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10月のIPOは12社と例年並の件数であったが、IPO企業が市場から調達した額は2,295億円と月次ベースで今年最高額となった。上場市場別内訳は、東証1部:1社、東証マザーズ:2社、JASDAQ:5社、大証へラクレス:4社であった。
10月にIPOした2銘柄の初値形成は平均初値騰落率が89.6%と通年の平均値46.6%を大きくアウトパフォームした。この背景としては8月末から9月末にかけてのIPO6銘柄の初値がすべて公募価格を割り込む状況になったことが功を奏したといえる。
具体的に説明すると、IPOの公募価格はまずは類似会社を選択しPER等の指標で比較してフェアバリューを計算する。その後に市場環境を勘案して俗にIPOディスカウントと呼ばれる割引率を掛け合わせるのである。従って初値が公募価格を割り込むような環境になると、IPOディスカウント率が大きくなるのである。
目論見書に掲載する想定発行価格は取引所が上場を承認する直前の市場環境に大きく左右される。9月上旬から順に承認を受けた10月のIPO銘柄のIPOディスカウント率は30〜40%にまで拡大していたようである。つまり類似会社のPERよりもかなり低い水準に公開価格が設定されていたことが、10月IPO銘柄の初値形成の助けとなったことは間違いない事実である。
また10月11日にIPOしたソニーフィナンシャルホールディングスは国内投資家の資金を2,176億円吸収したが、公募価格40万円に対して42万円の初値が付いたことが多くの投資家のセンチメントを一気に改善した。その後には初値が公募価格の2倍以上になる銘柄も出て来た。
続いてセカンダリーマーケットの動きであるが、今年IPOした105銘柄で10月31日の終値が公募価格を割り込んでいるものは約半数の51社である。しかしながら9月末で公募価格を割り込んでいた54銘柄のうち6銘柄は公募価格を回復しており、新興株式市場が9月下旬に底打ちしたことにより、IPO銘柄も全般的に徐々に株価を切り上げてきている。当面は業績が崩れない限りは公募価格まで回復してくる銘柄が多くなっていくと見ている。
さて11月のIPOであるが、件数は例年より少なく8社となる予定で市場からの資金調達額も50億円未満となる。従って、供給過剰によりIPO市場が崩壊する可能性は低く、むしろIPOディスカウント幅が大きいままに放置されており、引き続き初値は高騰する傾向にあると言えよう。
そのような環境の中で注目のIPOとなるのが11月13日上場予定のユビキタスある。同社はJASDAQが先端技術を開発するベンチャー企業向けに開設した新市場の上場第一号となる。このような技術をもつ企業はこれまで東証マザーズや大証ヘラクレスに上場してきたが、やっとJASDAQにもITベンチャー企業のキラ星的存在が現れたと言える。
売上の9割近くを任天堂に依存していることが課題となっているが、任天堂の好調さがユビキタスの株価にも転嫁されると考えられる。年末にかけてのIPO市場を盛り上げてくれる存在になることは間違いないだろう。
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証券会社の国際部と海外現地法人に10年勤務。気象情報会社ウェザーニューズの財務部長、米国E-Commerce会社日本法人のCFO&COOを歴任後、2000年IRコンサルティング会社フィナンテックに入社。同社取締役。
日本テクニカルアナリスト協会検定会員。
著書に『No.1情報サイト 東京IPO編集長が教える!IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンク クリエイティブ出版)新聞、マネー誌、TV出演他、講演多数。
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