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今年の1月は例年通りIPOは1件もなかった。このIPOが空き家になる1月は過去のトレンドを見ると、アノマリーのごとく11月、12月にIPOした銘柄が順繰りに物色される傾向がある。
昨年の11月、12月のIPOは16銘柄でその平均初値騰落率は66%だった。この16銘柄の1月31日終値の公募価格からの騰落率を見るとその平均値は37%となっている。
一方株式市場のほうは新興市場を代表する東証マザーズは12月の高値から1月末にはおよそ三分の二の水準まで売り込まれてしまった。しかしながら11月、12月のIPO銘柄はその影響は限定的で昨年末から人気は衰えることはなかった。今年もアノマリーは顕在で市場のマネーは直近のIPO銘柄へと向かったと言える。
ここで重要なことは11月、12月のIPO銘柄が2月以降どのように動くかである。かねてから説明しているようにIPOの公募価格バリュエーションは昨年の秋以降歴史的に低い水準にある。公募価格は類似会社批准方式と呼ばれる方式でフェアバリューを計算し、そこからIPOディスカウントと呼ばれる割り引きが行われる。相場の地合いが悪いときはこのIPOディスカウント幅が極端に大きくなりフェアバリューから30%以上もディスカウントされた水準で公募価格が決まっている。
1月に11月、12月のIPO銘柄が公募価格を37%以上上回る水準の株価で推移したのは単なるアノマリーとして考えるのか、それともフェアバリューを意識した投資家の買いによるものかは2月以降の株価動向を見なければならない。
2月以降も株価が公募価格を持続できるかどうかを見極めるポイントは、2月中旬までに発表される四半期決算の数値次第と言えるのではないだろうか。 IPO企業は取引所に上場承認されると当期の業績予想を発表する。3月決算企業の場合は第3四半期の発表で業績予想の達成確度を見通すことができる。業績予想が達成できそうな企業は公募価格を上回り、反対に未達懸念のある企業は売り込まれることになるであろう。
さて、今年のIPOの1号銘柄デジタルハーツ(東マザ3620)は上場日2月1日に値が付かずに公開価格18.5万円に対し37.5万円の買い気配で終わり、翌営業日の2月4日に43万円の初値を付けた。 こちらもアノマリー的に毎年年初のIPOは人気化して上場当日に初値が付かないことが多い。まだまだ個人投資家のIPO株投資熱は冷めていないと見える。
ただし上場当日に初値が付かない水準まで買い上げられたIPO銘柄はその後のパフォーマンスに大きな懸念がある。過去を振り返ってみると、年初のIPO銘柄の初値は高くなるもの、年末の株価を見ると悲惨な結果に終わっている銘柄がほとんどである。過ぎたるは及ばざるが如し、ということであろう。初値が高くなった銘柄の深追いは禁物である。
最後に2月に注目していたIPOであるMID都市開発(旧松下興産)は環境が悪く上場延期となったが、2月29日にはセブンイレブンでお馴染みのセブン銀行が上場する。同社は銀行業としての与信に対するリスクが無く、銀行と見るよりもATMシステム会社としてのバリュエーションを見るべきだ。フリーキャッシュフローはポジティブになっており、今後エクイティファイナンスの予定も無いとするならば今期予想利益ベースの株価で公募価格が13倍というのはあまりにも低くすぎると考えて良いのではないだろうか。IPOというと公募買いの初値売りが基本であるが、初値が押さえ込まれるのであれば、初値で買って長期保有で望みたい銘柄である。 |
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証券会社の国際部と海外現地法人に10年勤務。気象情報会社ウェザーニューズの財務部長、米国E-Commerce会社日本法人のCFO&COOを歴任後、2000年IRコンサルティング会社フィナンテックに入社。同社取締役。
日本テクニカルアナリスト協会検定会員。
著書に『No.1情報サイト 東京IPO編集長が教える!IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンク クリエイティブ出版)新聞、マネー誌、TV出演他、講演多数。
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