ウェザーニューズの財務部長、米国E-Commerce会社日本法人のCFO&COOを歴任後、2000年IRコンサルティング会社フィナンテックに入社。同社取締役。
日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

著書に『No.1情報サイト 東京IPO編集長が教える!IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンク クリエイティブ出版)新聞、マネー誌、TV出演他、講演多数。

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