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2008年のIPOの件数は2007年の121社に対して50社弱(11月7日までの上場と承認社数の合計は44社)となりそうだ。新興株式3市場が揃った2000年以降では最低の件数となる。また過去の年間のIPO件数100社割れの水準を調べるとIPOが事実上ストップした1992年の27社まで遡ることになる。
日本企業は3月決算が多くIPOへの手順を踏んでくるとこの時期のIPOは例年二桁になるが今年の10月は4社に止まった。来年から株券電子化が実施に移されるため、秋口から年末にかけてのIPOはコストセーブの観点から年越しになるものが多いとも言われているが、証券会社や監査法人によると必ずしも株券電子化はIPOを年越しにするまでのインセンティブにはなっていないようである。むしろ業績の先行きが不透明になったことと市場の悪化のほうに原因はありそうだ。
まず初値騰落率であるが、2008年は21.8%と2000年以降では2000年の18.5%に次ぐ低い最低の水準となっている。ところが初値が公開価格を上回る割合が初値騰落率においては高かった2000年の64%から2008年は50%を割り込む水準まで低下している。これは銘柄による初値形成のバラツキが大きくなってきていることを意味しており、IPO株の公募・売り出し玉を手に入れれば絶対に大儲けできるという神話は完全に過去のものとなったことを物語っている。
続いてセカンダリーでの株価であるが、こちらは見るも無残な結果となっている。10月30日の終値と公開価格を比較すると、2007年の118銘柄の平均は▲54.9%、2008年の36銘柄の平均は▲24.3%となっている。また上場市場別に見ると大証ヘラクレスが2007年、2008年ともに値崩れが一番大きくなっている。
【
2007年IPO銘柄 対公募価格騰落率】 |
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銘柄数 |
初値vs公募 |
10/30vs公募 |
10/30vs初値 |
| 東証マザーズ |
23 |
88.6% |
-12.8% |
-52.0% |
| JASDAQ |
45 |
43.4% |
-64.5% |
-72.3% |
| 大証ヘラクレス |
24 |
63.8% |
-67.5% |
-79.8% |
| 東証1部・2部 |
13 |
12.2% |
-58.6% |
-59.3% |
| 全市場 |
118 |
50.4% |
-54.9% |
-67.7% |
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【 2008年IPO銘柄 対公募価格騰落率】 |
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銘柄数 |
初値vs公募 |
10/30vs公募 |
10/30vs初値 |
東証マザーズ |
11 |
61.0% |
5.5% |
-30.1% |
JASDAQ |
11 |
-1.8% |
-27.1% |
-24.6% |
大証ヘラクレス |
7 |
30.4% |
-44.0% |
-56.0% |
東証2部 |
4 |
-6.7% |
-43.4% |
-39.1% |
全市場 |
36 |
21.8% |
-24.3% |
-36.1% |
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初値vs公募=初値÷公募価格 10/30 vs公募=10月30日終値÷公募価格
10/30 vs初値=10月30日終値÷初値
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ではなぜこのようにIPO株の下落が続くのかを解説しておこう。公開価格の決め方は、類似会社批准方式と呼ばれる方式で類似会社のPERなどの株価指標を使って適正株価を計算し、そこからIPOディスカウントと呼ばれる割引率を掛けて算出されている。つまり公開価格はIPOした時点においては類似会社よりもかなり割安に設定されているはずである。だがこの計算式には落とし穴があって価格決定した時点からIPOの日まで株式市場がフラットに推移することが前提になっている。ところが実際の株式市場はここ1年以上右肩下がりで推移してきたため、値決めの時点からIPOまでに類似会社の株価が下がることは日常茶飯事で適正価格の計算がIPO時点で適正ではなくなってしまっているケースが多くなったのである。また公募・売り出し株の販売先は株主作りという大命題があるため、その対象は個人投資家中心となっている。従っていったん株価が公開価格を割り込むとすぐさま損切りに動くのが個人投資家の常である。その後は将来性や収益性は差し置かれて、時価総額や流動性の観点から機関投資家の買いも入らず株価が公募価格を下回る水準で推移している銘柄がほとんどとなっている。
非常に悲観的な話ばかりを続けてきたが、最後に少しだけ明るい話もしておきたい。日本の株価は数十年に1度の極めて低い水準にあることは読者の皆さんは周知の事実であるが、実は2007年、2008年のIPO株のバリュエーションは市場平均よりもかなり低い水準で放置されていることに注目したい。機関投資家もまだ本格的に手がけていないPER一桁の銘柄が多く存在している。企業の成長を株価が織り込むまでには相当の時間を要するかもしれないが、市場が正常化するだけで市場平均のバリュエーションまで上昇する銘柄も多く出てくるはずである。不安定な経済・金融環境はしばらく続くだろうが、IPO株を底値で買うには絶好の機会であろう。
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赤線:株価、青点線:フェアバリュー |